被告人が経営する認可外保育施設で預かっていた1歳児に対し、大量の食塩を摂取させ死に至らしめた事件の続報です(※過去の記事一覧)。

盛岡地裁で和解が成立しました。

<盛岡・1歳児食塩中毒死>損害賠償訴訟 元被告と和解成立

 盛岡市の認可外保育所で2015年8月、下坂彩心(あこ)ちゃん=当時(1)=が塩化ナトリウム中毒で死亡した事件で、両親が保育所を経営していた吉田直子元被告(35)に6270万円の損害賠償を求めた訴訟は26日、盛岡地裁で和解が成立した。

 原告、被告とも和解内容を明らかにしていないが、吉田元被告が和解金の一部を26日に支払い、残りを分割して支払うとみられる。

 彩心ちゃんの父亘さん(29)は、内容は「不本意」としつつ、「(協議で)裁判官に傷害致死であると認めてもらい(吉田元被告に)生涯を懸けて償うと約束させた」と和解理由を説明した。

 盛岡地裁は18年9月、彩心ちゃんに食塩を入れた乳児用イオン飲料を飲ませて死亡させた業務上過失致死罪で吉田元被告に禁錮1年、執行猶予3年の判決を言い渡し、確定した。両親は「刑事裁判では真実が明らかにならない」として18年2月、損害賠償訴訟を提起した。

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201902/20190227_33038.html

4年前、盛岡市の保育園で、当時1歳の女の子に、多量の食塩を入れた液体を飲ませて死亡させたとして、両親が元園長を訴えた裁判の和解協議が開かれ、元園長が賠償金を支払うことで和解が成立しました。

この裁判は4年前、盛岡市にあった認可外保育園で、当時1歳の下坂彩心ちゃんが多量の食塩が入った乳児用の液体を飲んで死亡したことをめぐり、両親が吉田直子元園長(35)に、6000万円余りの賠償を求めたものです。

盛岡地方裁判所は去年12月、双方に和解案を示し、26日、元園長も出席して2回目の協議が開かれました。

協議はおよそ30分で終わり、その後、報道陣の取材に応じた原告の代理人の弁護士によりますと、元園長が賠償金を支払うことで和解が成立したということです。

代理人は、和解の条項に反するとして賠償金の額を明らかにしていませんが、元園長は、すでに頭金を支払ったということで、残りは分割して、今後、毎月支払う意思を示しているということです。

一方、元園長の代理人の弁護士は、取材に対し、「何も話せない」としています。

和解成立後、原告で、彩心ちゃんの父親の下坂亘さん(29)は「和解した内容はとても不本意です。なぜ塩を飲ませたのか明らかにされなかったし、元園長が心から謝罪してくれたとは思えません。しかし、判決を受けるよりも、生涯彩心のことを忘れずに罪を償ってもらうことを選びました」というコメントを出しました。

また、代理人の大谷恭子弁護士は、「和解内容としては不十分で納得していない」と述べました。

それでも和解した理由について、「彩心ちゃんのことを忘れず、月々の支払いを続けるのなら、両親としては仕方ないという結論になった」と述べ、苦渋の判断だったことを明らかにしました。

元園長は、業務上過失致死の罪に問われた刑事裁判では、禁錮1年、執行猶予3年の判決が確定しています

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190226/k10011828901000.html

これで刑事訴訟・民事訴訟が共に確定しました。

しかしながらどうして大量の食塩を摂取させたのか、すぐに緊急搬送しなかったのか等、数多くの不明点が残されています。まさしく「苦渋の決断」だったのでしょう。

子育て中の家庭は食塩の摂取量に気をつけると共に、保育施設を利用する場合は安全性(特に職員配置)を入念に確認すべきでしょう。

悲しい事件でした。