東京都が立入調査・改善勧告を実施したにもかかわらず、改善を行わなかった認可外保育施設「トムインターナショナルスクール」につき、改善勧告の内容及び改善の状況を公表しています。
ただ、同施設では過去に園児の死亡事故が発生しており、遅すぎた改善勧告の公表と言えるかもしれません。

施設内部の様子が下記動画で公開されています。
英会話教室はさることながら、子供の密度の高さと安全管理の不備は一目瞭然です。
代表者(校長)の赤堀氏や他の先生のインタビューもあります。
代表者・校長は年配の女性です(6分頃から登場)。
https://www.youtube.com/watch?v=D9fiNG_WjTs
https://www.youtube.com/watch?v=D9fiNG_WjTs

改善勧告に従わない認可外保育施設「トムインターナショナルスクール」について

1 改善勧告を受けた者
認可外保育施設 「トムインターナショナルスクール」
設置者 有限会社トムインターナショナルスクール 代表者 赤堀道子
施設の所在地 豊島区東池袋1-22-5 サンケエビル4階
開設年月 平成11年3月

2 改善勧告の公表に至る経過
標記施設については、これまでの立入調査において、認可外保育施設指導監督基準に反する事項が多数確認されており、特に、有資格者の配置の不足及び保育室の面積不足については、繰り返し指摘及び改善指導を行ってきた。
しかし、施設設置者は、保育施設としての基準遵守に対する理解や意欲に乏しく、都が指摘してきた事項の改善が行われない状況が継続してきたほか、保育サービスを実施する責任者として極めて不適切な対応が見られた。
平成27年2月25日、保育施設に求められる最低基準の確保及び事故防止対策の観点から、特に重要な事項について同年3月25日までに改善するよう勧告を行った。
同年4月20日、改善状況の確認のため再度特別立入調査を行ったが、有資格者の配置などの改善勧告内容の一部について、未だ改善が図られていない事項があった。

3 改善勧告の内容及び改善の状況
(1) 月極契約入所児童数に対して必要な保育従事者のうち有資格者が配置されていないので、是正すること。
当該施設では、有資格者が常勤職員で2名(有資格者が非常勤職員である場合には、その勤務時間数により常勤換算する)必要なところ、非常勤職員1名のみの配置である。
指導監督基準に定められた有資格者を早急に配置すること。

【改善状況の確認】
常勤として有資格者2名を雇用したが、その勤務実績が不足しており、常勤職員(1人当たり1か月120時間以上の勤務が必要)2名を配置したとは認められない。

(2) 月極契約入所児童数1人当たりの必要面積が不足しているので、是正すること。
当該施設では、月極契約入所児童数1人当たりの面積が1.65平方メートル必要なところ、1.36平方メートルであり、基準に対し0.29平方メートル不足している。
指導監督基準に定められた保育室面積を確保すること。必要面積の確保に当たっては、月極契約児童数の見直しも含めた改善策を検討し、安全かつ適切な保育環境を整えること。

【改善状況の確認】
月極契約入所児童数を76名から62名に見直した結果、1人当たり保育室面積は1.66平方メートルとなり、指導監督基準を満たしていた。

(3) 月極契約入所児童数に対して便器の数が不足しているので、是正すること。
当該施設では、満1歳以上の月極契約入所児童72名に対して便器が4個必要(20名につき1個必要)なところ、3個であり、基準に対し1個不足している。
指導監督基準に定められた便器の数を確保すること。便器の必要数の確保に当たっては、月極契約児童数の見直しも含めた改善策を検討し、適切な保育環境を整えること。

【改善状況の確認】
月極契約入所児童数の見直しを行った結果、便器の数は指導監督基準を満たしていた。

(4) 保育サービスを実施する責任者として適切な対応を行っていないので、是正すること。
保育サービスを実施する責任者として、必要な対策を講じるとともに、実効性を確保する体制を整えること。

【改善状況の確認】
下記の事項について改善が行われず、保育サービスを実施する責任者として、関係法令及び基準を遵守し、保育の充実を図ろうとする姿勢が認められない。
ア 有資格者が不足している状態で、新たな児童の利用手続きを行っている。
イ 玄関ドアの開閉管理が適切ではないなど、不審者の立入防止策をはじめとする、安全確保の対策が不十分である。
ウ 職員及び保育している児童の状況を適正に記録した帳簿等の整備が不十分である。

4 今後の対応
速やかに改善が図られない場合、児童福祉審議会の意見を聴いて、事業の停止又は施設閉鎖命令の措置をとる手続きに入る。
現在利用している児童については、関係区市町村と連携し、利用者のニーズに応じて新たな利用先の確保に努めていく。なお、施設に対し、新規児童の受入れについては自粛するよう要請している。

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2015/06/20p61300.htmより作成

同施設を運営する「有限会社トムインターナショナルスクール」は平成17年に設立されています。
施設開所当時は個人事業だったものと、途中から法人化したのでしょう。
また、代表者の登記上の住所は横浜市になっています。

東京都が何度も繰り返し立入調査を行ったにも関わらず必要な改善が見受けられず、保育施設としての基準遵守や極めて不適切な対応があった結果、この様な改善勧告内容の公表に繋がったと考えられます。
最後まで有資格者や安全確保対策が不足し、必要な帳簿等の整備が不十分なままでした。

しかし、こうした内容が公表される2年前に、同施設では2歳男児が死亡する事故が発生していました。

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