学校法人森友学園の系列法人たる社会福祉法人肇國舎が運営する「高等森友学園保育園」に対し、大阪市は7月1日に事業停止を命じる考えを示しています。

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仮に事業停止が命じる場合、避けて通れないのは「在籍している児童の保育」です。5月11日に行われた保護者説明会において、大阪市は近隣の保育所等で入所枠を確保したと説明しました。

森友保育園の在園児へ斡旋された保育所は?

しかし、保護者から「遠い園ばかり」「きょうだい同時入所が困難」という課題が指摘され、また、一部の保育所が受入れを辞退しました。

そうした中、ようやく大阪市が「高等森友学園在籍児童への優先転所措置」を公表しました。

優先的な取扱いの実施について

淀川区に所在する高等森友学園(認可保育所)については、平成29年4月4日、入所児童数に対して必要な数の保育士が配置されていないことが判明したため、4月5日から緊急対応として本市の職員を同園に派遣し、同園の保育士とともに保育を行うこととしました。

その上で、必要な数の保育士を配置するように、本市として同園に対し、これまで行政指導、改善勧告及び改善命令を行ってきましたが、依然として保育士不足は解消されていないため、今後、事業停止命令(7月1日付)を視野に入れた対応をしていく必要が生じています。

高等森友学園が事業停止となれば、同園において保育を継続していくことができなくなるため、現在の在籍児童については、今後、他の保育施設等への転所に向けた対応をしていく必要があります。

現在の在籍児童の保護者は、現に保育所を利用し、本市が保育所への入所を決定した期間、保育所で保育を受けられることを前提に生活設計をされており、その前提が崩れたときの不利益は極めて大きいことから、現在の在籍児童は特に保育の必要性が高いと認められます。

以上のようなことから、高等森友学園の在籍児童については、優先的に市内の他の保育施設等に転所できることとしました。

http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000400559.html

遅くとも平成30年4月までに第1希望へ転所できる見通し

各保育所の定員の枠内において、平成30年4月一斉入所までに第1希望とする保育所等へ可能な限り入所できる措置です。

1 優先利用の対象施設・事業
大阪市内の保育所(園)、認定こども園及び地域型保育事業(以下、「保育施設等」とします。)
※ただし、区役所において利用調整を行う認可施設に限ります。

2 優先利用の対象児童
平成29年4月5日(高等森友学園の保育士の不足が明らかになり、本市が緊急対応として職員の派遣を開始した日)時点で高等森友学園に在籍していた児童とします。
ただし、すでに転所等の申請をし、平成29年4月5日以降に第1希望の保育施設等の利用を開始されている児童は対象外とします。

3 利用調整における取り扱い
(1)優先の考え方
優先利用の対象児童については、7月1日入所に向けた利用調整において、『保育利用調整基準』に基づく点数(ポイント)にかかわらず、一般の児童より優先し、最優先で利用調整することとします。

(2)優先利用対象者間の利用調整
同一保育施設への利用申請において、優先利用の対象児童から入所枠を超える申請があった場合は、まずはその中でポイント制により利用調整をします。

4 再度の利用申請について
優先利用については、原則として1回のみの取り扱いとなりますが、7月1日利用申請に向けた利用調整の結果、第1希望の保育施設等に入所できなかった児童(※)について、再度利用申請を希望する場合は、1回に限り、再度の優先利用の取り扱いをします。
ただし、再度の優先利用の取り扱いは、平成30年4月利用開始分(一斉申込)に係る利用調整までとします。

5 7月1日の転所に向けた転所申請をしなかった場合
7月1日の転所に向けて利用申請をせず、幼稚園や認可外保育施設への入園又は家庭で保育することとした等の事情により、高等森友学園を退所することになった児童について、その後改めて保育施設等への入所申請をした場合は、項目4の場合に準じ、平成30年4月利用開始分(一斉申込)に係る利用調整まで、1回に限り優先利用の取り扱いをすることとします。

(1)在園児は7月1日転所での利用調整を優先して行う、(2)7月1日転所で第1希望に内定したら手続終了、(3)7月1日転所で第1希望に内定しなかった場合、8月~平成30年4月一斉入所での転所手続で1回のみ優先調整を行う、という内容です。

概ね以前に当ウェブサイトで指摘していた内容となっています。

仮にきょうだいで分かれてしまっても、平成30年度一斉入所で優先的な転所措置を行う方法もあります。

https://yodokikaku.net/?p=16261

私が止むに止まれず転所しようとする在籍園児の保護者であれば、(1)7月転所では通える範囲の保育所等を全て書く、(2)仮に第2希望以下で決まったら年度途中入所で第1希望のみの転所希望を出す、(3)平成30年4月一斉入所では在園している施設より希望順位が高い保育所等を全て書く、という方向性で考えます。

これにより、高等森友学園保育園の在園児は、平成30年4月までに第1希望とする保育所等へ転所できる見通しとなりました。書く保育施設の定員の枠内において、最大限の便宜を図ったと言えるでしょう。

淀川区西部・西淀川区東部の年度途中・H30一斉入所は要注意

その反面、こうした優先措置によって対象外の児童が年度途中・H30一斉入所で入所するのが困難となる可能性があります。大阪市も危惧しています。

このため特に高等森友学園の近隣の保育施設等については、今後の利用調整において、入所枠に多くの空きがある場合であっても、同園の在籍児童以外の方の利用が困難となる可能性がありますが、ご理解いただきますようお願いします。

6月1日時点での入所可能枠は決して多くありません。特に淀川区は0-2歳児の可能枠が皆無に近い状況です。

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西淀川区は柏里保育所で0-2歳児に多くの入所可能枠があります。

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実は5月1日時点では0-2歳児の入所可能枠は全く無く、5歳児も1名のみでした。高等森友学園問題を受け、市から保育士を派遣するなどして入所可能枠を増やしたと推測されます。

恐らくは淀川区でも同じ様な措置が枠外で講じられているのでは無いでしょうか。ただ、塚本地域に公立保育所がなく、大阪市が入所可能枠を直接増やすのは難しいかもしれません。

決断を迫られる在園児保護者

大阪市から優先転所措置の具体的な内容が公表され、高等森友学園の在園児保護者は選択を迫られる格好となりました。事業停止命令の有無は、6月9日までに保育士を確保・採用できているかでハッキリするでしょう。

7月1日入所の申込締切は6月5日(月)、結果は6月20日前後に届けられるそうです。

在園児の保護者は「(1)すぐにでも転所させたい」という方から、「(2)できれば高等森友学園に今後もお世話になりたいが、事業停止ならば泣く泣く他園へ移る」「(3)他へ移る気は無い」という方まで、様々な考えの方がいるでしょう。

避けたいのは「事業停止となった場合、7月以降の保育の場がなくて子供が放置される」という事態です。

(2)ケースの場合であれば、「高等森友学園へ事業停止命令が出されるのであれば、7月1日転所手続を行う」という方法も考えられます。転所申込時にその旨の担当者に伝え、事業停止命令が回避される見通しとなれば転所申込を取り下げる流れです。

本当に事業が停止されるのか、現時点ではまだ分かりません。様々な可能性を念頭に置く必要がありそうです。

認可保育施設閉鎖に対する先行事例に?

高等森友学園・わんずまざー保育園を初めとして、全国各地で保育施設の質が問われています。

相次ぐ不正 保育施設の質、大丈夫?(朝日新聞)

今後も事業停止・休園を余儀なくされる施設も生じてしまうでしょう。今回の大阪市の措置は、こうした事態に対する自治体の対応の一例となりそうです。