クリスマスイブの夜、筒井歩夢ちゃん(4歳)が実母・交際相手・その友人の3人に殺された事件の続報です。

【ニュース・随時追記】大阪・箕面市で筒井歩夢ちゃん(4歳)が虐待死、母親・交際相手・その友人を殺人容疑で逮捕(時系列まとめ、写真あり)

加害者3人の裁判員裁判が行われています。

箕面4歳児暴行死 男2人認める

02月15日 17時55分

おととし、大阪・箕面市で同居していた4歳の男の子を暴行を加えて死亡させた罪などに問われた2人の男に対する裁判員裁判が始まり、被告側は起訴された内容を認めました。

おととし12月、箕面市の集合住宅で4歳だった筒井歩夢くんが腹に暴行を受け死亡した事件で、母親の麻衣被告(27)と、その交際相手の松本匠吾被告(25)、同居していた大倉敏弥被告(21)の3人が傷害致死の罪などに問われています。

このうち松本被告と大倉被告に対する裁判員裁判が15日から大阪地方裁判所で始まり、2人はいずれも起訴された内容を認めました。

検察は冒頭陳述で、「2人は母親に求められ、歩夢くんの腹を複数回殴った。暴行は10日余り続く常習的なもので、動機も憂さ晴らしという身勝手なものだ」と述べました。

一方、松本被告と大倉被告のそれぞれの弁護士は、歩夢くんを死亡させた暴行をどちらが中心的に行ったのか互いに責任を押しつけあう主張を展開しました。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20190215/0012671.html

松本匠吾被告と大倉敏弥被告は起訴内容を認めました。一方、互いに相手方が中心となって暴行を行ったとし、責任を押しつけ合っています。

母親は公判が分離されていますが、男2人は同じ公判で審理が行われています。

2人への論告求刑は25日に、判決は3月1日に言い渡される予定です。

箕面市の対策を大阪府が批判?

また、箕面市・大阪府が検証報告書を公開しています。

<箕面市>児童虐待死亡事案に関する調査・検証報告書

平成29年12月25日に箕面市内で発生した児童虐待死亡事案について、箕面市教育委員会にて対応経過をとりまとめ、児童虐待防止にあたっての課題やとるべき手立てについて検証し、再発防止策の策定を行いましたので、その報告書を公表いたします。

今後、本報告をふまえ、児童虐待防止に努めてまいります。

調査・検証報告書(PDF:287KB)
(参考)関係機関対応経過(PDF:143KB)

https://www.city.minoh.lg.jp/katei/kennsyouhoukoku.html

<大阪府>
児童死亡事案検証結果報告書【箕面市】(平成31年1月)

http://www.pref.osaka.lg.jp/kateishien/jidougyakutaitaisaku/tenkenkensyou.html

箕面市の報告書から重要点を整理しました。

<箕面市の問題点>
・大阪府池田子ども家庭センター(児童相談所)や池田市児童虐待担当課との引き継ぎが不十分であった
・優先的に保育所へ入所させるべきであった
・保育所と箕面市各課室との役割分担が不明確だった
・安易にリスク度を引き下げ、主担を大阪府から箕面市へ変更してしまった
・ネグレクトに対する保育所の危機感が箕面市担当課へ伝わらなかった
・新たな男性2人が出現して保育所を欠席しがちになっても、特段の対応を行わなかった
・保育士が青あざを見つけても、児童相談所へ連絡しなかった

<箕面市の対策>
・転入時やケース移管時には全件ケース会議を開催する
・箕面市各課室や保育所を束ねる、児童相談支援センター(コントロールタワー)を設置する
・児童相談支援センター内に子ども家庭総合支援員11人(特別職非常勤)を配置する
・大阪府に職員派遣を要請する
・保護児童対策協議会児童虐待部会に児童相談支援センター長、箕面警察署、弁護士、学識経験者等の委員を追加する
・児童虐待等を把握した職員は、直ちに電子メールで連絡する(ゼロ報)
・養育支援目的の保育所入所を実施する
・子どもにかかわる部署の職員は、児童相談支援センターで職務体験させる
・保健師、民生委員、児童委員の見回りを強化する
・児童虐待通報を啓発する
・児童虐待対応マニュアルを整備する
・警察や児童相談所との連携を強化する

https://www.city.minoh.lg.jp/katei/documents/kensyouhoukoku-02.pdfより作成

大阪府の報告書に記載されている事案の概要・各組織の問題点は、箕面市の報告書と概ね同じ内容です。

一方、対策は異なっています。箕面市が役所内での情報共有や組織整備を重視するのに対し、大阪府は人材育成を強調しています。

<大阪府の対策>
・児童虐待に対応できる人材や組織が市町村に不足している
・大阪府が市町村を支援すべきだった
・市町村は非常勤職員やローテーション勤務を充てず、専門職員を育成して対応すべき
・大阪府がアセスメントや引継等に関する共通書式を作成し、各市町村が利用する
・市町村児童福祉主管課で、児童相談所との連絡担当者(リエゾン)を設定する

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/4479/00177074/minoshi.pdfより作成

箕面市が新たな組織を設置し、職員(非常勤)を充て、関連部署の職員を職務体験させる対策を打ち出しています。

これに対し、大阪府は「根本的な対策にならない」と批判している様に感じました。

行政職や非常勤職員ではなく正規採用した専門職を中心に人材を育成し、これを大阪府が支援するとしています。箕面市クラスの自治体でも、保健師や保育士等の児童福祉に詳しい職員は存在します。

栗原心愛さん(千葉県野田市)船戸結愛さん(東京都目黒区)での虐待死案件とも共通しているのは、「役所内の各組織間での風通しの悪さ」です。

誰が責任を持つのかが不明確で、仕事を押しつけ合う内に悲惨な事件が起きました。