保育所の空きを探すには区役所へ問い合わせを行うのが一般的です。
が、忙しい日中に足を運んだり電話するのを忘れてしまう方も多いでしょう。
「定期的に空き情報をWebに公開されていれば便利なのに」と思います。

待機児童対策に力を入れている首都圏の多くの自治体では、毎月の空き状況を定期的に公開しています。
大阪市内では淀川区が毎月1日現在の認可保育所(園)の入所可能数(空き状況)を公開しています。

淀川区内認可保育所(園)の入所可能数について
平成26年5月1日現在

大半の保育所において1-2歳児は空きがない一方、0歳児及び3-5歳児は空きがある保育所が散見されます。
特に一部の公立保育所はまとまった数の空きが目立ちます。

淀川区は保育所への入所倍率が市内平均を少し上回っています(市内平均1.16倍、淀川区1.30倍)。
中央区や西区ほどの高倍率ではなく、保育所に関する状況については平均的な区の一つだと捉えられるでしょう。

5月1日現在、24保育所の内、約3割の7保育所で0歳児に空きが発生しています。
待機児童問題の解消が叫ばれて保育所の増設が続けられる中、ちょっと意外な数字かもしれません。
しかし、これだけの空きの発生は昨秋時点で予測できていました。

昨秋、平成26年度一斉入所申込状況から各区毎の入所倍率等を分析しました。
分析対象に淀川区もありました(詳細はこちら)。
1-2歳児の申込倍率が2倍前後と高い一方、0歳児は1.06倍と約半分の数字でした。
第1希望としての申込が多い保育所がある一方、少なかった保育所もあります。

平成26年5月1日現在で0歳児の空きがある保育所は、いずれも平成26年度一斉入所申込において第1希望申込者が定員を下回っていました。
仮に下回っていても第2希望として記入されていれば入所者が集まります。
しかし、ある地域にある複数の保育所を合算した定員数を当該地域に住んでいる入所申込者数が下回った場合、その地域の複数保育所で空きが生じてしまいます。
5月1日現在で0歳児の空きがある保育所は阪急十三駅周辺に集中しています(新東三国保育園を除く)。
しかし、これらの保育所では1歳児以降に空きはほぼありません。
こうした数字から「5月1日現在に於ける阪急十三駅周辺の0歳児保育は、受け入れ能力が過剰である」と推測されます。

「簡単に入所できて助かる」という意見がある一方、深刻な副作用も見逃せません。
『1歳児入所との著しい不公平』です。

こうした地域での0歳児入所は、多くの場合で基準点数による評価を行わなくても入所できてしまいます。
申込が定員を下回る、いわゆる「全入」状態です。
しかし、1歳児・2歳児入所は全く別の様相を呈しています。

たとえばふたばこども園の場合、0歳児入所倍率は0.83倍でした。
一方、1歳児は4.00倍、2歳児は5.50倍です。
0歳児なら簡単に入所できるのに、1歳児・2歳児は極端に難しくなってしまっています(詳細はこちら)。

入所基準点も全く異なるでしょう。
となると、0歳児で入所した児童と1歳児・2歳児で入所した児童で保護者の勤務時間が全く異なり、「保育に欠ける」状況が大いに異なるケースが発生します。
希望する保育所へ誰もが入所できるのは理想的な姿です。
しかし、「ある特定の年齢ならば入所できるのに、異なる年齢ならば極めて困難」という事態は不合理です。
特に0歳児一斉入所が困難で1歳児一斉入所となる早生まれの場合、著しい不利益を被ります。

お世話になっている保育所では早生まれの児童が少なく、年長・年中になってもその傾向は続くと聞きます。
「保育所に入所する為に早生まれを避ける」というのもおかしな話です。

現時点で空きが生じていても、年度途中申込によって数ヶ月後には空きがなくなるでしょう。
しかし、0歳児と1歳児で入所に必要な点数は大いに異なったままです。
0歳児で空きが生じていない保育所でも同様です。
今後は育休等による保育が可能な0歳児定員は抑制し、代替手段に乏しい1-2歳児定員に重点を置くのが必要でしょう。