平成29年度保育所等一斉入所申込状況分析、第1回は大阪市各区毎の比較を行います。市全体や各区毎のざっくりとした状況、具体的には前年からの変化などを見ていきます。

※10月28日に発表された数字に基づきます・保育士優先利用数は申込者数に含んでいます

大阪市から発表された平成29年度保育施設利用申込状況に基づき、区別・年齢別・年度別の申込数・募集数一覧表を作成しました。
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昨年と比較し、入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.1倍以上減少した区は水色、また入所倍率が2倍を超えた箇所は赤で表示しています。

申込数・募集数は過去最多、倍率は若干上昇、1-2歳児は1.4倍超え

平成29年度一斉入所への申込数は、遂に15,171人に達しました。昨年より925人増加し、過去最多となりました。

増加が著しいのは0歳児と1歳児です。0歳児は昨年から357人増えて3,710人に、1歳児は507人増えて6,139人となりました。共に過去最多です。

一方、募集数は昨年より229人増加し、13,859人となっています。保育所等の新設ペースが若干鈍化している影響でしょうか。

申込数と同じ様に0-1歳児の募集数が増加しています。0歳児は136人増えて3,936人に、1歳児は206人増えて4,280人となりました。

しかし、倍率ベースで見た場合、0-1歳児は若干ながら上昇しています。0歳児は0.88倍から0.94倍へ、1歳児は1.38倍から1.43倍となりました。申込数の伸びに対して、募集数の伸びが追いついていません。保育ニーズの高まりを示しているでしょう。

倍率が高止まりしているのは2歳児です。昨年の1.36倍から1.41倍へと上昇しています。募集数は若干減少したのに対し、申込数は増加しています。昨年と同じく、1-2歳児入所希望者の3人に1人弱は入所できない見通しです。

区毎の傾向は昨年から大きな違いはありません。「大まかには例年通り」と考えられるでしょう。

入所倍率1位は阿倍野区の1.69倍・乏しい新設

入所倍率が最も高いのは、昨年は2位だった阿倍野区でした。1.69倍という高さです。入所できるのは半数強です。

同区ではキッズパレス美章園が開所する一方、はばたけ保育園が年度末で閉園を予定しています。待機児童問題が深刻な他区が募集数を増やす中、阿倍野区の募集数は減少しました。

その反対に申込数は40人増加して616人となりました。0歳児申込数が49人も増加したのが原因です。0歳児倍率は市内最高の1.32倍へ急上昇しました。また、1-2歳児は2倍越え、3-4歳児も2倍弱と高水準です。今後、大いに問題化するのではないでしょうか。

2位は西区の1.63倍・小規模保育卒園児は深刻?

昨年の入所倍率が1.93倍と市内1位だった西区は、今年は1.63倍へ低下して2位となりました。

西区は保育所等の新設計画が難航しています。募集を行っても、事業者からの応募が殆どありません。用地不足・保育士不足が原因でしょうか。

そうした状況でありながら、今年度中に新町第2保育園・あろは保育園・グローバル南堀江保育園が開所しました。全体の募集数は昨年の375人から72人増え、447人となりました。

とはいえ、今年も入所倍率の高さは際立っています。1歳児2.08倍・2歳児3.12倍・3歳児3.78倍は市内屈指の高水準です。

重大な問題となる可能性があるのは3歳児です。入所倍率は市内で最も高く、入所できるのは申込者の3割程度のみです。幼稚園進学児童との入れ替わりで入所でき、実際の入所倍率はもう少し低下するでしょう。とはいえ、保育所への入所を考えにくい倍率であるのは確かです。

西区は保育所のみならず、幼稚園・小中学校も不足している地域です。西船場幼稚園も廃園が検討されています(靫幼稚園に統合する形で総定員は維持する予定)。大人の居住・通勤環境のみではなく、子供が日中を過ごす場所を入念にご検討下さい。

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(11/1追記)
コメント欄から訂正をいただきました。ありがとうございます。西船場地区の教育・保育環境は更に厳しくなってしまいそうですね。

西船場幼稚園(現在3クラス)、うつぼ幼稚園(現在4クラス)。統合後は、6クラスになります。よって1クラス35名減です。ひよこクラブと言われる、3歳未就園の子たちの受け皿もなくなるかもしれませんね。厳しい状況が更に入園困難になると思われます。

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3位は天王寺区の1.58倍・1-2歳児入所倍率は市内最高

入所倍率が例年高いのが天王寺区です。昨年の1.42倍から1.58倍へ上昇し、更に入所しにくくなりました。募集数はほぼ前年通りに留まる一方、申込数が81人も増加したのが原因です。

特に注意すべきなのは、1-2歳児です。1歳児入所倍率2.14倍・2歳児3.52倍は市内で最も高い数字です。半数以上は入所できません。0歳児も含め、申込数が急増しています。

0歳児倍率も上昇しています。入所できない児童は昨年より大幅に増加すると見込まれています。H30以降にも影響しそうです。

4位は中央区の1.44倍・1-3歳児は2倍超え

中央区の入所倍率も例年通りの高さです。昨年の1.41倍から若干上昇し、1.44倍となりました。募集数は減少する一方、申込数も1-2歳児を中心に減少しています。

しかし、1-3歳児の入所は依然として厳しいです。全て2倍を超えており、入所できるのは半数に足りません。フルタイム共働き出なければ入所困難でしょう。

北区・都島区・中央区・浪速区・鶴見区は3歳児入所倍率が急騰

西区の項目でも取り上げましたが、H29一斉入所で気になるのは3歳児入所です。北区・都島区・中央区・浪速区・鶴見区では3歳児入所で倍率が一気に上昇し、急激に入所難となっています。

こうした区の殆どでは申込数増加・募集数減少が同時に発生しています。申込数が増加したのは小規模保育の卒園児が多い為でしょう。募集数が減少しているのは、入園先となる保育所の新設が滞っているのが原因の一つです。

フルタイム+卒園児加点がある児童の多くは、何れの施設に入所できる可能性が高いでしょう。しかし、自宅近所の施設で3歳児募集がない・点数がやや低い等の場合は、登園可能な施設に入所できない恐れがあります。幼稚園の預かり保育も含め、再検討する必要があるかもしれません。

1歳児は大正区・生野区・港区・住吉区/2歳児は東淀川区が要注意

これまでに触れていない区でも、注意すべき年齢があります。

1歳児は大正区・生野区・港区・住吉区が該当します。前3区は比較的入所しやすい区、住吉区はやや入所しやすい区でした。しかし、今年は1歳児の申込数が急激に増加し、入所倍率が高まっています。昨年までとは全く異なる傾向です。

また、東淀川区は2歳児募集数が減少する一方、申込数は増加しています。昨年の数字が実募集数と違っていた影響もありますが、それを差し引いても募集倍率が急騰しています。入所最低点も跳ね上がるでしょう。

今後の予定&お願い

今年も各区毎の申込状況等を分析し、何らかの情報を掲載する予定です。今年の内容はH29申込分析、昨年の内容はH28申込分析H28結果分析からご覧下さい。

まずはベンチマークとして北区、そしてリクエストを頂いた鶴見区(特に茨田・諸口地域)の情報を掲載する予定としています。

「○○区の情報を早く知りたい」「××保育所は昨年より入りやすいの?」等のリクエストがありましたら、記事へのコメントや問い合わせからお寄せ下さい。多少のお時間を頂く場合がありますが、ご了承下さい。

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