「保育士が足りない!待遇の問題も」保育士が足りない…本当は就業したい若者を阻む「低賃金」「責任重い」の“罪”平成26年4月開所が危ぶまれる新設保育所などで、保育所の開所・開園が予定通りに行われるか危うい事態になっているとお伝えしていました。
関東地方では、建設業界の人手不足によって開所を延期せざるを得ない保育所が相次いでいるそうです。

保育園の開園延期相次ぐ、建設業界の人手不足で

 保育園に入りたいのに入れない待機児童について多くの自治体が悩んでいる中、東京・世田谷区ではさらに頭の痛い問題が持ち上がっています。来年4月に開園する予定だった3つの保育園が開園延期に追い込まれてしまったのです。一体、何が起きたのでしょうか。

 待機児童が今年4月時点で過去最多の884人となった東京・世田谷区。その対策の一つとして、区は民間事業者による保育施設の整備に取り組みました。しかし、9日、世田谷区は新設する私立認可保育園3園の開園時期の延期を発表。来年4月から7月、8月にずれ込んでしまったというのです。

 「ここら辺は狭き門なので、保育園に入るのが、なので、本当にここができるのは皆さんの期待だったんですけど」
 「また改めて申し込みを出して、入園の結果を待つことになる」(保護者)

 一体、何があったのでしょうか。事業主を訪ねました。

 「(今年)10月21日に入札して(4社が手を挙げ)落札の業者が決まりました。(来年)4月1日開園ということで工期や工法を協議してきましたが、(間に合わせるためには)人の手配、物の手配、機械の手配、そういったものが不確実であると」(つばさ福祉会 渡部史朗常務理事)

 渡部さん側が提示した予定金額は3億2000万円。受注業者の見積もりも予算内に収まっていましたが、完成時期については、人手と資材が足りないという理由で、「来年3月末の引き渡しまでには間に合わない」と言われたといいます。

 「期待を裏切ってしまったということについては、ものすごく私たちも残念でしたし、本当に申し訳なく思っています」(つばさ福祉会 渡部史朗常務理事)

 世田谷区は一部の園児を4月から受け入れるために、仮の施設を建設して対応することにしています。

(中略)

 増加する児童数に対応するため、保育園や小学校を建設したくても、入札の不成立が足かせとなる現状。その要因の一つには、建設業界の受注能力の低下が挙げられます。公共事業は2000年前後から縮減され続け、受注競争が激化。低価格で仕事を請け負う業者が増え、その結果、業者は生き残りをかけるために人員の削減をせざるを得ませんでした。こうした状況で起きた東日本大震災。被災地では復興のために資材や人手を全国からかき集めなければならず、建設資材の高騰や職人不足が相次ぎました。さらに、今年は来年4月の消費税率の引き上げを前にしたマイホームの駆け込み需要や2020年の東京オリンピックに伴う建設需要など、全国的な“建設バブル”が人手不足に拍車をかけ、“入札の不成立”を生み出しているのです。

 「急に需要が増えたといっても、人が急激に増えるわけではないので、建設業で働く人はほとんど若い人がいないので、どうやって若い人に入ってもらうのかが大きな課題になっている」(芝浦工業大学 建築工学科 蟹澤宏剛教授)

 今月5日に閣議決定された経済対策では、入札契約手続きの効率化などの徹底や資金調達の円滑化を図ることなどで万全を期するとしています。(11日18:45)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2078233.html

東日本大震災の復旧・復興事業、アベノミクスによる建設需要の喚起、東京五輪関連事業などにより、建設用資材の値上がりや職人の確保が難しくなるといった現象が起きています。
上記記事は東京都世田谷区での内容ですが、関西でも職人不足や建設用資材の値上がりと言った話はしばしば耳にします。
民間保育所であっても建設に際して自治体等から補助金を受ける場合には公の事業と同じ様に入札を行うとされています。
自治体の直轄事業と同様、報道されていない新設保育所でも入札の不成立や完成時期の遅延等が発生している可能性が懸念されます。

平成26年4月まで残り4ヶ月を切りました。
未だ工事に着手できていない保育所があれば、来年4月の開所は厳しいかもしれません。
4月に間に合わないとなると、新設保育所を第1希望としている方のみならず、周辺の保育所への入所にも影響が生じてしまいます。
保育士・建設職人の不足と建設用資材の値上がりと、新設保育所にとっては逆風ばかりで心配です。