船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5歳)が虐待死し、両親が逮捕された事件の続報です。

※関連投稿は「検索:【目黒虐待死】」からご覧下さい。

警視庁が近くの人に話を聞いたり周辺の防犯カメラを調べたりしたところ、結愛ちゃんはことし1月下旬に香川県から東京に引っ越したあと家族で近所にあいさつ回りをしたとき以外、外出が確認されていないことが警視庁への取材で分かりました。

両親は1歳の長男を連れてたびたび出かけていましたが、結愛ちゃんの体調が悪くなってほとんど動けなくなっても病院に連れて行かなかったということです。

警視庁によりますと2人は、調べに対して「虐待が発覚するのを恐れて病院に連れて行かなかった」などと供述しているということです。

警視庁は結愛ちゃんがアパートの部屋に閉じ込められた状態だったとみて当時の状況などを調べています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20180607/8030001111.html

虐待が発覚する切っ掛けの一つは、幼稚園や保育所の先生が気づく事です。大阪市箕面市で筒井歩夢ちゃんが虐待死した事件では、通っていた保育所の先生が気づいて児童相談所が対応に動いていました。

【ニュース・随時追記】大阪・箕面市で筒井歩夢ちゃん(4歳)が虐待死、母親・交際相手・その友人を殺人容疑で逮捕(時系列まとめ、写真あり)

香川県善通寺市に住んでいた当時は幼稚園へ通っていたそうです。虐待等の兆候は、幼稚園の先生がすぐに気づいて児童相談所等へ相談していたのでしょう。

しかし、今年1月に東京へ転居してからは幼稚園等へ通わず、ずっと部屋に閉じ込められていたそうです。周囲の人間は虐待されている児童がいた事に、全く気づいていなかったのではないでしょうか。

児童相談所の対応も指摘されています。

を受け死亡した事件で、一家が東京への転居前に暮らしていた香川県は、当時の児童相談所の連携が適切だったかを検証することに決めた。専門家による第三者委員会を近く設け、品川児相(東京都)との情報共有が適切だったかなどを調べる。

結愛ちゃんは保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された父親の雄大容疑者や母親の優里容疑者と香川県善通寺市に住んでいた。同県の児相は2016~17年、2度にわたり結愛ちゃんを一時保護。児童福祉法に基づいて面談などの指導措置を取っていた。だが、昨年12月に雄大容疑者が単身で東京に転居したことなどもあり、今年1月に措置を解除した。
結愛ちゃんらは同月に東京へ転居し、雄大容疑者と同居を再開。香川県の児相は品川児相に引き継いだが、品川児相は結愛ちゃんに接触できなかった。

http://mainichi.jp/articles/20180608/k00/00e/040/246000c

児童相談所は都道府県・政令市・中核市(一部)が設置しています。

香川県善通寺市に在住していた際は香川県西部子ども相談センターが対応していました。東京に転居後は品川児童相談所が対応するものとして、両相談所で引き継ぎが行われたそうです。

しかし、品川児童相談所は結愛ちゃんに接触できなかったそうです。そして、事態は東京転居後に悪化しました。

 結愛ちゃんは平成28年12月以降、香川県善通寺市の自宅アパートの外に放置されていたとして、県の児相に2度、一時保護された。児相は父親の雄大容疑者らの面接などを経て、昨年7月、結愛ちゃんを両親の元に戻した。

同児相によると、雄大容疑者はこのころから、平仮名の書き取りなどの厳しいしつけをしていた一方で、結愛ちゃんを連れて公園に遊びに行くことも多かった。家族でおやつを一緒に手作りすることもあり、結愛ちゃんが空腹を訴えたことはなかったという。同児相は環境が改善しているとして、今年1月、雄大容疑者らに対して専門家の指導を義務づける「指導措置」の行政処分を解除していた。

しかし、一家が東京都目黒区のアパートへと転居した1月下旬以降、事態は急変。結愛ちゃんは外出を許されず、1日1食など厳しい食事制限を受け、死亡時の体重は2歳児並みの約12キロしかなかった。

対応の引き継ぎを受けた品川児相は、2月に家庭訪問を実施した際に優里容疑者に面会を拒否されたが、指導措置が解除されていたことなどから緊急性はないと判断、強制的に保護するなどの措置は取らなかった。香川県西部子ども相談センターの久利文代所長は「引き継ぎ時のフォローなど、まだやれることはあったはず」と唇をかむ。両児相は今後、外部の有識者を交えて対応の検証を進める。

https://www.sankei.com/affairs/news/180607/afr1806070034-n1.html

この点につき、両児童相談所の受け止め方に差異があります。香川県西部子ども相談センターは「緊急性の高い案件」と主張したそうです。

1月29日には「緊急性の高い案件」としてケース移管することになった。担当者は「すぐにでも本人に会って確認をしてほしい。指導措置は4日に解除になっているが、指導を積極的に続けてほしい」と伝え、数百ページあった2016年8月からの全記録を送付した。

弟の健診もあるため、引継ぎの際には「健診の時に結愛ちゃんの確認をして」とも頼んでいた。

品川児相は「転居で環境も変化している。どこまでできるか分からないが、対応は考える」と答えた。品川児相では緊急受理会議が開かれ、ケース移管の受理が決定した。

しかし、その後2回ほど「ケース移管でしたか?情報提供でしたか?」と問い合わせがあるなど、すれ違いが見られた。

県はそのたびに、「ケース移管であり、緊急性が高い。終結したケースではない。早く会って本人確認を」と伝え、2月5、6日には母親に電話を入れた。

https://www.huffingtonpost.jp/2018/06/06/gyakutai-yua_a_23452097/

東京転居を契機に児童相談所・幼稚園や近隣住民の目が届かなくなり、虐待が激化、そして死に至った構図が見えてきます。