電車や飛行機等、公共交通機関で移動中に赤ん坊と悪戦苦闘しているお母さん(お父さんも含む)を見掛けた事、ありませんか?
またご自身が当事者だった経験はありませんか?

飛行機で赤ん坊を必死で抱きかかえているお母さんの様子を見た前田司郎氏(作家)が、その様子と感想をコラムにまとめています。
ぜひご一読下さい。

風向計

お母さんを責める前に:前田司郎(作家)

飛行機で赤ん坊を連れた女性と隣り合った。僕は窓の外を見たり、本を読んだりして過ごしていたが、女性は赤ん坊を胸の前に抱え、荷物を座席の下に入れるのもひと苦労で、まるで甲冑を着て飛行機に乗っているようで、しかもその甲冑は生きていて、猫のように勝手に動くのだ。

おせっかいにならない程度を見計らって僕も手伝ったが、その度に「すいません」と謝るように丁寧にお礼を言われた。赤ん坊は無慈悲な乱暴者で、髪を引っ張ったり、前の人の頭を触ろうとしたり、おんぶ紐を外そうとしたり、おっぱいを欲しがったり、やがて泣き出した。

事情を知らずに泣き声だけ聞けば、お母さんの監督責任を追及する人もいるだろう。どうか遠くのお客さん怒らないでください。

彼女は全く休み暇もなく、二人分の荷物を持って降りて行ったが、全く頭が下がる。お母さんてものは、こんなにも大変なのか、その片鱗をみた思いである。たかだか数時間のフライトだったけど、この暴君と二十四時間付き合う母親は大変な忍耐だ。壮大な愛である。もし家族や行政のサポートも受けられず一人で赤ん坊を育てないといけない環境でいたら、おかしくなってしまうのも仕方ないかもしれない。そういったお母さんを責める前に、まずは全てのお母さんにもっと感謝すべきですね、昔赤ん坊だったことのある人は。

東京新聞 2015年3月5日

子供を育てるのは本当に大変です。
体力も気力もお金も次々と吸い取っていきます。
子育てをしていると、「そりゃ少子化も進むな・・・・」としばしば実感してしまいます。
1人で子供を育てるのに耐えきれなくなってしまう気持ちも理解できます。

お母さんを責める前に、まずはお母さんがどれだけ悪戦苦闘しているかを見て下さい。
殆どのお母さん達は必死で子供と格闘しています。
未だ足りない、自分ならもっと上手くできると感じますか?