見逃してしまいました。
豊中市のある世帯で、今春からの保育料が5倍に跳ね上がった事例があるそうです。

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(12/2追記)
12/1の放送でも取り上げられたそうです。放送内容は9月8日・8月17日のVOICEと同内容だった様子です。豊中市に限らず、多くの自治体で発生している内容です。
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09/08 15:48
毎日放送 【ちちんぷいぷい】
<石田ジャーナル>子だくさんだと値上がりする制度!?
今年4月から、「子どもが多いほど認可保育所の保育料が値上がりする?!」という制度がスタート。
認可保育所とは都道府県などが設置を許可した施設、入所するには市町村への申し込みが必要、保育内容は世帯の収入によって決定する。
今回問題になっているのは、子どもが3人以上いる人は保育料が値上がりする新制度。
豊中市内の認可保育所に通っている男の子は5人兄弟。
母親は「今年4月、市役所から保育料が4倍くらいの金額に値上がる通知書が来た。
市役所に出向くと、担当者に「今年から国の制度が変わり保育料を見直しました。この金額で間違いありません」と言われた」とコメント。
保育料の算定基準が大幅変更し、年少扶養控除(16歳未満の子ども1人あたり38万円分かける人数分を所得から差し引いて保育料を計算)が、何人いても子ども2人分の計算になった。
豊中市こども未来部・大岩根哲課長は「年少扶養控除は税制上は4年前に既に廃止、昨年度までは経過措置として残っていた。自治体担当者の事務作業の負担が大きいなどの理由で、国は今年4月から一律2人として計算(継続時は自治体が差額を補填してもよい)」とコメント。

http://p.jcc.jp/news/w_v/5592835/

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(9/14追記)
ちちんぷいぷいでの放送に先立ち、8月17日のVOICE(同じくMBS)の特集コーナー「憤懣本舗」で取り上げられていたそうです。

毎日放送のニュース「VOICE」の月曜の企画、憤懣本舗、子育ての家庭で、子どもが増えるほど保育料が上がると言うとんでもない実態が報じられました。
大阪・豊中市にお住いの西さん一家、上は中学3年~下は5歳の子まで5人の子供を育てておられて、1日のご飯は一升炊かないとダメ、牛乳も1日4パック要ります。奥様も働いておられて、5歳の末っ子さんを保育園に預けています。
ところが、末っ子さんの保育料が、今まで月6600円であったのが、何と30300円に、一気に4倍になり、西さんもビックリです。これで、年間30万以上の負担増、とんでもないことです。
これは、子どものための控除があり、今までは子供1人当たり38万の費用を家庭に補助していたので、西さんの家庭だと190万円補助をもらえたのに、これが、制度が改悪され、どんなに子供がいても、2人までしか補助は出なくなり、西さんのところは76万に減らされ、一気に100万以上収入がなくなった計算になり、それで、理不尽なことに、末っ子さんの保育料が一気に上げられたのです。
ところが、この制度改悪、大阪の自治体でも、前のまま補助するところもあるのですが、それは今保育園にいる子供が対象で、新たに保育園に入るお子さんは関係ありません。
しかし、東京の国立市では、制度改悪後も、子どもへの補助を続けて、その分自治体には負担になりますが、子どものために、となっています。
西さんは、家で、高校受験の長女は、これにより、夏休みに塾へ通うのを断念し、そして、西さんは、市長に手紙を書いて、制度の維持をお願いするというのです。
http://civilesociety.jugem.jp/?eid=31143

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番組では6,600円から30,300円へと値上がりしたと報じられたそうです。
4倍以上の値上がりです。

豊中市課長がコメントしている通り、4年前に税制上廃止された年少扶養控除が保育料計算にあたっては経過措置として残されていました。
今年4月に保育料の算出基準が所得税から住民税へと変更されたのと同時に、殆どの自治体で経過措置が廃止されています。
経過措置の廃止については平成27年度からの保育料はどうなるの&調べ方で触れています。

豊中市の保育料表は階層区分が8つしかありません(こちら)。
階層が1つ異なると、保育料が大きく異なってしまいます(国による上限額が低い2号認定の中高所得層を除く)。
4歳以上児の場合、年収が471万円~640万円(目安)の保育料は30,300円(第5階層・保育標準時間)である一方、年収330万円以下(目安)は9,100円(第3階層)となっています。
子だくさんで年少扶養控除が大きく効いていた世帯の場合、経過措置の廃止によって階層区分が大きく変動しても不思議ではありません。
報道で取り上げられた方は、恐らく従来は第3階層の上限付近だったものが、新年度からは第5階層の下限付近に変わってしまったと推測されます。

MBSでは豊中市の実例を取り上げましたが、構造上、恐らくは少なくない他の自治体でも発生しているでしょう。
3人以上のきょうだい・所得水準は中間以下・末子のみが保育園児という家庭では、保育料の上がり方が強烈でしょう。

子だくさん世帯への保育料の軽減措置は様々な方法が考えられます。
国基準としては同一世帯から2人以上の児童が同時に保育所へ登園する場合、2人目は半額・3人目以降は無料とする措置が取られています。
しかし、3人が同時に保育所へ登園するのは極めて限られた家庭でしょう。
6年間で3人出産し、かつ就労するのは容易ではありません。

現代の事情を踏まえると、同時在園という要件を外すか緩和する形が理想的ではないでしょうか。
京都府の事例が大いに参考になるでしょう。
【ニュース】第3子の保育料を全額免除へ 京都府が新年度から 都道府県では初

子育て世帯にとって「同時在園」という要件が大きなネックとなっています。
半額・無償措置を同時在園に限るのは、やや年が離れたきょうだいを有する世帯・上の子が卒園した世帯と著しい不平等ではないでしょうか。
子育て世帯の経済援助をもって多子化を促すのであれば、同時在園要件は不要です。

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(10/10追記)
全国で同様の事例が噴出しているそうです。
仙台市議会で共産党が取り上げたところ、再計算して値上がり分を還付する事になりました。
【ニュース】子育て新制度 各地で悲鳴 「えっ!? 保育料が4倍超」