平成29年度保育所等一斉入所申込状況分析、第6回は阿倍野区を取り上げます。

なお、同区に関する過去の分析記事は「検索:阿倍野区 分析」から、その他の昨年の分析記事はH28申込分析H28結果分析からご覧下さい。大阪市子育て支援施設マップ(非公式)も役立つと思います。

※11月4日に発表された数字に基づきます・保育士優先利用数は申込者数に含んでいます

大阪市から発表された平成29年度保育施設利用申込状況に基づき、区別・年齢別・年度別の申込数・募集数一覧表を作成しました。
h29_moushikomi_bunseki_abeno
昨年より入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ・0.1倍以上減少した区は水色・入所倍率が2倍を超えた箇所は赤・保育士優先枠が存在する申込欄は薄緑で表示しています。

入所倍率市内ワースト・0歳児申込が急増

阿倍野区の入所倍率は1.69倍でした。市内で最も高い倍率です。

待機児童問題が深刻な他区では積極的に保育所等を開設し、募集数を増やしています。一方、阿倍野区では地域型保育事業の開設(キッズパレス美章園)・閉鎖(はばたけ保育園)が行われるだけです。結果、募集数は379人から364人へと減少しました。

より大きな影響を与えているのが申込数の増加です。昨年より40人増加して616人となりました。

申込数が際だって増加しているのは0歳児です。昨年の147人から49人も増加し、196人となりました0歳児入所倍率1.32倍は際だって高い数字です。50人前後の0歳児が入所できない見通しです。

これは年度後半生まれ、そしてH30一斉入所の1歳児にも大きな影響を及ぼします。年度後半生まれの0歳児途中入所は非常に厳しく、来年の1歳児入所倍率は跳ね上がるでしょう。

1-4歳児も厳しい状況です。昨年から大きな変化はありませんが、1-2歳児は2倍越え・3-4歳児も2倍弱という高水準です。1-4歳児の半数程度は入所できない見通しです。

阿倍野区で保育所等へ入所する場合、0歳児はフルタイム共働きが、1-2歳児は加えて何らかの加点が必要となるケースが専らです。点数が満たない場合、入所するのは困難を極めるでしょう。

北部は入所困難地域・1-2歳児は加点必須

阿倍野区は突出して第1希望倍率が高い保育所はないものの、2倍以上となっている保育所等が数多くあります。その大半は松虫通より北側の地域(北部地域)にあります。そして、その地域にある保育所の大半は、募集数の倍以上の第1希望が集まっています。例年通りの傾向です。

北部地域で入所倍率が2倍を超えたのは、阿倍野保育園(2.41倍)・三明保育所(2.59倍)・松の実保育園(2.04倍)・望之門保育園(2.42倍)・あおぞら保育園阿倍野(小規模・2.75倍)です。

阿倍野保育園は0歳児申込数が昨年より倍増し、21人となりました。入所倍率2.1倍です。フルタイム共働きであっても入所できない児童が生じる可能性が高いでしょう。

一方、1-2歳児の募集数は倍以上に増加しています。とはいえ1歳児3倍・2歳児2.33倍と高く、何らかの加点が求められそうです。総じて厳しいでしょう。

三明保育所は昨年から大きな動きはありません。0-3歳児の入所倍率は全て2倍を超えています。特に2歳児は募集数1人に対して8人が第1希望としています。何れの年齢でもフルタイム共働きでなければ難しそうです。

松の実保育園も似たような状況です。0歳児は募集数が10人と多く、やや入りやすいという印象です。北部地域の0歳児は同点で多数の方が並び、希望順位で結果が割れるケースが少なくないのではないでしょうか。

北部地域の保育所不足は深刻なままです。保育施設も殆ど新設されていない地域です。保育所の大半は、1-2歳児の入所倍率が2倍を大きく超えています。加点はほぼ必須と言えるでしょう。

望之門保育園は保育士優先枠で2人が申込

保育士優先枠の影響が大きく生じそうなのは望之門保育園です。同保育園では1歳児・2歳児クラスで各1名が保育士優先枠を利用して申し込んでいます。これを除くと、1歳児は募集数1人に対して第1希望9人、2歳児は募集数3人に対して第1希望8人となります。1歳児はきょうだい加点があっても入所できない可能性があります。

保育所不足が顕著な地域において、募集枠が少ないクラスで保育士優先枠が利用された場合、その影響は無視できません。西淀川区では募集数全てが優先枠で埋まってしまったクラスがありました。

あおぞら保育園阿倍野(小規模)は2.75倍

こうした保育所の周囲にある小規模保育も入所倍率が高くなっています。美章園駅前にあるあおぞら保育園阿倍野は、1歳児2人募集に対して9人が第1希望としています。

近隣にある阿倍野保育園の1歳児入所は倍率3倍と極めて高く、大きめの加点がなければ厳しい状況です。その為、同小規模保育を第1希望とした方も少なくないでしょう。

北部地域は、保育所等へ入所するのが市内で最も困難な地域の一つと言えるでしょう。幼稚園の多さの裏返しか、保育施設が余りに少なすぎます。区役所が住民ニーズに対して適切に対処していない印象を受けました。

南部も厳しい・フルタイムが必要か

一方、松虫通より南側の地域(南部地域)は、北部地域より若干入所しやすい状況です。倍率が2倍を超えたのは、あい保育園昭和町(2.63倍)・ながいけ認定こども園(2.47倍)です。

あい保育園昭和町は比較的新しい保育所ですが、以前からある保育所より数多くの第1希望が集まっています。建物が新しく、昭和町駅に近いのは利点の一つです。

同保育園の入所倍率は0歳児が1.6倍・1歳児は4.67倍・2歳児は3倍となりました。何らかの加点がなければ、1-2歳児は極めて厳しいでしょう。

西田辺駅に近い、ながいけ認定こども園も高倍率です。1歳児は2.67倍・2歳児は3倍となりました。あい保育園昭和町ほどではないとしても、加点がなければ難しそうです。

今後、阿倍野区は徐々にこども園が増えていくと予想されます。こども園は行事・保護者の関わり合い等が保育所と異なる場合があるので、入所を希望される方は必ず施設を見学し、幼稚園・保育所の違い等を入念にご確認下さい。

また、西田辺駅の北西にある育徳園保育所は1.97倍と高くなっています。1-3歳児はいずれも3倍を超えました。一方、0歳児は1.38倍に留まっています。0歳児募集数が21人と多い為です。

南部地域の保育所等に入所するのも決して容易ではありません。しかし北部地域とは異なり、南部地域には他の保育所もあります。

たとえば長楽保育園・阪南保育所・にしたなべ太陽保育園は入所倍率がやや低く、これまで紹介した保育所等よりやや入所しやすい見通しです。とはいえ、フルタイム共働きに相当する点数が求められるのは変わりません。

なお、やや南西に外れた場所にあるきたばたけ保育園は、1歳児の入所倍率が2.86倍と高くなっています。周囲には玉出東保育園(西成区)しかなく、きたばたけ保育園に第1希望が集中するためでしょう。保育所過疎地域と言えそうです。

東住吉区・西成区・住吉区も候補に

ここまで記したとおり、阿倍野区の入所倍率は市内ワーストでした。特に北部地域は著しく高く、入所するのは極めて困難でしょう。

しかし、大阪市では住んでいる区以外の保育所等も自由に申込みができます。減点措置等はありません。

阿倍野区は東住吉区・西成区・住吉区に隣接しています。阿倍野区での入所が難しそうであれば、こうした区にある保育所等も検討する価値があるでしょう。自転車を利用すれば登園できる保育所等が少なくありません(阿倍野区と同程度に難しい天王寺区は除外)。

例えば東住吉区にある北田辺保育園は0歳児入所倍率0.5倍・1歳児0.83倍・2歳児1.5倍に留まっています。近接している阿倍野保育園とは大きな開きがあります。加点がなくても入所できる可能性があります。

また、西成区にある天下茶屋保育所は0歳児1.67倍・1歳児0.56倍です。フルタイムに満たない点数でも入所できる可能性が高いです。

中には更に遠くの保育所等を希望し、決まった場合は転居を考えている方もいるそうです。保育所等を求めて地域を離れる人がいる、それが阿倍野区の実情と言えるかもしれません。

今後の予定&お願い

今後は都島区、中央区、天王寺区、福島区、西区(特になにわ筋一帯)、東淀川区、此花区(特に高見・伝法東部)、住吉区、港区(特に波除地域)、城東区(中央区に近い地域)、住之江区に関する内容を掲載する予定としています。

個別の問い合わせは、記事に先立って今週中にお返事をお送りする予定としています。記事を掲載した段階で、改めてフォロー等ができればと考えています。

いわゆる「3歳の壁」に関するメールも多数頂いています。小規模保育が増える一方、卒園後の保育の場が見つかるかと不安に感じる様子が伝わってきます。

「○○区の情報を早く知りたい」「××保育所は昨年より入りやすいの?」等のリクエストがありましたら、記事へのコメントや問い合わせからお寄せ下さい。多少のお時間を頂く場合がありますが、ご了承下さい。

同時に、皆様に運営支援へのご協力をお願いしています。

ウェブサイト上にamazonリンク・サーチボックス等を掲載しています。ご家庭で使われる育児・生活用品・家電製品・消耗品等がありましたら、サイト上のamazonリンク等を経由して購入して頂ければ幸いです。