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(7/24追記)
京都市による特別監査が実施され、調査報告書が公開されました。
社会福祉法人の私物化とも言うべき、杜撰な保育所運営が明らかになっています。
詳しくは5歳男児重傷で保育所「春日野園」理事長・園長に改善勧告 京都市をご覧下さい。
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【ニュース】5歳保育園児、女性職員に放り出され頭蓋骨骨折の続報です。

5歳児を放り出して頭蓋骨骨折を起こした春日野園や他の認可保育所で、基準の保育士数を満たさない保育所が相次いで指摘されていました。

京都市の認可保育園、17園で保育士不足を指摘

 京都市伏見区の民営認可保育園「春日野園」で男児(5)が頭蓋骨を折る重傷を負った問題に関連し、同園と同様に保育士不足を市の監査で指摘され、指導を受けた認可保育園が2013年度に17園あったことが25日、分かった。保育ニーズが高まる中、定員以上の園児を受け入れる園が増えていることなどから、保育士不足が慢性化しているとみられる。

 市の保育士配置基準は、一歳児5人につき1人、三歳児15人に1人(国基準は一歳児6人に1人、三歳児30人に1人)など。市は、市内の全254保育園に対し、5月時点の配置数を基準に、適正に配置されているか監査している。

 13年度の監査では、同園を含む17園で3~1人、保育士数が基準を満たしていなかった。市が12年度に保育士配置基準を国より手厚くしたことで、より多くの保育士の確保が求められるようになったのも一因とみられる。急な退職などで欠員が生じるケースも多いという。

 事故があった春日野園は12年度に1人、13年度に3人が不足しており、14年2月までに是正されたという。

 一方、保育ニーズの高まりを受け、定員を超える園児の受け入れを行う園も市内には多い。既存の保育士配置基準をクリアしたうえで、3歳児1人につき保育室1・98平方メートル、園庭3・3平方メートルを確保するなどの基準を満たせば、上限なく受け入れられる。

 市内の認可保育園では、14年4月時点で定員計2万6035人を10%上回る計2万8868人が入園している。

 最大で定員より1・7倍の園児を受け入れている園もあり、春日野園も、定員90人の1・5倍の136人を入所させていた。

 ただ、国は15年度以降、2年続けて定員の2割以上を入園させている園には改善を求める方針だ。25日開かれた市議会教育福祉委員会で、上野壽世子育て支援部長は、春日野園の園児数を「かなり多い」と指摘。今後、定員を超過しすぎている園は定員自体を増やすなど、実態に合わせるよう求めていく姿勢を示した。

http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20140626000020

春日野園では2012年度に1人、2013年度に3人の保育士不足が指摘されており、後日是正されたとは言えども2年連続して保育士不足が指摘されていた構図となります。
また、同園は定員90人に対し、1.5倍の136人を入園させていたとされています。
弾力化措置によって定員を超過して受け入れている保育所は珍しくありませんが、1.5倍は他に例を知りません。

6月25日の京都市会教育福祉委員会にて、同事件について報告が行われています。
資料はこちらです。

春日野園(民営認可保育園)における児童頭がい骨骨折事案について

新聞報道等から漏れていた点は下記の通りです。
・運営法人たる社会福祉法人春日野園の理事長は澤井健二氏
・同氏は元大学教授、園長とは夫婦(当方調査による)
・事故発生場所はホール外の園庭
・6月21日付で保育園から保護者へ謝罪文が提出された
・被害児童の術後は順調で、2週間程度で退院の見込み

保育士資格の最低基準違反等の問題があって指導等を行っていたとの事です。
が、痛ましい事件が発生してしまい、結果として市による対応に問題があったと言わざるを得ません。

全国的に保育所の増設が相次いでいる中、同様の事件・事故は他自治体で発生していてもおかしくありません。
恐らくは他自治体でも保育士の最低基準等の実態把握を急速に行おうとしているのではないでしょうか。

保育士不足は深刻です。
仮に保育士の最低基準違反を理由として定員の強制的削減等を命令した場合(現行法下で行えるかは別として)、登園していた児童や入所を考えていた児童達は路頭に迷ってしまいます。
これまで以上に自治体による保育士の確保に拍車が掛かるでしょう。

↓上尾保育所で発生した痛ましい死亡事故に関するレポタージュです。
一歩間違えれば、今回の事件も同様の痛ましい結末を迎えていた可能性があります。