今年10月時点での待機児童数・利用保留児童数が発表されました。

 大阪市における平成29年10月1日現在の保育所等利用待機児童数は、厚生労働省が新たに定めた基準により集計した結果、本年4月1日に比べて1,010人増加、昨年の同時期に比べて827人増加し、1,335人となりました。なお昨年度までの基準で集計した場合は、本年4月1日に比べて108人増加、昨年の同時期に比べて75人減少し、433人となりました。利用保留児童数については、昨年の同時期より38人減少し、5,294人となりました。

また、保育所等在籍児童数は、昨年の同時期に比べて1,070人増加し、51,159人となりました。

http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kodomo/0000419077.html

ややこしいのは大阪市が定義した待機児童数(旧定義)と、厚生労働省が新たに定めた基準(新定義)が混在している点です。

両者の大きな違いは「育休中の取扱い」です。旧定義では「基準日(10月1日)に育休を取得している者」は待機児童から除外されていました。

一方、新定義では「育休取得中かつ基準日時点で復職する意思がない者」のみが待機児童から除外されています。つまり、新定義では「育休取得中かつ基準日時点で(すぐに?)復職する意思がある者」が待機児童に含まれています。

これにより、みかけ上の待機児童数は大幅に増加しています。

しかし、保育所等への入所を考えている世帯にとって、「待機児童数」は全く信用できない数字です。重要なのは申し込んでも入所できていない「利用保留児童数」です。

平成29年10月1日時点での保留児童数は、昨年同日より36人減少して5,294人となりました。入所申込数が増加する一方、多くの保育所等を新設した事により、結果として保留児童数は横ばいとなりました。

新旧比較が可能な旧定義を基に区別の数字を見ていくと、多くの区で待機児童数は減少しています。

待機児童増は城東区・淀川区・住吉区・東成区

待機児童数が大きく増加しているのは城東区・淀川区・住吉区・東成区といった都心部に隣接した地域です。

都心部ほどの保育施設の拡充が図られなかった一方、都心部よりやや安価なマンション等を求めて共働き世帯が移り住んだ為でしょうか。

保留児童・待機児童の大半を0-2歳児が占める傾向は変わっていません。今後、大阪市は保育所の新設に加え、それ以上に地域型保育事業や企業主導型保育の新設に注力する方針です。

大阪市長が企業主導型保育の設置を呼びかけ

大阪市の吉村市長は在阪経済団体に対し、企業主導型保育の設置を会員企業へ働きかける様に要請しました。

「企業主導型の保育所を」 経済3団体に大阪市長要請

大阪府市と関西の経済3団体首脳は26日、意見交換会を大阪市内で開いた。大阪市の吉村洋文市長は3団体首脳に対し、企業が主体的に運営する「企業主導型保育所」の設置を会員企業に働きかけるよう要請した。吉村市長は子育てを理由に多くの女性が働きたくても働けない現状に触れ、「大阪の経済力の喪失だ」と指摘。関西経済連合会の松本正義会長らは協力を約束した。

大阪市が26日に発表した10月1日現在の待機児童数は1335人。待機児童の定義が厳格になったため、2016年10月の508人から大幅に増加した。吉村市長は18年4月に待機児童をゼロにする目標は変えないとした。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2511157026122017LKD000/

企業が主導となって都心部の小さなスペース等でも柔軟に設置できる反面、保育士資格を有する職員の基準が緩和されている・子供と一緒に混雑する電車で通勤するのは厳しい等の指摘もあります。

ただ、吉村市長がなりふり構わずに保育施設の拡充を図っているのは間違いありません。もしも市長が保育施設の拡充に後ろ向きであれば、待機児童数・利用保留児童数は爆発的に増加していたでしょう。

これからは施設の拡充に加え、安全性の確保や保育の質の向上が求められていくでしょう。増加した保育施設に対し、市役所職員による監査は追いついているでしょうか。各施設は十分な保育士を採用できているでしょうか。

忘れてはならないのは保護者の願いです。多くの保護者は「自宅近くにある6年保育の保育所への入所」を願っています。

地域型保育事業や企業主導型保育を否定するつもりはありません。が、やはり「保育所の新設(できる限り園庭付き)」に重きを置いて欲しいです。