学校法人森友学園の系列法人が運営する「高等森友学園保育園」に対し、大阪市の吉村市長は「7月1日から半年間の事業停止命令を行う」と発表しました。

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大阪市 森友学園保育園に6か月間の事業停止命令へ

学校法人「森友学園」の籠池前理事長の妻が園長を務めていた認可保育園が、必要な保育士を確保できなくなっている問題で、大阪市の吉村市長は、保育園に対し来月から6か月間の事業停止命令を出すことを明らかにしました。

学校法人「森友学園」の籠池泰典前理事長の妻、諄子氏が園長を務めていた大阪・淀川区の認可保育園「高等森友学園保育園」は、運営に必要な人数の保育士を確保できなくなっていて、有識者で作る大阪市の審議会の分科会は、26日夜、6か月間の事業停止命令が妥当だとする答申をまとめました。

これを受けて、大阪市の吉村市長は27日、記者団に対し、「保育士を確保せず、今後の方向性も示さないという状態について、子どもに悪影響が生じるとした答申の内容は極めて常識的だ」と述べ、保育園に対し、来月1日から6か月間の事業停止命令を出すことを明らかにしました。

そのうえで「事業停止の期間中に聴聞の機会を設けるが、保育士をきちんと確保し、保育の中身も確実に大丈夫だと思えるものがないかぎり認可を取り消す」と述べ、保育園の認可を取り消すこともあり得るという認識を示しました。

保育園に通う子どもたちは別の施設に移るなどする見込みで、吉村市長は子どもを受け入れる認可保育園に対し、心のケアをきめ細かく行うよう指示する方針を示しました。

大阪市によりますと、市が認可した保育園に事業停止命令を出すのは初めてで、「高等森友学園保育園」は来月から事実上、休園することになります。

「森友学園」をめぐっては、運営する幼稚園などの補助金を不正に受け取った疑いがあるとして大阪地検特捜部が詐欺などの疑いで捜査を進めています。

事業停止命令が出されることについて、保育園に子どもを預けている保護者からは諦めとともに不安の声が聞かれました。

1歳の子どもを預けている保護者は「保育園から少しでも謝罪の言葉があったらちょっと違ったのかなという思いもあります。設備は整っていたので惜しいです」と話していました。

別の保護者は「新しい保育園は決まりました。子どもはさみしいから行きたくないと言っていますが、しかたがないです」と話していました。

また、ほかの保護者は「子どもがまた一から慣れないといけないので不安はあります。半年後に保育園が再開しても同じことになったら困るので、もう戻りません」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170627/k10011032361000.html

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(6/30追記)
事業停止命令を受け、保育園はそのまま閉園する予定だそうです。

 大阪の学校法人「森友学園」系列の保育園は必要な保育士を確保できていないとして、大阪市は事業停止命令を出しました。これを受けて学園側は、6月30日を最後に保育園を閉園する考えを示しています。
(中略)
 事業停止命令の期間は半年ですが、学園側は保育園を閉園する考えを示しています。

http://www.mbs.jp/news/kansai/20170630/00000022.shtml

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他紙も報じています。
森友保育園に半年間の事業停止命令 認可取り消しも視野(朝日)
保育園を6カ月間停止 大阪市、保育士不足で(毎日)
保育士「休園でよい」服従…子どもは限界だった(毎日)
森友系列園に事業停止命令 半年後にも認可取り消し 大阪市長が表明(産経)
森友の保育園が事業停止 7月から半年、保育士確保できず(日経)
“森友保育園”の事業停止命令を決定 保育士不足で(MBS)

6月5日までに全園児が優先転所を申請し、6月9日までに保育士を確保できなかったのが分水嶺でした。事実上、結論は確定していました。

安全な保育の根幹は「十分な保育士数」です。保育所は労働集約的な側面が強い職場です。マンパワーが無ければ回りません。

事業停止を命じた場合、危惧されたのは「在園児の保育先が見つからない」という点でした。大阪市が5月11日の説明会で斡旋した保育所には遠い場所もあり、一部の保護者が不安に感じたのは仕方ないでしょう。

その後、大阪市は「在園児への優先転所措置」を公表しました。

高等森友学園在籍児童への優先転所措置が公表

他の待機児童よりも優先的に他保育所等へ転所できる措置です。遅くとも平成30年4月までには第1希望とする保育所等へ転所できるメドが立ちました。保護者の不安は大いに解消されたのではないでしょうか。

慣れ親しんだ園舎や友人達と別れるのは残念です。が、大阪市が打ち出した結論はやむを得ません。

しかし、未だ解明されていない点があります。森友学園に関する一連の疑惑等が報じられる以前における、大阪市の対応です。

高等森友学園保育園を利用していた一部保護者は、数年前から問題を指摘していました。虐待・保育士不足・保育時間の短さ・危険な保育等を危惧し、大阪市へ相談し続けていました。

しかしながら、大阪市・淀川区は同保育園へ十分な指導等を行わず、危険な保育を事実上黙認していたかの様な対応でした。

大阪市が黙認?・・・高等森友学園保育園による危険な保育・貧弱な食事・保育士不足・保護者への誹謗中傷(大阪市会より)

事業停止命令により、少なくとも半年間は認可保育所として運営する事ができなくなりました。保育士が採用できない以上、認可外保育施設・来年1月以降の認可保育所としての運営も困難でしょう。

しかし、今回の大阪市の措置はあくまで「保育士不足」のみを対象とした物です。一連の虐待疑惑等は未だに確認等を行っていません。保育士不足を押し出し、それ以外の問題には蓋をしてしまいました。

本来は虐待疑惑を解明し、大阪市による対応を検証、そして今後の監査等に活かすべきでした。しかし、残念ながらそうした動きは垣間見えません。

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(6/30追記)
大阪市ウェブサイトに「高等森友学園に係る事業停止命令について」がというページが公開され、命令内容や審議会の意見書も掲載されています。

高等森友学園に係る事業停止命令について

 大阪市は、児童福祉法第46条の規定に基づき改善指導、改善勧告、及び改善命令を発出し、職員配置不足に係る改善を求めましたが、改善の事実が認められなかったため、行政手続法第13条第1項の規定に基づき、弁明書を平成29年5月24日までに提出するよう求めました。今般、提出された弁明書等について、記載内容を確認したところ、改善が認められなかったため、大阪市社会福祉審議会児童福祉専門分科会の意見を聴き、児童福祉法第46条第4項の規定に基づき、平成29年6月27日付けで、次のとおり事業の停止を命令しました。

1 処分を行う施設
高等森友学園(詳細略)

2 処分の内容
 児童福祉法第46条第4項の規定に基づく事業停止命令

3 処分の期間

 平成29年7月1日~平成29年12月31日(6か月間)
4 処分を行う理由
 児童福祉施設の設備又は運営が児童福祉法第45条第1項の基準に達せず、かつ、児童福祉に著しく有害であると認められるため。

http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000404888.html

GDE Error: Error retrieving file - if necessary turn off error checking (404:Not Found)

保育士不足に加え、全園児から転所申請&ほぼ全ての園児の転所調整が終了したのが大きな理由となっています。