大阪市認可保育所の平成26年度一斉入所(平成26年4月)の申込は今週末、11月1日(金)が締切です。
そろそろご準備下さい。

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10月に入っても暖かい日が多かったのですが、ここ1週間ほどで急に冷え込みが増してきました。
体調を崩している方も多いかと思います。
先日、我が家も一家全滅に近い有様となりました。

風邪等で児童が体調を崩した場合は保育所を休ませる場合が一般的でしょう。
お世話になっている保育所では「体温が一定以上の場合は登園を見合わせて下さい」としています。
一方、強制的に登園が禁止される場合もあります。
いわゆる「出席停止」です。
今回は保育所への登園が禁止される感染症とその期間を取り上げます。

1.法的根拠

学校保健安全法第19条学校保健安全法施行令第6条学校保健安全法施行規則第18条及び第19条保育所保育指針第5章1(3)が根拠です。
前2法は学校教育法第1条に規定する学校(いわゆる1条校)を対象とする法ですが、ここで規定されている「学校伝染病」を保育所保育指針で準用し、「いわゆる学校伝染病として定められた感染症に罹患した子どもが登所を再開する時期については、その出席停止期間を守ることを基本とします。」としています。

2.学校伝染病の種類と出席停止期間

学校において予防すべき感染症の解説で詳しく記されています。
病名や症状が羅列されていて、読むだけで寒気がしてきます。

(1)第一種の感染症
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感染症法」という。)で一類感染症(感染力が強く、重篤で危険性が極めて高く、原則として入院が必要)・結核を除く二類感染症(羅患した場合の重篤性から判断して、危険性が高い感染症で状況に応じて入院が必要)と指定されている感染性の疾病です。
なお、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第7項から第9項までに規定する「新型インフルエンザ等感染症」、「指定感染症」及び「新感染症」は第1種の感染症とみなされます。

感染症の種類 出席停止の期間の基準
エボラ出血熱治癒するまで
クリミア・コンゴ出血熱
痘そう
南米出血熱
ペスト
マールブルグ病
ラッサ熱
急性灰白髄炎(ポリオ)
ジフテリア
重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルスに限る)
鳥インフルエンザ(H5N1)

これらの感染症はいずれも生命の危険を伴うものなので、可及的速やかに医師の診療を受けて指示に従うべきです。

(2)第二種の感染症
空気感染又は飛沫感染するもので、児童等の罹患が多く、保育所等において流行を広げる可能性が高い感染症が規定されています。

感染症の種類出席停止の期間の基準
インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)を除く)発症後5日(発熱の翌日を1日目とする)を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで
百日咳特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで
麻しん(はしか)解熱した後3日を経過するまで
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)耳下腺、愕下線又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで
風しん(三日はしか)発疹が消失するまで
水痘(水ぼうそう)すべての発疹が痂皮化するまで
咽頭結膜熱(プール熱)主要症状が消退した後2日を経過するまで
結核、髄膜炎菌性髄膜炎症状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで
(備考)ただし、結核、髄膜炎菌性髄膜炎を除く第2種の感染症については、病状により医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません。

(3)第三種の感染症
学校教育活動を通じ、学校において流行を広げる可能性がある感染症を規定している。出席停止期間の基準は、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまでとされています。

感染症の種類出席停止の期間の基準
コレラ症状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで
細菌性赤痢
腸管出血性大腸菌感染症
腸チフス
パラチフス
流行性角結膜炎
急性出血性結膜炎
その他の感染症
(感染性胃腸炎、マイコプラズマ肺炎、溶連菌感染症等)
条件によっては出席停止の措置が必要と考えられます
(下記(4)参照)

(4)その他の感染症(第三種の感染症として扱う場合もあります)
第三種の感染症に分類されている「その他の感染症」に関してです。
「その他の感染症」として出席停止の指示をするかどうかは、感染症の種類や各地域、保育所における感染症の発生・流行の態様等を考慮の上で判断する必要があり、次に示した感染症は、子どものときに多くみられるものの一部を例示したもので、必ず出席停止を行うべきというものではありません。
しかしながら保育所は抵抗力の弱い幼児・乳児が集団生活を送る場所であって集団感染が発生しやすい環境なので、これらの感染症に感染した場合は出席停止やそれに準ずる措置(医師による診断書等)を採っている保育所が少なくないでしょう。
登園の可否や是非は保育所や医師とご相談下さい。

感染症の種類登園の目安(医師・保育所の指示に従って下さい)
感染性胃腸炎
(ノロウイルス感染症、ロタウイルス感染症等)
症状のある間が主なウイルスの排出期間であるが、回復後も数週にわたって便からウイルスが排出されることがあります。下痢、嘔吐症状が軽減した後、全身状態の良い者は登園可能ですが、回復者であっても、排便後の始末、手洗いの励行は重要である。
サルモネラ感染症(腸チフス、パラチフスを除く)、カンピロバクター感染症下痢が軽減すれば登園可能ですが、菌の排出は長く続くことがあるので、排便後の始末、手洗いの励行は重要です。
マイコプラズマ感染症症状が改善し、全身状態の良い者は登校園可能です。
インフルエンザ菌感染症、肺炎球菌感染症発熱、咳などの症状が安定し、全身状態の良い者は登園可能です。
溶連菌感染症適切な抗菌薬療法開始後24時間以内に感染力は失せるため、それ以降、登園は可能です。
伝染性紅斑発しん期には感染力はないので、発しんのみで全身状態の良い者は登園可能です。
急性細気管支炎(RSウイルス感染症など)発熱、咳などの症状が安定し、全身状態の良い者は登園可能だが、手洗いを励行する。
EBウイルス感染症解熱し、全身状態が回復した者は登園可能です。
単純ヘルペス感染症口唇ヘルペス・歯肉口内炎のみであれば、マスクなどをして登園可能。発熱や全身性の水疱がある場合は欠席して治療が望ましいです。
帯状疱疹全ての発しんが痂皮化するまでは感染力があるものの、水痘ほど感染力は強くなく、水痘のような空気感染・飛沫感染はありません。病変部が適切に被覆してあれば接触感染を防げるため、登園可能である。ただし、保育所・幼稚園では、免疫のない児が帯状疱疹患者に接触すると水痘にり患しやすいため、感染者は全ての皮疹が痂皮化するまでは保育児と接触しないこと。また、水痘が重症化する免疫不全宿主(水痘ワクチン接種を受けておらず、白血病や免疫抑制剤で治療中の者)がいる場合には、感染予防に対する細心の注意が必要です。
手足口病本人の全身状態が安定している場合は登園可能です。流行の阻止を狙っての登園停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではありません。手洗い(特に排便後、排泄物の後始末後)の励行が重要です。
ヘルパンギーナ全身状態が安定している場合は登園可能ですが、長期間、便からウイルスが排出されるので、手洗い(特に排便後、排泄物の後始末後)の励行が重要です。
A型肝炎発病初期を過ぎれば感染力は急速に消失するので、肝機能が正常になった者については登園可能です。
B型肝炎急性肝炎の急性期でない限り、登園可能です。HBV キャリアの出席停止の必要はありません。ただし、キャリアの血液に触れる場合は手袋を着用するなど、上記の標準予防策を守ることが大切です。例外的な場合、例えばHBVキャリア児が非常に攻撃的でよくかみ付く、全身性の皮膚炎がある、出血性疾患がある等、血液媒介感染を引き起こすリスクが高い場合には、主治医、保育者、施設責任者が個別にそのリスクを評価して対応する必要があります。
伝染性膿痂疹(とびひ)出席停止の必要はありませんが、炎症症状の強い場合や、化膿した部位が広い場合は、傷に直接触らないように指導します。
伝染性軟属腫(水いぼ)出席停止の必要はありません。
アタマジラミ出席停止の必要はありません。ただし、できるだけ早期に適切な治療をする必要があります。
疥癬治療を始めれば出席停止の必要はありません。ただし手をつなぐなどの遊戯・行為は避けます。角化型は感染力が強いため、治癒するまで外出は控えます。
皮膚真菌症(カンジダ感染症)出席停止の必要はありません。乳児のオムツ交換時に、他の児と接触しないようにします。
皮膚真菌症(白癬感染症、特にトンズランス感染症)出席停止の必要はありません。ただし、接触の多い格闘技の練習・試合などは、感染のおそれがなくなるまでは休まます。

3.登園の再開

感染症の症状が見られなくなっても、家庭の判断で勝手に登園するのは御法度です。
必ず医師の治癒証明を得てから登園しましょう。
治癒証明書の書式は原則として各保育所にて準備されているので、受診前に入手しておきましょう。
ただ、その為に子供を保育所へ連れていけないので、身内に誰かに保育所へ取りに行ってもらう等の対応が必要です。
私は予め保育所へ電話連絡し、少し離れた場所(と言っても10メートルほどですが)で証明書書式を受け取りました。

また、たとえ治癒したとしても、子供の体力は大きく低下したままです。
可能であればもう1日だけ自宅で療養させたり、早めに降園させる等の対応が必要でしょう。
病み上がりの身体で新しい病気をもらったら元も子もありません。

ここで注意が必要なのが「家族が感染した場合」です。
上記の出席停止期間の基準の対象はあくまで児童であり、保護者や教職員は対象としたものではなく、当該基準に従う必要はありません。
しかしながら、感染の拡大を防ぐという法の趣旨から、伝染病による出席停止期間の基準に該当する家族が保育所に立ち入るのは控えるべきでしょう。
「子供は治癒したけど親が感染してしまい、保育所へ連れて行けない」という事態が発生する恐れがあります(我が家では発生しました)。
何らかの対応を行ってくれる保育所もあるので、通われている保育所にご相談下さい。

4.保育料の減免

意外な落とし穴です。
知らない方も少なくないでしょう。

(7)当該入所児童が入院又は感染症に罹病するなど、やむを得ないと認められる理由により一定期間以上登所しなかった場合
ア その月中、16日間以上(日曜日、祝日、その他の保育所の休日を含む)登所しなかった場合は、当該月の保育料を2分の1に減額する。
イ その月中、1日も登所しなかった場合は、当該月の保育料を免除する。
ウ 月をまたがり連続して16日以上(日曜日、祝日、その他の保育所の休日を含む)登所しなかった場合(ア、イが適用される場合を除く。)、当該期間の末日が属する月の1ヵ月分の保育料を2分の1に減額する。
大阪市保育費用徴収金(保育料)減額又は免除基準

上記は大阪市の基準ですが、同様の基準を設けている自治体が少なくない様です。
具体的な内容はお住まいの自治体へお問い合わせ下さい。

5.まとめ

お世話になっている保育所では、登園の際に誰もが通る通路に「保育所からのお知らせ」という形式で、これからの感染症に罹患した患者数やそのクラスが掲示されています。
同じクラスだったら既に感染しているかもしれないと危険を感じ、異なるクラスでもいつ感染するか分からないので警戒する様にしています。
万が一感染症に感染したら大事になります。
栄養がある物を食べ、手洗いやうがいを徹底する等、日頃から予防に気をつけるのが一番でしょう。