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(2/4追記)
2月市会に提出される、平成27年度の大阪市保育所・幼稚園の保育料案が公表されました。
【速報・重要】大阪市保育所・幼稚園の新たな保育料案が公表されました。
【速報・重要】H27大阪市認可保育所・公立私立幼稚園の新たな保育料案の考え方が公表されました。

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(8/1追記)
市立幼稚園と私立幼稚園の保育料を同水準とし、保育所保育料を値上げする素案が発表されました。
【超重要】【ニュース】大阪市立幼稚園と私立幼稚園の保育料を同額&保育所保育料値上げ?(素案発表)
【重要】大阪市子ども・子育て支援新制度にかかる利用者負担額(保育料設定、所得別素案あり)
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先日、気になる記事が掲載されました。

市立も私立も幼稚園保育料が同じになる大阪市

大阪市立幼稚園の民営化方針を掲げている橋下徹市長は19日、公立・私立の幼稚園保育料に格差がある問題について「市立幼稚園の保育料が私立とだいたい同額になるよう引き上げていく」と述べ、2015年には値上げを実施する考えを示した。
市役所で記者団に語った。
同市は8月、市立幼稚園全59園のうち15~16年度に11園を民間に移管し、8園を廃園にする計画案を発表した。民間移管後の保育料は市立幼稚園(年約10万円)より高くなる見通しだ。
市立幼稚園の保育料を私立並みに引き上げることについて、橋下市長は「経済的に苦しい家庭への対策は保育料減免でサポートする」としたうえで「値上げしても市立幼稚園を残すべきなのか、考えてほしい。市立のサービスや教員の頑張りは評価するが、今後も市立でずっと子どもを預かるのは違うと思う」と話した。
(2013年9月19日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130919-OYT8T00895.htm

市立幼稚園の保育料、私立並みに値上げへ 橋下市長意向
すべての市立幼稚園の民営化を掲げる大阪市の橋下徹市長は19日、市立幼稚園の保育料を2015年度をめどに私立幼稚園並みに値上げする意向を示した。市役所で記者団に語った。
橋下市長は「(民営化に反対する)保護者から言われているのは、私立は保育料が高いと。市立も私立とだいたい同金額になるように上げる。そのことも踏まえて、市立を残していかないといけないのか考えてもらいたい」と語った。併せて低所得世帯向けの保育料減免を検討するという。値上げには市議会の議決が必要で、実現は不透明だ。
市によると、市立幼稚園の保育料は年10万9200円。一方、市内の私立幼稚園136園の平均は2・7倍の年28万9901円。
橋下市長は市立59園の民営化を進めるが、保護者や市議会が反発し、まず19園を民営化もしくは廃園にする案を示している。
http://www.asahi.com/politics/update/0919/OSK201309190004.html

就学前の児童を預ける場合、保育所以外にも「幼稚園」という選択肢もあります。
教育内容や預かり時間等の差異はさておき、掛かる費用はどれだけ違うのでしょうか。
また、大阪市立幼稚園の保育料を値上げする方針は合理的なものでしょうか。
今回はこれらを検証してみます。

1.保育園(市立・私立を問わず)

保育料は原則として父母の収入に掛かる所得税額・市民税額に応じて決まります。
具体的な金額は大阪市保育料表保育料計算シートをご参照下さい。

平成25年度予算によると保育所運営経費の内、保護者負担分(保育料)は97億400万円となっています。

平成25年4月における保育所在籍児童数は45,497人となっています。
上記から児童1人あたりの保護者負担分は年間213,289円(月額17,774円)となります。
(皆さんが払っておられる保育料はこれより高いでしょうか、それとも安いでしょうか)

ただ、幼稚園が3歳児以上を対象としているのに対し、保育所は0歳児からが対象となっています。
同条件で比較する為に、保育所も3歳児以上を対象とします。
保育料表のD3階層(所得税課税額が4,200円以上で8,500円未満である世帯)の3歳児の月額保育料が17,500円(4~5歳児は16,200円、3歳未満児は18,300円)と全体の平均値に近いのでこの階層を用いて計算すると、3歳から5歳児の平均保育料は16,633円となりました。

2.私立幼稚園

保育所と異なり、私立幼稚園の入園料や保育料は原則として所得に関わらず一定金額となっており、金額は各私立幼稚園が各々で設定しています。
ただ、所得に応じて私立幼稚園就園奨励費等が補助されます。

公立保育所及び市立幼稚園の民営化に関する資料
によると、大阪市内の私立幼稚園136園の平均保育料は年額289,901円(月額24,158円)、平均入園料が55、949円、合計で345,850円となっています。
ただし、大阪市から私立幼稚園就園奨励費等が平均114,700円補助されており、補助後の負担額は年額231,150円となります。

3.市立幼稚園

入園料は5,650円、保育料は年額109,200円(月額9,100円)、合計で114,700円となっています。
入園料を各月に案分しても月額1万円未満となり、保育所や私立幼稚園の保育料と比較して安さが際だちます。
但し、送迎バスがない・大半の園ではクーラーが無い等、サービス水準が私立幼稚園よりやや劣るケースがあります。

4.結果

子供を保育所・私立幼稚園・市立幼稚園にそれぞれ3年間通わせた場合の平均的な負担額はこのようになりました。

平均額入園料月額保育料入園料+保育料3年私幼補助後負担額
保育所なし16,633598,788598,788
私立幼稚園55,94924,158925,652581,552
市立幼稚園5,6509,100333,250333,250

保育所と私立幼稚園の負担額がほぼ同じなのに対し、市立幼稚園の負担額はおよそ半分となりました。
世帯収入・施設の充実度・保育時間・預かり保育等の違いはありますが、これは著しい金額差と言わざるを得ません。
また、私立・市立幼稚園で別途費用が発生する預かり保育を申し込んだ場合、幼稚園での負担額は更に大きくなり、相対的に保育所の負担額が小さくなります。

幼稚園や保育所の負担額の決め方、本当に難しいと思います。
義務教育への準備期間や社会全体による教育投資と捉えれば無償に近くなる一方、保護者の収入獲得を支援する見解からは有償が導かれます。
子供への効果を重視すると応益負担が、保護者の負担能力を重視すると応能負担となります。
また、保育所や幼稚園に登園していない家庭とのバランスも必要となります。

恐らく正解はないでしょう。
ただ、子育て世帯の生活や子供の教育に直結する問題であり、特に子供は選挙等によって意見を表明するのが不可能なので、慎重に検討して欲しいものです。