創立者・理事長一族によって尋常でない私的流用が行われてきたのが、多数の保育所を運営する社会福祉法人夢工房です。何度かお伝えしています。

運営法人で多額の不適切経理、品川区立保育所の委託解除へ

社会福祉法人「夢工房」 私物化の軌跡(調査報告書より)

調査報告書の提言を受け、創立者一族が務めている役職の大半が解任されました。理事長・妻の理事・母の評議員です。

社会福祉法人の不正流用、理事長ら役職解任 芦屋

全国で保育園などを運営する社会福祉法人「夢工房」(兵庫県芦屋市)の男性理事長(57)らによる運営費の不正流用問題で、同法人は8日、理事長や妻の理事、母の評議員の役職を解任したと発表した。残る5人の理事も退任し、年内にも理事を一新した新体制に移行する方針という。

今月2日の理事会と評議員会で決めた。

同法人の第三者委員会は10月、理事長の親族の架空勤務などによって、約1億4千万円が不正に流用され、姫路市、東京都港区からの補助金などの不正受給は約4600万円に上ると発表。理事長一族の法人からの排除を求めていた。

不正への関与が指摘された理事長の長男(評議員)は、本人の弁明を聞いた上で役職を解任する方針。同様に不正に関わったとされる長女も含め、理事長ら5人の職員としての身分は残っており、新理事会発足後に解雇などの処分を決める。刑事告訴についても、新体制で検討するという。

https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201611/0009649508.shtml

創立者・理事長一族によって2億円前後の私的流用等が行われ、同時に毎年5000万円以上の給与が支払われていました。多額の公費を投じられている社会福祉法人・保育所であってはならない事態でしょう。

しかし、役職は剥奪された一方、職員としての身分は未だに残っているそうです。

先の調査報告書で調査対象とされたのは、主に兵庫県・東京都内の保育所や法人本部でした。しかし、それ以外の地域にある保育所でも、適正さを欠く設備投資が浮上しています。

指摘されたのは沖縄県那覇市にある美ら夢保育園です。今年6月に開所したばかりの保育所です。

那覇市で2016年6月に開園した認可保育園にバーカウンターなど、一見保育と関係がない設備が設置されていることがわかりました。

那覇市安謝の認可保育園「美ら夢保育園」は総工費約6億円のうち、那覇市が2億3800万円を補助して建設され、2016年6月に開園しました。リゾートホテルのようなたたずまいの園内には、一見保育とは関係がないバーカウンターが設置されていることも確認されていて、市の補助金の使途として疑問視する声があがっています。

園児の保護者は「リゾートホテルみたいな感じです。多分沖縄で一番きれいな保育園じゃないかなと」と話しました。

「美ら夢保育園」の運営は兵庫県に本部を置き、全国展開する社会福祉法人が行っていますが、この社会福祉法人は行政から受け取った公金約1億4000万円の不正流用が発覚し、謝罪しています。

QABでは法人の本部に対し、保育施設にバーカウンターを設置したことは適正かを訪ねましたが、担当者は「お答えすることができない」と述べるにとどまりました。一方で2016年4月に採用された美ら夢保育園の園長は、法人の運営は適正ではなかったとした上で、公金を不正流用した本部の人員体制を一新し、正常化に向け努力する必要があると話しました。

保育園には、現在0歳から5歳の81人の園児が通っています。園児の保護者は「最初の頃は新しくできた園ということで不安な面もあったんですけども、保育士さんたちが非常に熱心で、今は満足して通わせています」と話しました。

市では今後、園への定期監査を行い補助金の使途が適正だったかなどを調べることにしています。

http://www.qab.co.jp/news/2016111085090.html

設計を担当した建築士事務所のウェブサイトに画像が掲載されています。

保育所とは思えないほどの豪華な造りです。日常的に子供が利用したらすぐに痛んでしまうのは明白です。限られた人間だけが利用する意図があったのではないでしょうか。

今後、同法人が全国で運営する他保育所でも、同様の指摘が行われるでしょう。既に横浜市でも私的流用が確認されています。

同時に行政による監査の甘さも追及されるべきです。おかしな保育が行われている保育所については、行政へ職員・保護者・近隣住民等から必ず相談・指導依頼があった筈です。早期に対応していれば、事態が拡大・長期化するのは避けられた気がしてなりません。

全国で保育所にまつわる様々な問題が生じており、多くの方が役所へ相談しています。しかし、冷たい対応が一般的です。その根底には待機児童問題を解消する為に保育所建設・運営を最優先とし、保育の中身に対する優先度が若干低いのではないかと危惧しています。

火のないところに煙は立ちません。煙が立った段階で厳重な監査を実施していれば、事態は容易に見抜けたでしょう。役員に対する過大な報酬・私的流用を発見するには、税務署による税務調査が参考になるでしょう。

現在、各保育所で事件に対する説明会が行われています。詳細はよりよい保育・幼児教育を考える芦屋市民の会ウェブサイトに掲載されています。創立者一族は総退陣し、法人と決別できるのでしょうか。