5歳保育園児を保育所用務員(理事長・園長の親族)が放り投げて頭蓋骨陥没骨折の重傷を負わせた事件(関連記事はこちら)は、京都市会(教育福祉委員会)でも取り上げられています。
7月23日に開催された同委員会での質疑から、新たに明らかになった事項を取り上げます。

(1)親族関係にある理事長・園長・園長補佐・用務員に、保育士資格を有する者が誰もいない

調べた所、園長(施設長)に保育士資格要件はない様子です。
大阪市の認可保育所公募における質疑応答でも同様の記載があります。

質問内容
施設長の要件、年齢、経験年数等の要件はありますか?

回答
健全な心身を有し、児童福祉事業に熱意のある者で、できる限り児童福祉事業の理論及び実際について訓練を受けたものであることとしておりますが、年齢や経験年数、資格の有無などの要件は定めていません。ただし、設置・認可にあたって、施設長の児童福祉事業における経験年数等の条件がある場合は、その条件を満たしていただく必要があります。また、施設長(園長)は、施設運営の責任者となりますので、選考のためのヒアリングには、出席いただくこととしています。 なお、保育所運営費の施設長設置単価の適用については、単に施設長を設置するだけでなく「認可保育所の開設・運営について 平成26 年2 月」のP20 の基準を満たしていただく必要があります。

http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000255/255639/newboshuuyoukou.pdf

ただ、法律上の要件を満たしていたとしても、親族で占められた保育所の幹部職員が誰も保育士資格を有していないのは釈然としません。
言うなれば、原則として職員に保育士資格が必要である保育所を、資格を有さない一族が永久的に経営し続けられる形になります。
保育士が保育上の指示を園長に仰いだ場合、適切に判断できるのでしょうか。

(2)不信感を深める京都市・市会

市会での質疑応答で「誠意が感じられない」「隠蔽性」「改竄」「許し難い行為」等という辛辣な言葉が飛び出しました。
また、6月末までの提出を求めていた事故報告書につき、7月18日に6月29日付として「メールで送りつけてきた」と答えています。

(3)7/23の説明会に保育所側は出席しなかった

説明会が何故か京都市・保護者だけで行われたそうです。
事件に対する主体性が保育所から感じられません。

(4)懲罰委員会の再構成に理事全員が賛成した

一度は決定した第三者を含めた懲罰委員会の構成につき、労働者側2名及び法人役員3名に改め、これに理事全員が賛成しています。
外部からの批判を避けたい姿勢が窺われます。
なお、懲罰委員会は7月25日に開催される予定であったそうです(実際に開催されたかは未確認)。

新たな報告書や市会での質疑応答等から、更なる事実が出てきそうな雰囲気が感じられます。
この事件は引き続き追っていくつもりです。