近頃、大阪市内では「保育ママ」が急拡大しています。
自宅にもしばしばチラシが入っています。
平成24年から始まった制度なので、詳しくご存じない方もおられるでしょう。
簡単に解説した上で、各区毎の保育ママ一覧を掲載します。

※「保育ママ利用料金計算シート」は現在作成しています。

<目的・趣旨>

大阪市保育ママ事業(家庭的保育事業〔個人実施型・保育所実施型〕)実施要綱
(目的)
第1条 大阪市保育ママ事業(家庭的保育事業〔個人実施型・保育所実施型〕)(以下「事業」という。)は、仕事と子育ての両立を支援し、安心して子どもを生み育てることのできる社会づくりを目指して、保育の多様なニーズと低年齢児の保育需要に対応するため、保育所等との連携を図りながら家庭的保育者の居宅等において、少人数の低年齢児の保育を実施し、もって保育所待機児童の解消を図ることを目的とする。
(以下略)
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000200166.htmlより

<保育ママ事業の概要>

利用児童
・大阪市内に居住する生後6か月から3歳未満の児童
・保育従事者(保育者及び補助者)と3親等内の親族関係にない児童
施設の利用定員
・1か所5人または10人
利用日・利用時間
・月曜日~土曜日 午前7時30分~午後6時30分のうち8時間
利用料
・大阪市が定める額
保育室の環境等
・保育は保育者の自宅又は、保育の実施のために借り上げた保育室等
・保育室の面積は16.5平方メートル以上。(定員10人の場合は、33.0平方メートル以上)
・2部屋以上に区画されている場合は、保育室全体が見渡せること。
・保育を行う専用の部屋を有し、児童の安全が確保されていること。
家庭的保育者の業務
・低年齢児の保育
・良好な保育環境の確保
・利用料の徴収並びに運営に必要な経理及び労務事務
・保育従事者の雇用及び管理・指導
・利用者等への保育の内容等に関する情報提供
・関係法令及び行政からの指導の遵守
・月次報告書の書類作成及び提出
実施経費
運営費
利用児童1人に対して、月額104,400円(基本委託料)
※委託料は(基本委託料から利用料〔大阪市が決定する額〕を差し引いた額)
賃借料
児童の定員が5人の場合 月額上限80,000円(10人の場合は月額上限160,000円・100,000円を超える部分は1/2)
※賃借料は、保育実施場所を賃借する場合のみ
施設管理経費
月額60,000円(児童の定員が10人の場合のみ)
開設準備金
開設前に定められた保育用品の購入にかかる経費のうち、200,000円を上限として交付します。
保育ママ事業の詳細な内容は、「大阪市保育ママ事業 事業開始の手引き」を参照してください。
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000221704.html

大阪市における保育ママ制度の目的・概要です。
1.保育所等の連携を図る
保育所実施型・個人(法人も含む)実施型、どちらの保育ママであっても、既存の認可保育所と連携を図る事となっています(連携保育所の存在は認可要件です)。
児童同士の交流や必要な機材(身体測定機材等)の提供等がその内容となっています。
2.家庭的保育者の居宅等
「家庭的保育者」とは、(1)保育士資格を有し、かつ基礎研修を修了した者、(2)基礎研修及び認定研修を修了した者でかつ保育者として適当と認められた者、のいずれかとなります。
保育ママ事業の中心となり、児童を保育する者です。
また、「居宅等」とは保育ママ事業を行うにあたって一定の要件(面積等)を満たす居宅や賃貸アパート等を指します。
一覧表を見る限り、大半の保育ママ事業は賃貸アパートの一室で行われている様子です。
3.少人数の低年齢児の保育を実施
定員は5人ないし10人となっています。
また、生後6ヵ月以上から3歳未満(年度途中に3歳に達しても年度末まで延長可)までの児童が対象となっています。

<保育所実施型>

保育ママ(家庭的保育)事業〔保育所実施型〕について
保育ママ事業(保育所実施型)とは、保育ママ(家庭的保育者)が、当該家庭的保育者を雇用する保育所(以下、「実施保育所」といいます。)の支援を受けながら、実施保育所の近隣の賃貸のアパート等で、0歳児から2歳児までの児童を少人数で保育することです。

保育所実施型は、市内で民間保育所を運営している社会福祉法人が事業を運営しています。
利用対象者
この事業を利用するには、次の条件をすべて満たしている必要があります。
・保護者や同居の親族などがいずれも仕事あるいは病気などにより、保育に欠ける児童であること。
・0歳(原則として生後6か月以上)から3歳未満(年度の途中に満3歳になった場合は、満3歳になった後の最初の3月31日まで利用可能)の児童であること。
・児童及び保護者のいずれもが大阪市内に住んでいること。
定員
10人
保育者
大阪市が実施する基礎研修を受けた保育士2人と補助者2人の4人で、児童10人を保育します。
利用日
月曜日から土曜日。ただし、祝日及び12月29日から翌年の1月3日までを除く。
利用時間
原則として1日8時間。(1日8時間を超えて利用する場合は、料金が別途必要です)
利用料
・基本利用料については、大阪市が定めており、全施設同一です。利用する世帯の前年分の所得税額及び前年度分の市町村民税に応じて、保育ママ事業の実施場所がある区の保健福祉センターが決定します。
・基本利用料は、各保育室が定める基本利用時間分のみで、それを超える場合は別途保育室が定める利用料がかかる場合があります。また、食事代、寝具等の実費についても必要な場合があります。利用料については、各保育室へお尋ねください。
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000117771.html

<個人実施型>

保育ママ事業〔個人実施型〕とは
保育ママ事業〔個人実施型〕とは、保育ママ(家庭的保育者)が、家庭的保育補助者とともに家庭的保育支援者や連携保育所から支援を受けながら、0歳児から2歳児までの児童を少人数で保育を行う事業です。

利用対象者
利用できる児童は、保護者や同居の親族などがいずれも仕事あるいは病気などにより、保育に欠ける児童であり、生後6か月から3歳未満(年度途中に満3歳になった場合は、満3歳になった後の最初の3月31日まで利用可能)の児童です。ただし、児童及び保護者のいずれもが大阪市内に住んでいることとします。また、保育ママ事業を実施する保育室での保育従事者の方の3親等内の親族関係にある場合は、利用することができません。

施設の定員
5人 または、 10人 (保育室により異なります。受け入れることができる人数については、各保育室へ問い合わせをお願いします。)
利用日
月曜日から土曜日。ただし、祝日及び年末年始(12月29日から翌年の1月3日まで)を除く。
利用時間
施設により、開設時間は、異なります。保育室一覧を参照してください。
利用料
基本利用料については、大阪市が定めており、全施設同一です。利用する世帯の前年分の所得税額及び前年度分の市町村民税に応じて、保育ママ事業の実施場所がある区の保健福祉センターが決定します。
基本利用料は、各保育室が定める基本利用時間分のみで、それを超える場合は別途保育室が定める利用料がかかります。また、食事代、寝具等の実費についても必要になります。利用料については、各保育室へお尋ねください。
利用方法
保育ママ事業の保育室を利用する場合は、直接、利用を希望する保育室へ申し込みをしてください。利用対象の条件を満たしていない場合は、申し込みはできません。また、利用申し込みにあたり、各区の保健福祉センターにて、利用の可否を判定します。結果により利用できない場合があります。
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000180468.html

既存の認可保育所を運営している社会福祉法人等が運営している保育ママが「保育所実施型」、認可保育所の支援を受けつつそれ以外の個人・法人が運営している保育ママが「個人実施型」となります。

定員が少なく、かつ賃貸アパート等の一室で開設できるので、目的である「待機児童の解消」に向け、待機児童が多く発生している地域やマンション群等にて機動的に開設できるのが強みでしょう。
また、自宅や勤務先等の近所で見つけやすいのもメリットの一つです。

一方、保育が可能なのは満3歳となった年度の年度末までなので、それ以降は改めて認可保育所に入所し直したりする必要があるのは大きなデメリットです。
大阪市保育所入所選考基準改正案において保育ママの卒園児が認可保育所へ入所する際には5点を加点する措置が行われようとしていますが入所を確約する物でなく、、認可保育所内部から次年齢へ繰り上がる児童とは大きな違いがあります。
園庭やプール等がないのもデメリットの一つです。
0・1歳児はともかく、2歳を過ぎると外で身体をしっかりと動かしたがります。
恐らくは近隣の公園等を園庭代替として使うと思われますが、少し心配です。
また、アパート等の一室での少人数保育なので、虐待等が行われても外部から気付きにくいという不安が残ります。

一覧表を見ていると、既存の認可外保育施設から移行したり、認可外保育所を複数運営している会社等が新たに保育ママ制度へ乗り出すケースがチラホラ見受けられます。
事業者側としては大阪市から補助金が支給されるのが大きいのでしょう(開設費用・児童1人当たり約10万円/月など)。
また、保育料が認可外保育施設と比べて全般的に安い(特に中低所得層)のは嬉しいです(※「保育ママ利用料金表」は現在作成しています)。
大阪市が開設・運営費用や保育料を一部負担し、代わりに様々な許認可権を用いて公の規制を及ぼそうとするのでしょう。
将来的には認可外保育施設を全廃し、全てを保育ママ制度に移行させる考えなのかもしれません。

<利用料金表>
こちら(大阪市HP)です。
収入・所得等から自動的に利用料金を計算するシートは現在作成しています。
もうしばらくお待ち下さい。

<保育ママ一覧表>
こちらをご参照下さい。