来年4月に小学校・中学校へ進学する子供がいる世帯には、8月下旬以降に「学校選択制」に関する冊子やチラシ等が郵送されているでしょう。

大阪市の多くの区では、平成26年~平成27年にかけて「学校選択制」が導入されています。これは就学する小学校・中学校を一定範囲から選べる制度です。

居住学区に隣接する学校のみを選択できる、区内全域の学校を選択できる等、選択できる幅は区によって異なります。また、全区から進学できる小中一貫校も存在しています。

どの学校を選ぶかは、保育所選びと同じぐらいに重要です。我が家は学校選択制を利用するかしないかと悩みました。

小学校の情報は意外と掴みづらい

就学前の児童のみがいる家庭にとって、小学校は未知の場です。親世代が小学校へ通っていたのは数十年前、当時の知識は現代では通用しません。

しかし、小学校に関する情報を得るのは意外に難しいです。

大阪市の学校は学校ウェブサイトを保有し、毎日の学校生活の様子等を掲載しています。しかし、これは日々の断片的な内容に過ぎません。1年間の流れ・教育内容・学校の雰囲気・先生方の考え方等は掴みづらいです。

また、小学校は「口コミ情報が参考にならない」という側面もあります。保育所等や幼稚園は保護者が毎日送迎しているので、施設や先生方の様子等は親がダイレクトに把握できます。

しかし、小学校は子供だけで登校するのが一般的です。保護者が学校へ出掛ける機会は限られています。親が知りうる情報は「子供」というフィルターを通じた情報が主でしょう。不正確でバイアスが掛かりやすいです。

大阪市立学校データベースでデータや数字の確認を

進学を検討している小学校の情報を得るには、どういった方法が良いのでしょうか。

上で紹介したとおり、基本となるのは各学校のウェブサイトです。ただ、学校生活が大半を占めるのに加え、スマホでは非常に見づらい構造となっています。

お勧めするのは、各学校の形式的なデータや数字をまとめた大阪市立学校データベースです。

大阪市立学校データベース

各学校の学級数・児童数・学力テストの結果・学区の大卒率や世帯所得(社会経済的背景)・地図・学校日記・学区や沿革等をまとめたものです。学校や地域を知る客観的なデータです。

学校公開・説明会には必ず参加を!

必ず行って欲しいのは「学校公開・説明会への参加」です。

多くの学校では9月~11月にかけて学校公開や学校説明会を実施しています。来春の入学予定者のみを対象とする学校もあれば、在校生保護者を対象とした学級参観と同時に行う学校もあります。

学校公開は学級参観と概ね同じ内容でしょう。各学級で行われている授業の様子を、廊下や教室後部から観察できます。落ち着いた雰囲気で授業進行する教室もあれば、慣れない雰囲気に子供が戸惑って授業に苦慮する教室もあります。

一定の範囲で学校内を見学する事もできるでしょう。学校公開に参加して衝撃的だったのは、残念ながら「建物・教室・備品の古さ・汚さ」でした。

予算制約があるので仕方ないとは言え、「私が通っていた小学校より古くさい」「こんな教育環境で良いのか」と愕然とした覚えがあります。

学校公開と同時に、多くの学校では説明会も行われるでしょう。学校の管理職(校長・教頭・校務主任等)が司会・説明役を務め、学校の沿革・雰囲気・教育目標等を説明するものです。

この学校説明会は非常に重要です。学校制度や小学校等について、学校管理職に質問できる機会はここだけです。日頃の疑問・入学後の生活・学校の雰囲気等、訊きたい事は何でも訊いてしまいましょう。

時間に余裕がある方はどの学校へ進学するか迷っている方は、是非複数の学校を見学して下さい。

学校はそれぞれに特色・長所短所があります。比較検討する事で、より良い選択が可能となるでしょう。

PTA・学校行事・宿題

特に共働き世帯が説明会で訊くべき内容は「保護者と学校との関係」です。

保育所とは違い、小学校は保護者に優しくない組織です。保育所の様な手厚さはありません(今にして思うと、保育所は神の様な存在でした)。

また、専業主婦のスケジューリングや協力を前提とした構造が色濃く残っています(幼稚園出身家庭と親和的です)。

念入りに訊くべきなのは、PTA活動・親が参加する学校行事・宿題や家庭学習の分量・学童保育(いきいき)です。

PTA活動は本当に大変です。強制加入や意義について疑問の声が湧き上がるのは理解できます。特に祖父母が近居・同居していない共働き世帯は、本部役員や委員長(最低1度は就任を求められる)を担うのは難しいと感じました。

学校行事も問題です。様々な学校行事は平日に設定されているので、その都度休みを取るのは容易ではありません。

また、小学校は帰宅してからが勝負です。持ち物の準備・宿題の確認等、親がすべき内容は多いです。保育所の方が遙かに楽でした。

余談ですが、大阪市の学力低迷は家庭における親の学習指導にも一因があるのではと感じています。世帯所得が低くて働く親が多く、家庭での指導に手が回りづらいのかもしれません。大卒の親は要領よく指導できそうですが、そうでない親は教えるのも一苦労かもしれません。

いきいき

大阪市の小学校が恵まれているのは、各学校に学童保育が設置されている事です。いわゆる「いきいき」です。年間利用料は500円(保険料)です。

学校組織から独立した指導員が、授業終了後に空き教室等を利用して学童保育を行う制度です。校長・教頭等はあまり詳しくなく、指導員に訊いて欲しいとする学校も少なくないでしょう。

全ての小学生が参加できます。学校選択制を利用して隣接校へ通っていても、長期休暇中は学区内のいきいきを利用する児童もいます。

利用時間は原則として午後6時まで(希望者が多い学校は7時まで)となっています。これより長時間の学童保育を必要とする場合は、近隣にある民間学童を利用している家庭が多い様子です(利用料が高いと聞きます)。

いきいきで残念なのは、給食がない事です。土曜日や長期休暇中に利用するには、弁当を持参しなければなりません。夏の暑い盛りに、毎日の様に弁当を作るのは非常に大変です。「市販の弁当やパン等でも構わない」とするいきいきもあるので、確認して下さい。

同じ市立学校でも違いが多すぎる!

私は複数の学校公開・説明会に参加しました。

痛感したのは「同じ大阪市立小学校であっても、設備や構造・教職員の考え方・雰囲気は大きく違う」事でした。小学校として教育・学習する内容は同じです。しかし、それ以外の面で大きな違いが感じられました。

当然の事ですが、学校によって敷地面積や建物等には大きな違いがあります。広い学校があれば、狭い学校もあります。多くの児童が複数学級に分散している学校もあれば、各学年1-2クラスしかない学校もあります。

児童が多い学校は活気がありました。運動場も広く、運動もしやすそうでした。反対に少ない学校は落ち着いていて、まとまりが感じられました。児童1人1人の顔と名前が一致しているのか、校長先生が名前を呼んで声を掛けているのが印象的でした。

単学級?複数学級?

どの学校を選択するかは各家庭の判断でしょう。客観的な数字として、小学生の7.5%・中学生の5%が学区外の学校へ通学しているそうです(保護者アンケートより)。

また、様々な議事録や保護者の動向として、「単学級の学校を避け、複数学級がある学校を選択する」傾向が強いと感じています。小規模校から適正規模校や大規模校に児童が流出する地域が多いです。

単学級の最大の欠点は、クラス替えができない事です。児童間の人間関係が固定しやすくなります。問題が深刻化して別クラスに分けたくても、物理的に分けられません。

我が家の選択は

小学校は子供が6年間も通います。下の子がいる家庭は、更に長い期間となります。

学校管理職の話を直に聞き、自由に質問できる機会は学校公開・説明会だけです。仕事で休みを取ってでも、参加して下さい。それだけの価値があります。

最後となりますが、我が家は最終的に「学区内の小学校」へ進学しました。

隣接する小学校と迷いました。落ち着いて考えると、迷う→決定的な判断材料がない→だったら学区内の小学校で良いのでは、という結論になりました。

消極的な判断だったかもしれません。今のところは登校拒否もせずに通っています。