保育所等への申込みで多くの方が気にされるのは「保育料」でしょう。各世帯の住民税額・年齢を各自治体が作成する保育料表へ当てはめて、保育料は算出されます。

肝となる「保育料表」は各自治体で大きな差があるのをご存じでしょうか。日本経済新聞社の調べによると、一定の条件の下において、約4.9倍もの保育料の開きがあったそうです。

子育て調査から 保育料の地域差 3歳未満 1.2万~6.1万円

 認可保育所の保育料は世帯収入に応じて自治体が決める。三大都市圏の主要市区と全国の政令指定都市、県庁所在市の162市区に聞いた「子育て支援制度に関する調査」は地域による保育料の差を浮き彫りにした。
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 夫婦の世帯年収700万円、子ども1人の想定で3歳未満の月額保育料を聞いたところ、回答した自治体のなかで最高は兵庫県伊丹市の6万1000円。最低の東京都渋谷区(1万2400円)と比べると4.9倍の開きがある。安価な保育料の上位17位まではすべて都内の市区が占めた。

 保育料は年齢によっても異なるが、同様に地域差は大きい。3歳が4万6500~8240円、4歳以上では4万2000~7200円の開きがあり、それぞれ6倍近くの地域差がある。

 保育料の上限額を比較すると3歳未満で2.4倍、3歳では3.6倍、4歳以上では3.2倍の差がそれぞれあった。4歳以上で最低の大阪市は1万3700円。「市独自の取り組みで2017年度から4歳以上の保育料を50%以上軽減している」という。

 保育料の引き上げ予定を聞くと、来春実施するか実施を検討中の自治体は東京都板橋区や同港区など5市区あった。「引き上げに向け検討中」は5市区、「時期は未定だが、いずれ検討が必要となる」は22市区あった。「引き上げの予定はなく、当面必要がない」と回答したのが63市区で4割を占めた。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO24220940U7A201C1L83000/

3歳未満児保育料が最も高かったのは、伊丹市(61,000円)でした。伊丹市の保育料表によると、3歳未満・6-2階層(市民税所得割190,300-300,999円)が当てはまります。

同じ条件で保育料が最も低かったのは、渋谷区(12,400円)でした。渋谷区の保育料表によると、軽減後・3歳未満児・階層D11(市民税所得割240,000-265,000円)が当てはまります。

保育料の地域差・自治体差は非常に大きいです。以前に大阪府内の各市の保育料を比較したところ、同一条件下で最大2.5倍ほどの差がありました。

大阪府各市の保育所等保育料(2-3号認定)を比較してみました

上記調査後、大阪市は教育費相当分の保育料を無償化しました。守口市は全年齢の保育料を無償化しました。大阪市は目立った影響は感じられませんが、守口市は入所申込数が急増しました。

【日経新聞より】「保育無償化」効果と課題 大阪・守口市

大阪市内で保育所を利用している保護者の立場としては、特に3歳未満児の保育料負担が大きかったのは事実です。銀行口座からの引落額を見る度に溜息をつきました。

反面、この金額で朝から夜まで保育士に手厚く保育してもらえ、多くの友達と仲良く過ごせ、そして親が安心して働けるのだから割安だとも感じました。負担感はあるものの、それを大きく上回る効用がありました。

日経新聞の記事によると、保育料の引き上げを検討している自治体が幾つかありました。

引き上げは子育て世帯の家計を直撃します。一方、保育所等の運営に必要な費用が高騰している現状や非利用者との不公平感を鑑みると、一定の引き上げは仕方ないかもしれません。

必要なのは保育料を負担している子育て世帯の声を聞く事ではないでしょうか。議会や審議会ではなく、子育て世帯向けの意見聴取会という形で声を聞いて欲しいのです。

様々な子育て支援策等が検討されていますが、不思議なほどに当事者たる子育て世帯の声を聞こうとする姿勢が感じられません。当事者不在のままに子育て支援政策が決められていくのを、非常に危惧しています。

東京では「保育園を考える親の会」が幼児教育無償化に対する意見表明を行っています。

しかし、多くの子育て世帯は日々の育児や仕事で忙しく、また政治家や役所等へのアクセスに乏しく、この様な行動を行うのは非常に難しいでしょう。

子育て世帯の苦しみを効果的に届けるには、果たしてどうすればよいのでしょか。