また、京都市は小学校入学前児童数に占める保育所在籍児童の割合が高いのも特徴的です。
平成25年度で42.5%、平成26年度で43.5%、そして平成27年度で44.1%という高い数字になっています。
平成26年度の政令市平均が31.6%、大阪市が36.2%です。

大阪市各区毎の数字を見る限り、待機児童や入所保留児童を概ね解消するには在籍率50%程度が必要だと推測されます。
京都市の場合は極めて近い数字になっており、全市的に考えると保育ニーズをほぼ満たした施設整備が行われていると考えられます。

しかし、どの保育所へも登園出来るわけがなく、子育て世帯が好んで住む地域は集中しています。
人気の地域等(碁盤の目の中など)では保育所が大幅に足りていない状況が続いているのではないでしょうか。

保育所等の新設や保育士の待遇改善に取り組んでいる京都市であっても、やはり入所保留児童は発生していると推測されます。

保育所等の利用状況等(平成26年度と平成27年度の比較)

区分26年4月27年4月 増減
保育所等入所申込児童数30,15330,346 +193
保育要件非該当数451134 -317
保育認定児童数29,70230,212 +510
保育所等利用児童数29,32729,709 +382
保育所・認定こども園28,86829,002 +134
小規模保育事業・昼間里親等459707 +248
 幼稚園預かり保育1642 +26
 保育所等利用辞退等359461 +102
 待機児童数00 0

保育所等受入枠を1,112人分増やした事により、保育所等利用児童数が約400人増加しています。
受入枠と利用児童数の増加数が大幅に乖離しています。
増加した受入枠が保育ニーズと一致せず、定員が空いたままになっている施設が少なくないと推測されます。

一方、保育所等利用辞退等の人数も前年から約100人も増加しています。
「保育所等利用辞退等」とは,内定した保育所等が第1希望ではないといった理由により辞退した児童や,他に利用可能な保育所等があるにもかかわらず,特定の保育所等を希望し,内定した保育所等を利用しない児童を示しています。
いわゆる「入所保留児童」です。
市内中心部を中心として最寄りの保育所等への入所を希望したが入所内定したのは離れた保育所であり、入所を辞退した児童が多くを占めているのではないでしょうか。

また、小規模保育事業・昼間里親等を利用している児童が約250人も増加しているのも気掛かりです。
保育所と比較し、こうした保育事業は施設や保育士配置基準等が劣っています。
少なくない保護者が保育所への転所を潜在的に希望しているのではないでしょうか。

京都市が2年連続で待機児童ゼロを達成したのは喜ばしいことです。
しかし、利用児童数の増加は受入枠増加分の1/3に留まっています。
入所保留児童や小規模保育事業等の利用数は前年よりも大幅に伸びています。
これらから、保育所等の受入枠の増加が子育て世帯のニーズと一致していないと推測できます。

特に地価が高くて土地の取得が困難な市内中心部では、新たに保育所を新設するのは極めて困難でしょう。
廃校になった番町小学校跡地を有効活用するぐらいしかないのではないでしょうか。