学校法人森友学園の系列法人たる社会福祉法人肇國舎が運営する「高等森友学園保育園」に対し、大阪市は7月1日に事業停止を命じる考えを示しています。

【5/12更新】森友保育園が保育士確保できず 園児は転園・大阪市は7/1事業停止命令へ

※森友学園関連の投稿は「タグ:森友学園」にまとめています。

5月11日に行われた説明会において、大阪市は在園児の保護者へ「0~5歳の園児42人の転園先として、淀川区と西淀川区で7カ所計91人の入所枠を確保できた」と説明しました。

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(5/22追記)
園児5人を受け入れる予定だったある保育所が、受け入れを辞退したそうです(ABC)
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これに対し、森友保育園が取材に応じさせたある保護者は「遠い園ばかりだ」と不満を示しました。

7月1日に事業停止命令を出す方向性となり、同園はいよいよ崖っ縁に追い込まれた。すると、大阪市側が保護者への説明会を行う淀川区役所前に集まっていた報道陣に対し、同園関係者が保護者の1人を取材に応じさせるとして“別会場”へと誘導した。

市による会見と同時刻に、取材に応じた保護者は「転園先の表を配られたんですが、通園に30~40分かかるところにしか空きがない」と不満を漏らした。5歳の子供を持つそうだが「大きな年齢の子だと、近くの園の空きがほとんどない。みんな思い出もあるし泣いてました。総裁先生(籠池泰典前理事長)も(保育士確保に)『メドは立った』とおっしゃってたのに、何でこんな急いで潰しにかかるんだろう」と涙ながらに訴えた。

また、市からは6月5日必着とする転園手続き申請を示されたという。「メッチャ長く取ったったやろ、その間に勝手に転園先を見に行ってくださいって感じで腹が立ったし、『これでも我々もメチャメチャ努力してるんです』って言われました。こっちは必死なのに」と市の説明態度にも不満を見せた。

http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/684465/


では、大阪市はどの保育所等を転園先として紹介したのでしょうか。毎日放送が所在をを報じています。

http://www.mbs.jp/news/kansai/20170512/00000072.shtml

地図情報を利用した保育施設等空き情報から、具体的な施設名を調べてみました。

施設名(近い順)0歳1歳2歳3歳4歳5歳
塚本くすのき保育園2
柏里保育所11
ミード保育園2
野里保育所2
博愛社保育園431
加島第1保育所21110
木川第1保育所564
空き定員合計000132318

現時点で空き定員があるのは3-5歳児ばかりです。0-2歳児は皆無です。その為、各保育施設に協力を要請し、0-2歳児の受け入れを図るものだと推測されます。

上記7施設の内、5施設は公立・元公立保育所です。大阪市としても協力を要請しやすいのでしょう。

加島第1保育所・木川第1保育所は遠い

地図を見る限り、自転車を利用すれば博愛社保育園までは大きな支障なく登園できる範囲だと感じました。とは言え、例えばJRを利用して通勤していた方が阪急十三駅よりの保育所へ登園・通勤するのは、大回りとなってしまいます。

自転車であっても登園するのが容易ではないと感じたのは、加島第1保育所・木川第1保育所です。

高等森友学園保育園から加島第1保育所へは、JR北方貨物線・山陽新幹線を超えなければなりません。また、多くの方が通勤している梅田とは真逆となる為、通勤時間が増えてしまいます。

上記MBSの地図には北方貨物線・山陽新幹線が省略されていますね。問題があります。

より厳しいのは木川第1保育所です。阪急十三駅の反対側と遠く、かつ最寄駅が阪急十三駅となってしまいます。MBS記者が大変さをレポートしています。

2キロ以上距離がある最も遠い保育所まで向かってみることにしました。塚本駅周辺を離れ大通りを東へ。車道には大型トラックが行きかい、気が抜けません。そしてたびたび信号待ちも。

「阪急十三駅の近くなんですが、ガード下をくぐらないといけないんですね…大変です」(神崎智大記者リポート)

異なる路線の駅を越えさらに東へ。生活圏としては全く違うエリアです。踏切待ちもありました。

「ようやく到着しました。転園先の1つの保育園です。17分ほどかかりました。距離もありますが、信号待ちがかなり多いのと踏切にもつかまり、かなり大変でした」(神崎智大記者リポート)

子どもを乗せて安全に走りきれるか疑問を感じるほどの距離。2キロ離れた保育所も受け入れ準備は整っているとしながらも…

「ほかに最寄り駅があるので、そちらを使っている方が多い。希望されるときに自宅から近いところとか、出勤先から便利なところを選ばれるので」(木川第一保育所 坂上由架利所長)

http://www.mbs.jp/news/kansai/20170512/00000072.shtml

きょうだい同時入所はより困難

更に厳しいのは、きょうだいを同じ保育所へ入所させたいケースです。

 加えてネックなのが、1つの保育園で多数の園児を引き受けられるわけではないこと。大阪市によれば、ある家庭では兄弟3人を同じ保育園に入れることができないといいます。

「同時に兄弟入所できるような形で確保すべく努力はしたのですけれども、現実的には今回は難しかった」(大阪市子ども青年局 工藤誠部長)

きょうだいで同じ施設へ入所できるのが理想です。登降園の手間が最小限で済み、園内できょうだい仲良く遊ぶ姿も見られます。

一方、淀川区等、大阪市内には入所できない児童が多数生じている地域があります。きょうだいで同じ施設へ入所できないケースは少なくありません。

今回の転所措置にあたっては可能な限りの便宜を図るのが望まれますが、限度もあるでしょう。きょうだいが複数施設に分かれてしまうケースが生じるのもやむを得ないかもしれません。

とは言え、たとえば(仮名)山田家の子どもがAB保育所に、(仮名)佐藤家の子どももAB保育所に分かれてしまうのは理不尽です。また、西の保育所と東の保育所に分かれてしまうと、登園するのが物理的に難しくなります。

点数等による機械的な調整ではなく、ポイント制以前に大阪市が行っていた総合的な調整を行うのも一つの考えでしょう。また、仮にきょうだいで分かれてしまっても、平成30年度一斉入所で優先的な転所措置を行う方法もあります。

ただ、こうした措置によって反射的な不利益を被る方もいます。淀川区・西淀川区で保育所等への入所を考えている保護者です。

森友学園保育園の事業停止・転園により、この地域の保育所等は飽和状態となります。それ以外の方が年度途中に入所するのは非常に困難となります。年度途中に退所者が生じても、補充しない可能性があるでしょう。

事業停止を円満に行う為には、在園児保護者の協力と児童の転園が不可欠です。これを誤ると、事態が更に混沌としかねません。