平成29年度保育所等一斉入所申込状況分析、第7回は中央区を取り上げます。

なお、同区に関する過去の分析記事は「検索:中央区 分析」から、その他の昨年の分析記事はH28申込分析H28結果分析からご覧下さい。大阪市子育て支援施設マップ(非公式)も役立つと思います。

※11月4日に発表された数字に基づきます・保育士優先利用数は申込者数に含んでいます

大阪市から発表された平成29年度保育施設利用申込状況に基づき、区別・年齢別・年度別の申込数・募集数一覧表を作成しました。
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昨年より入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ・0.1倍以上減少した区は水色・入所倍率が2倍を超えた箇所は赤・保育士優先枠が存在する申込欄は薄緑で表示しています。

1-3歳児は2倍以上・3歳児倍率が急騰

中央区の入所倍率は1.44倍でした。市内で4番目に高い倍率です。申込数は昨年より44人減少した一方、募集数も39人減少しました。新たに開設される施設が減少したためです。

年齢別に見ていきます。注意が必要なのは3歳児です。H28の入所倍率1.81倍から、何とH29は2.78倍へと急上昇してしまいました。申込数はH28が87人、H29は89人と大きな変化はありません。しかし、募集数は48人から32人へと減少してしまいました。

中央区ではH28一斉入所に合わせて2保育所(あゆみ東保育園あいあい保育園長堀橋園)で計33人の3歳児を募集しました。しかし、H29は1保育所(船場ちとせ保育園)の開所に留まり、募集数は11人でした。新規施設の差が3歳児募集数に直結してしまいました。

市内中心部を中心として、数多くの地域型保育事業が設置されています。これと同時に保育所が新設されれば、卒園児の入所も上手くいくでしょう。しかし、新設されない・保育所が足りないのであれば、卒園児の入所先に窮するのは必至です。

卒園児以上に大きな影響を受けるのは、3歳児からの保育所新規入所者です。何らかの加点が無い限り、こうした地域で3歳から保育所へ入所するのは極めて厳しいでしょう。

1-2歳児の入所倍率も高い水準です。1歳児は2.04倍・2歳児は2.49倍です。何らかの加点がなければ厳しい保育所が多いでしょう。

年度後半生まれが申し込めない0歳児は、昨年とほぼ同じ1.06倍でした。フルタイム共働きであれば希望する保育所のいずれかには入所できそうな見通しです。

もりのみやナーサリーは5倍・ゆめ中央は3.54倍

中央区は上町台地を中心とする地域にある保育所の入所倍率が特に高く、船場周辺・旧南区に相当する地域にある保育所が続きます。入所倍率が2倍を超えた保育所の多くは、上町台地周辺にあります。

最も入所倍率が高かったのは、蓮美幼児学園もりのみやナーサリーの5.00倍でした。1歳児は募集数2人に対して23人が第1希望としています。また、2-3歳児は募集予定がないにも関わらず多くの児童が入所を希望しています。

この地域にはファインシティ大阪城公園等、数年前に建築された大規模マンションがあります。保育施設の整備が追いついていない印象を受けました。

次に高かったのはゆめ中央保育園です。同保育園の入所倍率は毎年3倍を超えています。今年も3.54倍という高さでした。

年齢別の内訳は昨年と同様の内容です。0歳児は募集数18人に対して第1希望が32人おり、少なくともフルタイム共働きとしての点数が必要でしょう。

1歳児は募集数6人に対して何と32人が希望しています。入所倍率5.33倍です。フルタイム+きょうだい加点がある児童・認可外7点加点がある児童は入所できる見込みですが、これに満たない点数だと分かりません。

また、多くの2-4歳児が入所を希望していますが、募集予定はありません。転居等によって募集が行われる場合もありますが、可能性は決して高くありません。

上町みどり・あゆみ・南大江も厳しい

両保育所の間にある慶生会上町みどり保育園も2.26倍という高倍率です。特に1歳児は3.14倍と高く、入所するには加点が必要となりそうです。

また、同保育所はこの地域で3歳児募集を行う数少ない施設です。募集数3人に対して9人が希望しています。周囲にはかのん保育園(天王寺区)・蓮美幼児学園いずみプリメール等の地域型保育事業があります。認可外加点・卒園児加点がある児童から順に決まるのではないでしょうか。

谷町六丁目駅と谷町九丁目駅のあいだにある、あゆみ保育園の入所倍率は2.24倍でした。

特に厳しいのは1歳児です。募集数3人に対して、保育士優先枠1人を含む14人が希望しています。優先枠を除くと、募集数2人に対して13人が希望する形となります。きょうだい加点等がある児童で決まってしまうのではないでしょうか。

なお、同保育所でも3歳児募集を行っています。募集数は区内で最も多い5人(新設を除く)を予定しています。

毎年、入所倍率が極めて高いのは南大江保育所です。ただ、今年は1.97倍へ低下しています。1-3歳児の申込数が減少したのが主な理由です。

同保育所で注意すべきなのは0歳児です。募集数は6人と決して少なくないのですが、17人の乳児が第1希望としています。0歳児入所倍率2.83倍は区内トップです。何らかの加点がなければ非常に厳しいのではないでしょうか。

今年6月に開所したあゆみ東保育園は、1.31倍に留まりました。5歳児募集数が10人と多い為です。年齢毎の入所倍率は1歳児は3.67倍・2歳児は2倍・3歳児は6倍と極めて高い数字です。

なお、同保育園から銅座公園へ抜ける裏道は、先週土曜日に放映されたブラタモリ(NHK)で放映されました(詳細はこちら)。歴史ある道です。

船場地域はちとせ保育園へ希望者集中

上町台地と比べ、船場地域にある保育所の入所倍率はやや落ち着いています。

御堂筋本町ちどり保育園は、全年齢で申込数が募集数を下回っています。第1希望で申し込んでいる方は、比較的入所しやすい状況と言えるでしょう。

近隣にあるマザーシップ船場保育園は、1歳児・3歳児で多くの希望者が集まっています。3歳児の一部はマザーシップに変更する方もいるのではないでしょうか。1歳児の入所倍率が2.5倍とやや高めです。

船場地域で注目されるのは、中央区役所裏に新設される船場ちとせ保育園です。1-3歳児は募集数の2倍前後の第1希望が集まっています。0歳児は希望者の大半が入所できる見通しです。

一方、上記2保育所の希望者はH28とH29で大きな変化はありません。同保育園の新設により、この地域の潜在的な保育需要が顕在化したと言えそうです。入所するのが難しい上町台地方面から希望している方も少なくないかもしれません。

南部地域は2-3歳児募集なし

南部地域にはあいあい保育園長堀橋園・つばな保育園があります。はっぴぃばーす大阪市小規模保育園が来年4月に開所する予定でしたが、辞退しています(詳細はこちら)。

両保育所は0-1歳児で申込数と募集数が均衡しています。他の地域とはやや距離があるので、地域外から入所を希望している方は多くないと考えられます。よって、0-1歳児の希望者の殆どはそのまま入所できそうです。

一方、2-3歳児は募集が行われない予定です。認可外加点・卒園児加点があっても、募集がなければどうにもなりません。既設保育所の募集は0-1歳児に偏り、2-3歳児の募集は限られています。0歳児ほど入所しやすく、年齢を重ねるほど入所しにくい現状はどこかおかしいです。

極めて厳しい中央区での入所

この様に、中央区(特に上町台地近辺)での保育所入所は極めて難しいのが実情です。高倍率に加え、高い点数を有する入所希望者が少なくありません。0歳児はまだしも、1-3歳児の入所には何らかの加点が必要というケースが多いでしょう。

また、同区の北部・北西部に保育所は少なく、あるのは0-2歳児までの保育のみという保育所が専らです。北区内の保育所を希望する方もいます。

「とりあえず保育所へ入所して働きたい」という気持ちでは、入所できない地域です。復職を前提として、認可外も含めて計画的に見学・申込等を行う必要があるでしょう。東京23区並みに厳しい地域です。

今後の予定&お願い

今後は天王寺区、福島区、西区(特になにわ筋一帯)、都島区、東淀川区、此花区(特に高見・伝法東部)、住吉区、港区(特に波除地域)、城東区(中央区に近い地域)、住之江区に関する内容を掲載する予定としています。

個別の問い合わせは、記事に先立って今週中にお返事をお送りする予定としています。記事を掲載した段階で、改めてフォロー等ができればと考えています。

いわゆる「3歳の壁」に関するメールも多数頂いています。小規模保育が増える一方、卒園後の保育の場が見つかるかと不安に感じる様子が伝わってきます。

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