再び保育料の算定ミスが判明しました。今回は海外赴任中の保護者の保育料算定にあたって国内給与のみを算定基礎としてし、海外給与を除外してしていました。

報道発表資料 西成区役所保健福祉課(子育て支援)における保育料算定誤りについて

1 概要

 保育所・認定こども園(保育認定)・地域型保育事業の保育料は、保護者等の市町村民税の所得割の額の合計額などに応じて設定します。市町村民税の所得割の額は、4月から8月分が前年度の税額、9月から3月分が当年度の税額で算定することとしています。

 保護者等が市町村民税の賦課期日において国内に住所を有しない場合は、その者の所得の額、社会保険料の額及び配偶者その他扶養する親族の状況をもとに、市町村民税の所得割の例により算定した額(国内と海外の給与の合算)をその者の当該年度の市町村民税の所得割の額とみなして保育料を算定します。

2 事実経過

 当区内保育所に入所している児童の9月以降の保育料算定にあたり、9月7日(木曜日)、ある保護者(以下、「A氏」という。)が海外赴任を理由に、平成29年度の課税証明書の代わりに勤務先の給与証明書を提出しました。その給与証明書には、国内給与と海外給与が別々に記載されており、国内と海外の給与を合算し保育料を算定したところ、前年度税額から算定した4月から8月分の額より高いものとなりました。

 これを受けて、平成28年度分の保育料算定資料を確認すると、算定の際に海外の給与分を合算していないことが判明しました。9月12日(火曜日)、A氏のご家族に給与証明書の内容について確認したところ、国内と海外の両方の給与を受けているとのことでした。

 このため、平成29年4月から8月分の保育料に追加徴収(57,000円)が発生することが判明しました。

4 原因と再発防止について

 提出された給与証明書をもとに市町村民税の所得割の額を算定するにあたり、所得額の確認等を慎重に行う必要があったところ、その確認が不十分であったことから発生しました。

 今後は、課税証明書以外の保育料算定資料に基づいて市町村民税の所得割額を算定する場合は、算定所得額に漏れがないかなど、書類にチェック欄を設けて複数の担当者で確認を行うなど慎重に事務を行ってまいります。

http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/nishinari/0000411538.htmlより作成

非常にややこしい事案なので、分かりやすく説明します。

保護者A氏
・以前から海外給与と国内給与の双方が支給されていた(海外赴任と国内勤務を繰り返す、国内親会社から海外子会社へ出向、非永住者等が該当か)。
・市町村民税(住民税)は賦課期日(毎年1月1日)に住所を有する地で課税される(4月に転居しても転居前の自治体へ納税する)。
・A氏は賦課期日に国内に住所を有していなかった。
・保育料算定の為に提出した給与証明書には、国内給与と海外給与の記載があった。
・これを元に算出した保育料が、前年度(平成28年度)の保育料を大きく上回った。
・念の為に前年度保育料を確認したところ、国内給与のみから保育料を算定していた。

国内給与と海外給与の双方を得ている方は極めて少数でしょう。しかし、大阪市内は海外進出している企業も多く、子弟が保育所等へ通っている外国人保護者も少なくありません。

西成区役所は「所得額の確認が不十分であったこと」と責任を認めています。算定担当者が海外給与に気づかずに、国内給与のみで保育料を算定したのでしょうか。

そもそも大阪市や他自治体の課税証明書ではなく、給与証明書が提出された時点で例外的なケースです。給与証明書に国内給与と海外給与が別欄に記載されているのに気づいたら、上司等に相談するのが一般的ではないでしょうか。

一つの可能性として考えられるのは、前年度は賦課期日に国内に住所を有していたので住民税を納税したが、これとは別に海外給与を受給していたケースです。

今回は前年度の保育料と大きな差が生じたので、たまたま遡及して調べたら算定ミスが発覚したと推測される事案です。外国税額控除も絡んでいそうです。

こうしたケースは非常に珍しいと考えられます。従来の算定ミスとは性格が異なります。担当者を批判するのは酷だと感じました。海外税務は非常に複雑です。

本発表を受けて、海外赴任中等の保護者の保育料算定に関して注意する様な連絡が各区役所へ行われたのではないでしょうか。似た様な状況の家庭には、ひょっとして区役所保育担当から連絡があるかもしれません。