数多くの保育所を運営する東証一部上場企業が揺れています。「アスク○○保育園」を運営する株式会社日本保育サービスの親会社、「JPホールディングス(東証一部上場)」です。

経営を巡って山口洋前社長と荻田和宏現社長が鋭く対立しています。前社長が定款変更・役員変更等を求める臨時株主総会の開催を要求したのに対し、現社長を中心とする経営陣は厳しく反対しています。

こうした中、JPホールディングスは第三者委員会を設置し、前社長によるセクハラ等について調査を行いました

取締役会において、対象会社の株主による議決権行使に係る判断に資するという観点から、前代表者による重大なセクシュアルハラ
スメントに該当する事実の存否等について、より客観的かつ公平な第三者の視点による検証を実施すベく、第三者委員会を設置することを決議し、当委員会が設置された。

調査報告書より(以下同じ、一部削除した箇所もある、太線は投稿者強調)

調査報告書(要点版)が公表されています。ファイルサイズが非常に大きいので、再圧縮・OCR処理したファイルを公開します。

Download (PDF, Unknown)

長文です。

3,089名にアンケート、2,211件の回答

第三者委員会は当該会社の役員・従業員・前社長等33名に対し、ヒアリングを実施しました。

当該会社や子会社等の役員や従業員に対しては大規模な無記名アンケートを実施し、2,211件(対象者の約71%)の回答がありました。

以下、前社長・現社長によるセクハラ・パワハラ疑惑について、具体的に触れていきます。非常に重い表現も含まれるので、注意して読んで下さい。

山口洋前社長(創業者・筆頭株主)に関して


http://www.zaikei.co.jp/article/20110607/73644.htmlより

【経歴・性格等】

前代表者は昭和36年生まれ、大和証券株式会社を経て、平成5年3月に対象会社を名古屋にて設立、平成27年2月17日に辞任するまでの問、対象会社の代表取締役社長の役職にあるとともに、対象会社の主要子会社の代表取締役を兼務していた。また、対象会社の発行済株式総数に対する前代表者が所有する株式数割合は23.83%であり対象会社の大株主である(平成29年3月31日現在)。

前代表者は対象会社の創業者であり、設立時から代表取締役として対象会社及び関連会社の絶対的なトップであった。また、対象会社の決裁権限基準においても、多くの決裁権限が社長にあるとされていたうえ、基準上は決裁権限が部長等にあるとされている事項で、あっても、事実上は前代表者の承認を要しており、組織運営上、前代表者に権限が集中していた。

加えて、前代表者の、自らの掲げる理念(現場主義)や、何事も自分が知った上で自ら判断を下したいと考える性格も相まって、役職員は、逐一、直接前代表者に対して報告相談し、決裁を仰ぐとしづ方法によって組織の運営がなされていた。そして、前代表者の有する創業者としてのカリスマ性や能力、知識、経験、実績等に裏打ちされた判断を絶対視する傾向があり、役職員が前代表者の判断や行動に対して、正面から異を唱えることはほとんどできない状況にあった。

前社長は同社の創業者・筆頭株主でした。自らが作り上げた企業である為か、ワンマン経営と評される運営を行っていたそうです。

ご存じの通り、同社は東京証券取引所第一部に上場しています。大企業経営者によるマイクロマネジメントが行われていました。

【怒鳴りつけ・差別発言・始末書というパワハラ】

複数人から数多くの指摘があったのは、日常的に、東京支社のフロアに響き渡るような大声で役職員を怒鳴りつけ、ときには手元の書類やペットボトル等を投げつける、役職員に対して、時に侮蔑的・差別的発言をする(具体的な文言については公表を差し控える。)、些細なミス(前代表者からの電話に対して3コール以内に出なかったなど)で始末書を頻繁に書かせるというものであり、周囲の従業員は、前代表者を怒らせたくないという気持ちから委縮し、前代表者の機嫌を伺って行動をする(前代表者に怒鳴られないようにどうすればいいかを最優先に考える)という状態になっていた。

非常に過酷なパワハラです。様々なパワハラ事例を見聞き、または体験してきましたが、ここまで熾烈な話を聞いた事がありません。

中には調査報告書に記載できないような「侮蔑的・差別的発言」もあったそうです。言葉が思い浮かびます。

上司によるパワハラで萎縮してしまうと、正常な判断ができなくなってしまいます。心を病んで退職に追い込まれた従業員は少なくないでしょう。

【女性従業員との親密交際疑惑】

特定の女性従業員と食事にでかける様子が頻繁に目撃されており、前代表者が女性従業員と交際をしているとの複数の噂があった(前代表者は明確に否定)。周囲の役職員は、前代表者とそれらの女性従業員が交際しているものと認識し、受け入れていた。

「特定の女性従業員」のみならず「それらの女性従業員が交際」と指摘されています。前社長と親密な関係だったのは1人ではなく、複数人の女性従業員であったと示唆しています。

中には取り入ろうとし、自ら望んでその様な関係に発展した事例もあるそうです。

前代表者と頻繁に食事に出かけたり、交際関係があると噂される女性従業員については、女性従業員自らが望んでそのような関係に発展したと思われる事例もある。しかし、周囲から見れば、それは他の役職員に対する絶対的優位性を有する前代表者に取り入ろうとした結果であるともいえ、そのような女性従業員と親しくしていること(あるいはそのような噂を招いたこと)によって、職場環境が害されていると評価できる。このような、対象会社内における前代表者と特定の女性職員との関係の存在やその噂は、断続的に、繰り返し明るみに出ていたものであり、そのことによって、職場の風紀秩序が乱され、職場環境の悪化がもたらされていたことは明らかである。

「風紀秩序」という言葉が用いられる非常事態でした。また、前代表は既婚者でした。

前代表者は既婚者であるところ、特定の女性従業員と親密な関係に発展することに対する社会的非難は強い。特に、役職員の大半を女性が占めている対象会社及びそのグループ子会社は子育て支援事業を中核としており、その創業者で、あって、自らの子育て支援に対する理念を掲げて事業を展開運営してきた対象会社の代表取締役に対する非難は大きく、その影響は重大であると言わざるを得ない。

「強い社会的非難」と評価されるような、女性従業員との親密な関係とは何でしょうか。

【女性従業員へのセクハラ・周囲のご機嫌取り】

業務時間外の食事や社員旅行において、前代表者が、同席した女性従業員の前で性的な話をしたり、女性従業員の身体に過度に接触する行為をしているところを、役職員からしばしば目撃されている。また、役職員は、これらの宴席で前代表者の機嫌を損なわないように、前代表者の側に女性社員を配置する等の配慮をして、立ち回っていたとのことである。

業務時間外の食事・社員旅行において、前社長の機嫌を損なわない為に、周囲が苦労していた様子が伝わってきます。特定の女性職員(いわゆるお気に入り?)に応対させていたそうです。

役職員らは、前代表者が機嫌を損ねないよう気を配っていたため、代表者が好ましいと思っていると思われる女性職員が前代表者に応対することが多く、また、前代表者による性的発言にも拒絶的な対応を強く露わにすることはなかった。

もちろん、前代表者の性的言動を意に介さない女性従業員がいたことも事実であるが、その一方で、後日、前代表者による性的言動に対し拒絶感を示して他の職員に相談する女性従業員も一定数存在しており、飲食を伴う場面における前代表者による性的言動の中には、セクシュアルハラスメントと評価される行為があったと評価せざるを得ない。

荻田和宏現社長に関して


http://media-ir.com/news/?p=9475

【経歴】

現在の対象会社の現在の代表取締役は荻田和宏氏(以下「現代表者」という。)である。現代表者は、昭和40年生まれ、大和証券株式会社を経て、平成11年に対象会社に入社し、平成13年に取締役、平成19年からは常務取締役として対象会社のナンバー2の地位にあり、前代表者の片腕として対象会社の経営に携わっていたが、前代表が平成27年2月17日に辞任したこと受けて、代表取締役社長に就任した。

前社長と同じく大和証券出身です。長らくナンバー2としての地位にあり、前社長の辞任に伴って代表取締役社長に就任しました。

【パワハラ・セクハラ】

前代表者と比較すると頻度はかなり低いものの、役職員に対して怒鳴りつけるというものであり、代表者が役職員に対して怒鳴りつけることが容認されているという点では、(程度の問題はあるが)前代表者と違いがないという指摘がなされていた。

現代表者及びその他の男性取締役についても前代表者と比較すると頻度はかなり低いものの、業務時間外の食事や社員旅行において、同席した女
性従業員と過度に身体へ接触している行為が役職員から目撃されたり、特定の女性従業員を頻繁に食事に誘ったりするなどの行為があったことが窺われる。

前社長と比べて頻度はかなり低いものの、従業員に対するパワハラ・セクハラ行為を行っていたそうです。

ただ、パワハラ行為は業務に関する外形を伴っていたそうです。前社長の様な人格否定・差別的な発言ではなく、業務上の注意や指導が過剰に行われていた様子です。

頻度としては比較的少ないことに加えて、業務上の叱責や非難という外形を有していることから(従って、その発言の意図や目的、行為前後の言動、相手方の立場や感情への配慮の有無、教育ないし指導的な性質を有するか否か等との兼ね合いにより評価が異なる可能性があるため)、現時点では、パワーハラスメントに該当しうる行為が存在すると指摘するにとどめるものである。

また、現社長に対しては「特定の女性従業員との親密な交際」という指摘はありません。前社長とは決定的に異なる点です。

保育現場への影響は避けて欲しい

前社長・現社長による対立が、株主総会という場所で先鋭化しているのが現状です。

しかしながら、毎日の保育を行っている保育所はこうした対立とは無縁です。日々の保育へ影響が出ない様、落ち着いて状況を見ていくのが重要でしょう。

臨時株主総会は11月22日に開催されます。