平成29年度保育所等一斉入所申込状況分析、第8回は天王寺区を取り上げます。

なお、同区に関する過去の分析記事は「検索:天王寺区 分析」から、その他の昨年の分析記事はH28申込分析H28結果分析からご覧下さい。大阪市子育て支援施設マップ(非公式)も役立つと思います。

※11月4日に発表された数字に基づきます・保育士優先利用数は申込者数に含んでいます

大阪市から発表された平成29年度保育施設利用申込状況に基づき、区別・年齢別・年度別の申込数・募集数一覧表を作成しました。
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昨年より入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ・0.1倍以上減少した区は水色・入所倍率が2倍を超えた箇所は赤・保育士優先枠が存在する申込欄は薄緑で表示しています。

1-3歳児は2倍以上・申込数が急増中

天王寺区の入所倍率は昨年の1.42倍から上昇して1.58倍となりました。市内で3番目に高い値です。倍率が上昇した大きな理由は「0-3歳児申込数の増加」です。

区全体の募集数は386人でした。H28一斉入所の372人とほぼ同水準です。一方、申込数は530人から611人へと急増しました。急激な伸びです。

先に記したとおり、増えているのは0-3歳児の申込数です。0歳児は110人から142人、1歳児は232人から257人、2歳児は96人から116人、3歳児は61人から74人へと増加しました。

この年齢層は全て募集倍率が上昇しています。倍率は1歳児は2.14倍、2歳児は3.52倍、3歳児は2.06倍と極めて高くなっています。何らかの加点がなければ厳しいケースが多いでしょう。

入所するのが難しい天王寺区ですが、保育施設の拡充は急ピッチで行われています。実は4年前(H25一斉入所)と比べ、募集数は178人から386人へと倍以上に増加しています。来年4月には真田山かいせい保育園が開所する予定です。

ただ、H25以前から保育施設が不足気味だったのは否めません。未就学児数に対する申込率が他区より低く、また多くの幼稚園があるため、保育施設の拡充が後回しにされていたのかもしれません。

極めて深刻な2-3歳児

特に厳しいのは2-3歳児です。2歳児の入所倍率3.52倍は西区(3.12倍)よりも高く、市内ワーストです。申込数は4年で2倍弱に達しました。

今後、急速に厳しくなりそうなのは3歳児です。申込数は4年で2倍以上に増加しています。また、小規模保育で募集が行われる2歳児と異なり、3歳児の募集は保育所・こども園に限られています。

H28・H29は保育所の新設が続いたので、3歳児募集数がそれなりにありました。しかし、新設されない場合は悲惨な状態になります。H27は申込数59人に対して、募集数は9人でした。

ただ、3歳児は幼稚園進学で抜ける園児もいるので、中間発表よりも募集数は大きくなる傾向があります。とはいえ、極めて厳しいのに変わりはありません。

うえしおナーサリーは4倍弱・たにまちナーサリーは3倍弱

天王寺区で最も入所倍率が高いのは、蓮美幼児学園うえしおナーサリーの3.82倍でした。H28の2.12倍から急上昇しています。H28は上本町駅前に新設されたポピンズナーサリースクール天王寺に第1希望が集中した影響を受けました。

年齢別に見ると、0-1歳児の申込数が急増しています。H27の水準に戻りました。0歳児は募集数9人に対して第1希望26人、1歳児は募集数9人に対し第1希望は44人です。

0歳児の一定割合はきょうだい加点で、1歳児はきょうだい加点・認可外7点加点で埋まってしまうのではないでしょうか。非常に厳しいと感じました。

同じくH28でポピンズの影響を受けたのは、蓮美幼児学園たにまちナーサリーです。入所倍率はH28の1.57倍からH29は2.93倍へと急騰しました。

年齢別に見ると2歳児の第1希望が急増しています。昨年の1人(募集数0人)から今年は17人(募集数3人)となりました。昨年はポピンズの2歳児募集数が12人と多く、そちらを第1希望とした方が多かったのでしょう。

たにまちナーサリーは0歳児倍率が1.11倍に留まる反面、1歳児は第1希望7人に対して募集数がありません。年度後半生まれ等で0歳児一斉入所へ申し込めない場合、1歳児入所できる可能性がほぼ皆無なのは残念です。

多くの保育所等に共通して言えますが、年齢毎の募集数を均等化するのが望まれます。現行の募集数・入所倍率では、0歳児は入所しやすい反面、1-3歳児は入所しにくい状態となっています。0歳児入所して早期に復職したい方にはありがたいです。反面、年度後半生まれの不利益、そして入所の早期化を招いています。

ポピンズは反動減・四天王寺夕陽丘は昨年と同水準

H28一斉入所において、上本町駅周辺にある保育所等への申込数に大きな影響を与えたのがポピンズナーサリースクール天王寺です。H29一斉入所は募集数18人に対して28人が第1希望としています。

1歳児の申込数が12人と多くなっていますが、募集数も6人とやや多めです。新設される保育所は幼児クラスの欠員が長期化する傾向がありますが、既に全年齢の定員はほぼ充足している様子です。

ポピンズの新設によって減少した申込数が継続しているのが、四天王寺夕陽丘保育園です。募集数24人に対して申込数は51人となっています。

同保育所は0歳児の募集数が区内最大です。15人の募集数に対して20人が第1希望としています。H28より第1希望数が増えているので、入所に必要な点数も上昇するでしょう。

より厳しいのは1-3歳児です。特に2歳児は募集数1人に対して8人が第1希望、3歳児は募集数2人に対して7人が第1希望としています。どの地域でも2-3歳児の入所保留児童が大量に生じてしまうでしょう。

1歳児も同様です。入所倍率は2.67倍と高い値です。それに加え、募集数が「6人」というのが引っかかります。きょうだい加点・認可外7点加点で埋まってしまう恐れがあります。

真田山かいせい保育園(新設)は第1希望98人

JR大阪環状線に近い地域で多くの希望者を集めているのは、新設の真田山かいせい保育園です。大河ドラマ「真田丸」で激戦の場となるであろう地域にあります。

新設される保育所は全定員を一括して募集するため、総定員=募集数となります。同保育園は80人を募集するところ、98人が第1希望としています。入所倍率等を鑑みると、第1希望としている0歳児・4-5歳児はほぼ全員が入所できる見通しです。しかし、1-3歳児はそうとはいきません。

1歳児は募集数6人に対して36人が第1希望としています。きょうだい加点がある児童がいないとは言え、何らかの加点がなければ厳しいかもしれません。200点・第2希望で入所するのは非常に厳しいと感じました。

より深刻なのは2歳児です。募集数12人に対して何と43人が第1希望としています。入所倍率3.58倍です。天王寺区は2歳児募集を行う保育所が少なく、募集を行う保育所に殺到してしまっています。何らかの加点があっても入所できないかもしれません。

注意が必要なのは3歳児です。募集数16人に対して第1希望は10人です。しかし、全員が入所できるとは限りません。

同保育園の周囲にある日の出さなだやま園・上本町げんき学園は3歳児募集を行わないものの、数人が第1希望としています。第1希望を同保育園へ変更する可能性は高いでしょう。

意外な可能性があるのは、東成区のキッズファースト保育園です。3歳児は募集数4人に対して第1希望は4人に留まっています。玉造駅を利用できる方は、検討する価値があるでしょう。

環状線沿いも激戦

かいせい保育園ほどではありませんが、日の出さなだやま保育園・上本町げんき学園も多くの希望者を集めています。とはいえ、上町筋に接する地域にある保育所に比べれば、申込数は限られています。更に南方にあるこでまり保育園・天王寺保育所も同程度です。

勝山通を越えて更に南下すると、申込数は再び増加に転じます。この地域で入所倍率が高いのは、天王寺駅前おおぞら保育園の3.18倍です。0-3歳児は全て3倍を超えています。同保育所は天王寺駅前にあり、利便性の良さは突出しています。

特に厳しく感じられるのは0歳児です。募集数6人に対して第1希望は21人、0歳児入所倍率は区内1位です。一定部分はきょうだい加点がある児童で決まり、残りは若干名となってしまうのではないでしょうか。

1-3歳児も厳しい状況です。何らかの加点がなければ厳しいでしょう。

すくすく保育園も入所倍率は2.12倍と高くなっています。0-3歳児で満遍なく、多くの第1希望が集まっています。1-3歳児は加点がなければ厳しそうです。0歳児は希望順位がカギとなるかもしれません。

両園と比べてやや入りやすそうなのは、天王寺和み保育園です。入所倍率は0.9倍に留まっています。特に0歳児・2歳児は第1希望数が募集数を下回っています。第2希望以下で記入している人が多いのでしょうか。

この地域で検討する価値があるのは、生野区・阿倍野区の保育所です。大阪環状線の反対側には、いくつかの保育施設があります。具体的には生野区にある勝山愛和幼稚園(こども園)、そして阿倍野区にある高松保育所・エンジェルキッズ阿倍野園(小規模保育)です。

勝山愛和幼稚園は3歳児、高松保育所は1-2歳児、エンジェルキッズ阿倍野園は0歳児の募集数が多めです。天王寺区外も検討することにより、選択肢が広がります。

天王寺区は半数弱が保留の見込み

天王寺区はほぼ全域で保育所入所が極めて厳しい状況となっています。保留率は45%、つまり申込者の半数弱は入所できない見通しです。

同区は高倍率に加え、高い点数を有する入所希望者が少なくありません。0歳児はフルタイムが前提、1-3歳児は加点が必須と言えるでしょう。

現時点で非常に厳しいのは2歳児です。保留率は7割となる見通しです。どの様な点数であっても、入所保留となった場合はどうするかをご家庭内で予め検討しておくべきでしょう。

今後の予定&お願い

今後は福島区、西区(特になにわ筋一帯)、都島区、東淀川区、此花区(特に高見・伝法東部)、住吉区、港区(特に波除地域)、城東区(中央区に近い地域)、住之江区、旭区、東住吉区に関する内容を掲載する予定としています。

個別の問い合わせは、記事に先立って今週中にお返事をお送りする予定としています。記事を掲載した段階で、改めてフォロー等ができればと考えています。

いわゆる「3歳の壁」に関するメールも多数頂いています。小規模保育が増える一方、卒園後の保育の場が見つかるかと不安に感じる様子が伝わってきます。

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