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今回は「日本一厳しいエリアでの保活戦記」という記事を取り上げ、大阪市の状況を照らし合わせて考えてみます。
同記事は待機児童ワーストワンである東京23区のとある区にて、保育所への入所で困っている経験を基に、情報収集・東京都認証保育園・保育料・保育所の探し方等について記しています。
東京都内にお住まいの方は参考になる記事ですが、残念ながら大阪市を初めとする他自治体では状況や制度が大きく異なっており、あまり参考にならないのが本音です(記事を批判する意図は全くありません)。

<情報収集・保育所の探し方>
保育所に関して最も幅広い情報を持っているのは自治体、具体的には区役所です。
保育所担当部署にて相談すれば、それに関連して部署や担当者が有している情報を教えてもらえます。

ただ、担当者によって有している情報に大きな違いがあるのは要注意です。
新人とベテラン、窓口勤務の非常勤職員と保育関連部署勤務が長い職員では全く違うでしょう。
人によっても違いがあるので、相談内容に疑問がある場合は日時を改めて他の職員に相談する方法も有効です。

また、役所での相談全般に共通する事ですが、知っている情報であっても訊かないと教えてくれない場合が多いです。
たとえば「○○保育所に入りたい」と相談した場合、「○○保育所は空きが無い」とは教えてくれます。
一方、「○○保育所の隣接学区にある△△保育所」「勤務先の近くにある□□保育所」等は、個別に訊かない限りは情報が出てこないケースが少なくありません。
ピンポイントでの情報収集も重要ですが、一歩引いて幅広いエリアを検討すると思わぬ発見に繋がるでしょう。

個別の保育所毎の情報は、当然ですがその保育所に訊くのが一番です。
質問は電話でも可能ですが、やはり保育所を見学して園長・主任クラスの職員に訊ねるのが確実です。

仮に再び保育所選びを行う場合、保育所に是非訊きたいのは「保育士の離職率」です。
常勤保育士の総数と採用1年目の常勤保育士数(もしくは昨年度の退職者)からだいたい判明します。

離職率が気になるのは、京都市内の保育所で発生した2つの重大な事件・事故の報告書に見過ごせない記載があったからです。
2つの事件・事故とは、児童が保育士に放り投げられて重傷を負った春日野園事件と、児童がプールで水死したせいしん幼児園事故です。

両件に共通する要因として「常勤保育士の離職率が著しく高い」点が挙げられます。
京都市内の民間保育所の平均離職率が約12%のところ、せいしん幼児園はここ3年で約25%でした。
春日野園は事案発生時に在籍していた常勤職員13名の内、3年以上継続して在籍している職員はわずか3名でした。

離職率が高い民間企業が何らかの構造的な問題を抱えている場合が多いとの同様、保育士の離職率が高い保育所は何らかの問題を抱えている可能性があります。
保育士の離職率はいろいろと興味深い数字があるので、別記事にて取り上げる予定です。

<東京都認証保育園・保育料>
東京都独自の基準を設定した認可外保育園です。
大阪市にはない制度です。

認証保育所について
○現在の認可保育所だけでは応えきれていない大都市のニーズに対応しようとする都独自の制度
○大都市の特性に着目した都独自の基準(認証基準)を設定
○企業の経営感覚の発揮により、多様化する保育ニーズに応えることのできる新しいスタイルの保育所を設ける
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/hoiku/ninsyo/

敢えて言えば小規模保育に近い施設でしょうか。
保育料は8万円を越えない範囲(3歳未満児・月220時間以下の場合)で各施設毎が定め、収入に応じて区から利用者へ補助金が支給されています。
世帯が負担する保育料は認可外保育施設よりは安く、認可保育所より高いのが一般的な様子です。

見逃せないのは、認可保育所への入所において認証保育園を利用しているとポイントが加算される点でしょう。
大阪市での認可外保育施設加算と概ね同じです。
大阪市の中心部以上に待機児童問題が深刻な東京23区等では、認証保育園を経てから認可保育所へ入所するのが一般的なのかもしれません。

東京23区等と比較すると、大阪市内で保育所へ入所するのは相対的に容易です。
西区・中央区・天王寺区・北区等の1-2歳児はフルタイム共働きであっても入所できない場合も多く、恐らく東京23区等と似た状況です。
しかし、近隣他区でのフルタイム勤務や0歳児入所であれば、大半が保育所へ入所できている印象です。
個別の問い合わせ等がありましたら、各種お問い合わせからご連絡下さい。

東京での子育て、本当に大変そうですね。