京都市で2年連続で「待機児童ゼロ」を達成しました。
ただ、依然として、第1希望の保育所・特定の保育所へ入所できずに入所を辞退した児童(いわゆる入所保留児童)が少なくありません。

京都市の待機児童、2年連続でゼロ 民間新設など枠拡大が奏功

京都市は20日、認可保育所などに入所を希望しても入れない「待機児童」が今年4月1日時点でゼロだったと発表した。近畿の政令市で初めて「待機児童ゼロ」を達成した昨年に続き2年連続で、民間保育所の新設や増改築による受け入れ枠の拡大などが奏功したとしている。

市によると、昨年にゼロを実現した影響もあって、今年4月の保育所の利用申し込み児童数は1年前より193人多い3万346人となった。市は補助金などで 民間保育所の新設や増改築を積極支援し、今春の受け入れ枠を過去最大の1112人分も広げたことなどで、待機児童ゼロの継続につなげた。

小学校入学前の子ども数に占める保育所利用児童数の割合は前年の43・5%から0・6ポイント増え、これまでで最も高い44・1%となった。

一方、内定した保育所が第1希望ではないなどの理由で利用を辞退した人は461人いるが、現在の国の定義では「待機児童」にカウントされていない。

2年連続の待機児童ゼロについて門川大作市長は「子育て支援を市政の最重要課題と位置付け、全力を尽くしてきた成果」としながらも、「目的はいっそう子育てしやすい環境づくりだ」と述べた。
【 2015年05月20日 22時30分 】

http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20150520000155

平成27年4月に向けては下記の様な取り組みを行ってきたそうです。

<新規>
保育所等児童受入枠を1,112人分拡大(平成26年4月⇒平成27年4月)
これは,過去最大だった昨年4月の555人の2倍に当たる実績です。
・民間保育所:18箇所(新設6,増改築等11,分園設置1)
・小規模保育事業:22箇所(新設6,昼間里親改修等6,
認可外保育施設からの事業認可6,事業所内保育事業の認可4)

幼稚園における多様な保育ニーズに応えるための放課後等預かり保育の充実
・私立幼稚園における放課後等預かり保育を本市独自負担により更に充実
・市立幼稚園全園で,午後6時までの放課後等預かり保育を実施
保育利用者負担(保育料)の軽減
・2人目の保育料を本来額の1/2以下となるように設定
・さらに,同時入所を要件としない第3子以降の保育料無料化
の実施により,多子世帯への軽減策を充実

<継続・充実>
国基準を上回る本市独自の保育士配置基準と,保育士の給与改善
福祉事務所における市民のニーズに即した情報提供ときめ細かな入所相談・調整
計40箇所 1,112人増
保育料総額を国基準の64%に軽減(昨年度までの7割から,更に軽減)
平成27年4月1日現在において,
・ 保育所・認定こども園利用児童は過去最高の29,002人,小学校入学前児童 65,779人に占める割合も過去最高の44.1%(政令指定都市平均31.6%(平成26年4月)の1.4倍)となり,
・ 小規模保育事業等の利用児童749人を含めると,合計29,751人の児童が保育を利用し,小学校入学前児童に占める割合は45.2%に達し,2年連続で保育所等待機児童ゼロを達成しました。

市長記者会見資料

羨ましいのは保育料総額を国基準の64%まで軽減させている措置です。
大阪市は平成27年4月から保育料を大幅に値上げしようとする計画でしたが、議会の反対にあって最終的には値上げ幅・対象世帯が大幅に縮小されました(詳細はこちら)。
大阪市と同等の規模の政令市がいずれも保育料を据え置きないしは値下げする計画であり、値上げする計画であったのが大阪市のみだった点が議会で指摘されたのが一因でしょう。
京都市は平成26年度までの保育料は国基準の7割でしたが、平成27年度からは更に軽減させています。

同時に、同時入所を要件としない第3子以降の保育料無料化を実施しているのも大きな特長です。
保育所保育料は原則として第2子は半額、第3子以降は無料とされています。
ただし、これは「同時に入所している場合」に限られていました。
第2子と言えども第1子が小学生の場合であれば満額、第3子であっても第1子・第2子が小学生なら満額でした。

そもそも第1子~第3子が同時に保育所に入所する年齢幅で出産し、かつ母親が一定以上の時間で就労しているのは極めてレアなケースでしょう。
私の知る限り、お世話になっている保育所で同時に3人の子供が保育所へ登園している世帯はありません。
特に正規就労で勤務している母親にとっては毎年の様に育休・産休を取得するのは事実上困難でしょう。
現在の親世代と比べて、きょうだいの年齢差が大きくなっている気がしています。
そうした観点や多子世帯の経済的援助という点から、同時入所を要件としない第3子以降の保育料無料化は心強い措置といえるでしょう。

ただ、住環境に必要なコストが高い京都市内において、第3子以降を産み育てるのは決して容易では無さそうです。
余談ですが、左京区南部に住んでいる知人の家庭で第3子が産まれたという嬉しい知らせを聞いた所です。

次ページ:在籍率の高さ・増加する入所保留児童・新規施設と保育ニーズの不一致