大阪市立幼稚園と私立幼稚園では保育料が大きく異なっていました。
これを同額とする素案が発表されました。
同時に、保育所保育料の値上げに関する素案も発表されています。

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(2/4追記)
2月市会に提出される保育料案・考え方が公表されました。
【速報・重要】H27大阪市認可保育所・公立私立幼稚園の新たな保育料案の考え方が公表されました。
【速報・重要】大阪市保育所・幼稚園の新たな保育料案が公表されました。
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(1/20追記)
素案が更に修正されています。
【重要】平成27年度の大阪市保育所・幼稚園保育料につき、市長会見が行われました!
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(8/20追記)
保育所・幼稚園の世帯所得別保育料案が大阪市HPに掲載されていました
これを基に、保育所保育料の値上げ額等を中心にした記事を掲載しています
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(8/4追記)
市長会見・質疑応答(動画)で気付いた内容はこちらに記載しています。
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幼稚園保育料  私立と大阪市立同額に
2014年08月01日

 ◇橋下市長改定案 「税配分公平に」

 大阪市の橋下市長は31日、市立と私立の幼稚園の保育料を同額にする改定案を発表した。自治体が私立幼稚園の保育料を決定できる国の新制度を利用し、来春の実施を目指す。

 市によると、市立の保育料は、所得や家族構成で決まる一方、私立は各園が設定。市立だと、生活保護世帯を除き、園児1人あたり月額7433円~9100円。私立の平均は2万4488円と市立の倍以上だ。

 改定案では、子供2人の4人家族で、年収500万円の場合、保育料は市立、私立とも、3歳児が1万7600円、4~5歳児が1万5800円と同じにする。市立は大幅増だが、私立では、多くの世帯で負担が軽くなる。年収の低い世帯では、市立でも負担減にする。

 橋下市長は「これまでは市立に税の投入が偏っていた。配分を公平にする」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20140801-OYTNT50059.html

私立と市立 保育料を同額に
07月31日 21時13分

大阪市は、来年4月から国が導入する新たな子育て支援制度をふまえ、市内にある私立と市立の幼稚園の保育料を同じにする素案をまとめました。
子育て支援をめぐって、国は、来年4月から私立の幼稚園などの保育料を、保護者の年収に応じて、市町村が決める新たな制度を導入することにしています。これに先立って大阪市は、いまの市立幼稚園の保育料は市税があてられるなど、私立に比べて安すぎるとして、来年4月から、両方の保育料を同じにする素案をまとめました。
それによりますと、たとえば、夫婦と子ども2人で、推定年収500万円の世帯では、4歳以上の子どもの幼稚園の保育料は、月1万5800円にするとしています。
この場合、市立幼稚園では、いまよりも6700円高くなる一方で、私立幼稚園では、いまの平均より約3500円安くなるとしています。
市は、来年2月の市議会に必要な議案を提出する方針で、橋下市長は、記者会見で、「税を公正・公平に投入し、公立と私立とで差を設けず、所得に応じた保育料になるよう、あらためていきたい」と述べました。

http://www.nhk.or.jp/kansai-news/20140731/5367661.html

市長は既に昨年秋の段階で「(大阪)市立幼稚園の保育料が私立とだいたい同額になるよう引き上げていく」と述べていました。

 大阪市立幼稚園の民営化方針を掲げている橋下徹市長は19日、公立・私立の幼稚園保育料に格差がある問題について「市立幼稚園の保育料が私立とだいたい同額になるよう引き上げていく」と述べ、2015年には値上げを実施する考えを示した。
(以下省略)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130919-OYT8T00895.htm

上記会見を取り上げ、当Webでも大阪市立幼稚園・私立幼稚園・保育所の保育料比較という記事を掲載しました。
また、5月の大阪市会教育こども委員会においても、待場委員から「新制度における市立幼稚園の利用者負担額が私立幼稚園と変わらなくなるのではないか」という指摘があり、市側答弁でも否定していませんでした(詳細は【ニュース】市立幼稚園 民営化案を委員会で否決 & H26園児数一覧表)。
この様に、市立幼稚園保育料の値上げ(及び私立幼稚園保育料の値上げ)の動きは隠しきれないものでした。

市長会見の項目(概要)を引用して下記に掲載します。

市長会見の項目(概要)
と き:平成26年7月31日(木)14:00~
ところ:市政記者室 ■「子ども・子育て支援新制度」における利用者負担額(保育料)の考え方について
<担当:こども青少年局子育て支援部管理課 電話:06-6208-8165> 【フリップあり】
◆平成27年4月から「子ども・子育て支援新制度」が、国により施行される予定である。
◆この新制度は、小学校就学前のこどもに対する教育や保育を一体的な制度とし、地域の子育て支援も含めて、総合的に推進していくことが目的である。
◆また、新制度では、保育所・幼稚園等の利用者負担額(保育料)について、国が示す限度額を上限とし、実施主体である市町村が負担額の軽減等を決定することになる。
◆これを機に、大阪市では税投入の公平性の観点から、公立か私立か、また、保育所か幼稚園か認定こども園かで差を設けず、所得に応じた保育料となるように改めていきたい。
◆現在は、保護者の所得水準が同じであっても、保育所と幼稚園では、保育料に大きな差が生じている。
◆保育所の保育料は、国が基準額を定めており、さらには市税を投入することにより、総額で
3割程度の負担額の軽減を図るとともに、所得階層も本市独自で細分化しているが、
◆幼稚園については、基準となる保育料がなく、私立幼稚園の保育料は公立幼稚園の約2倍となっている。
◆こうした不公平感を解消するため、これまで投入していた市税相当額を確保したうえで、公立か私立か、保育所か幼稚園かを問わず、新制度で国が示す保育料の基準額に対して同割合の負担軽減を行うものとしていきたい。
◆これにより保育所及び市立幼稚園に通っているほとんどの方の利用者負担額は上がることになるが、私立幼稚園の保育料は軽減されるとともに、限られた財源の範囲内で納得感のある公平性が確保できると考えている。
◆また、施設が公平な公の支援のもとで、サービスを競い合い切磋琢磨することで、結果としてサービス全体が向上すると考えている。
◆なお、この税投入の考え方による新しい保育料の設定については、今後、市会にてご議論いただく予定である。
◆幼児教育の重要性が叫ばれ、義務化や無償化議論が国においても始まっているが、大阪市としても制度上できる範囲での充実に先駆けて取り組んでいきたい。
※市立幼稚園について
・幼稚園について、市立と私立の保育料を同一にすることにより、市立幼稚園への税投入が減少し、公私間格差は縮小する。それでも依然として、公私間での税投入の格差は大きい。
・また、保育料が上がっても、その財源を活用して設備の充実等を行う状況にない。

http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/cmsfiles/contents/0000266/266442/gaiyou2.pdf

なお、上記会見は平成26年度市長会見のライブ中継からご覧頂けます。

幼稚園保育料とは話がずれますが、記者会見及びフリップ(後掲)において「保育所保育料の値上げ」も示されています。
極めて重要な発表なので、保育所保育料の値上げについては別記事で取り上げます。

大阪市立幼稚園・私立幼稚園・保育所での平均的な保育費用を試算したところ、下記の様な結果となりました。

平均額入園料月額保育料入園料+保育料3年私幼補助後負担額
保育所なし16,633598,788598,788
私立幼稚園55,94924,158925,652581,552
市立幼稚園5,6509,100333,250333,250

大阪市立幼稚園・私立幼稚園・保育所の保育料比較より)

市立幼稚園と私立幼稚園の平均的な保育費用につき、当方の試算では約2.5倍の違いがありました。
上記素案の発表に際して、大阪市は現行保育料と子ども・子育て支援新制度における利用者負担額(素案)(モデルケース)を発表しています。

frip
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/cmsfiles/contents/0000266/266442/frip.pdf
より作成

これによると、世帯推定年収250万円の場合は市立幼稚園と私立幼稚園の保育料はほぼ同額であるところ、同500万円の場合は約2.1倍の違いが生じています。
施設の充実度・保育時間等の違いはありますが、流石に幼稚園保育料の大きな違いは無視できないと感じていました。

仮にこの素案が成立した場合、市立幼稚園は極めて大きな影響を受けます。
幼稚園保育料の安さが魅力の一つであったと考えられるところ、これが消失してしまうからです。
ただでさえ市立幼稚園は定員充足率が低かったところ(3歳児を除く)、入園志望者が更に減少して園児の減少に歯止めが掛からない恐れが極めて強くなるでしょう。
先にも触れた5月市会で、待場委員は「今後、市立幼稚園は淘汰されるのではないか」と指摘しています。
懸念が現実の物になるかもしれません。