大阪府内の保育所等利用待機児童数等の状況(平成28年10月1日現在)が公表されました。

大阪府内(政令指定都市・中核市含む)の保育所等利用待機児童数等の状況(平成28年10月1日現在)について取りまとめましたので、お知らせします。

平成28年10月1日現在の待機児童数は、同年4月1日と比べて1,692人の増加、平成27年10月1日と比べて223人減少し、3,126人となりました。

施設・事業所数は1,711施設(同年4月比21施設増)、定員は165,930人(同1,469人増)、利用児童数は164,383人(同5,102人増)で保育の受け皿拡大に取り組んだものの、申込児童数が同年4月1日と比べて10,786人増加の177,597人となり、保育の受け皿拡大を上回る利用申込みがあり、同年4月1日と比べて待機児童が増加しました。

なお、待機児童の定義について、厚生労働省において見直しが検討されており、年度内を目途にとりまとめられる予定ですが、参考として、待機児童数に含めない者の人数については、同年4月1日と比べて4,056人の増、平成27年10月1日と比べて1,242人の増で、10,365人となっています。

http://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=26853

この資料を基に、保育所等へ入りやすい自治体と入りにくい自治体を検討してみます。

保育所への入所のしやすさは一般的に「待機児童数」が用いられます。しかし、育休中・特定保育所希望等、様々な条件に当てはまる児童を控除した後の数字である「待機児童数」は実態を表していません。

実態に近いのは「入所保留数」です。これは端的に「入所を申し込んだが保留となっている児童数」を表しています。素直なデータです。

保育所等利用児童数・待機児童数(平成28年10月1日現在)
市町村名定員申込児童数利用児童数保留児童数保留率
大阪市57,33354,79450,1064,6888.6%
堺市16,26717,94516,7671,1786.6%
高槻市5,7416,8616,3395227.6%
東大阪市7,8758,8848,2806046.8%
豊中市5,9137,6806,3651,31517.1%
枚方市6,9938,1247,6964285.3%
岸和田市4,1334,6104,2753357.3%
池田市1,4251,7371,6121257.2%
吹田市5,8257,1186,37874010.4%
泉大津市1,4831,5211,468533.5%
貝塚市2,1292,2222,144783.5%
守口市2,7072,8202,52229810.6%
茨木市4,9576,4295,64178812.3%
八尾市4,8185,6365,3522845.0%
泉佐野市2,4312,3592,336231.0%
富田林市1,6961,9331,860733.8%
寝屋川市4,3254,6004,519811.8%
河内長野市1,4641,5111,491201.3%
松原市1,9702,1492,059904.2%
大東市2,4482,7052,5381676.2%
和泉市3,4723,9423,7991433.6%
箕面市2,1322,3282,1531757.5%
柏原市1,4021,3681,320483.5%
羽曳野市1,8302,1062,028783.7%
門真市2,1342,4802,2971837.4%
摂津市2,0172,2542,0352199.7%
高石市1,1301,1791,159201.7%
藤井寺市1,1561,3141,2101047.9%
泉南市1,0001,021998232.3%
四條畷市1,1371,2001,116847.0%
交野市1,2921,4501,3491017.0%
大阪狭山市9331,0421,023191.8%
阪南市908923894293.1%
島本町620760693678.8%
豊能町16015215021.3%
能勢町199979700.0%
忠岡町420384364205.2%
熊取町1,0751,0701,06460.6%
田尻町14017917631.7%
岬町33015115100.0%
太子町24021321300.0%
河南町18027127100.0%
千早赤阪村90757500.0%
165,930177,597164,38313,2147.4%

府内の保育所等利用待機児童数等の状況(平成28年10月1日現在)についてより作成

保留率ワーストは豊中市

保留率ワーストは豊中市の17.1%でした。7,680人が申し込んでいる(持ち上がりを含む)一方、利用できているのは6,365人、保留されている児童は1,315人に上っています。

昨年同時期の保留数は744人であり、1年間で倍増してしまいました。利用を希望している児童の内、10人に2人近くが入所できていません。

申込み児童には下の年齢から持ち上がった児童も含んでいます。新規に入所を申し込んだ児童に限定すると、半数近くが入所出来ていないのではないでしょうか。恐ろしい状態です。

茨木・守口・吹田は保留率10%超

保留率が10%を超えたのは茨木市・守口市・吹田市でした。大阪市の北東側に近接している自治体ばかりです。大阪市へ通勤しやすく、自治体内にも就業場所が多い事から、強い保育需要があるのでしょう。

なお、昨年・一昨年と保留率が高かった東大阪市・池田市・箕面市の保留率は7%前後にまで低下しています。府内平均である7.4%と同程度です。こうした自治体は、以前よりやや入所しやすくなっているのではないでしょうか。

大阪市は7,000人以上の空き定員が!

弾力化措置等により、多くの自治体では定員以上の児童を受け入れています。待機児童解消の為、例外的に認められている手法です。

反面、利用児童数が定員を大きく下回っている自治体もあります。大阪市です。驚く事に定員の約13%、7,227人分の入所枠が空いています。

大きな要因の一つは保育需要と施設整備のミスマッチでしょう。市周縁部の交通利便性が決して良くない地域を中心に、年度途中でも大きな入所枠が生じている施設が散見されます。

また、新設保育所の4-5歳児でも大きな入所枠が残っています。一過性の事情なので、1-2年中には充足されるでしょう。

「保育所等への入りやすさ」も住まい選びの重要な要素

上記の数字はあくまで平成28年10月時点での数字です。年度末に向けて保留児童数が増えていく傾向は全国共通です。仮に年度途中でも全ての児童が入所出来る様にに施設を整備した場合、年度当初は大きな定員割れが生じてしまいます。

保育所等の不足が叫ばれる一方、新しい施設が出来るのを待つだけの時間が子育て世帯にはありません。住まい選びには保育施設の充実度・入所のしやすさも検討すべきでしょう。

そうした観点からは保留率が10%を超える自治体・中核市より規模が大きい自治体では、市内中心部や駅近くの保育施設は入所しにくい可能性があります。

交通利便性が良く、かつ子育てに向いた環境が広がる地域には、多くの子育て世帯が集まります。保育施設が不足するのは必然かもしれません。