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(改善勧告に従わなかった「おひさま保育園」、グーグルストリートビューより)

異例の事態です。
ここ数年の間に大阪市が行った記憶はありません。

大阪市が行った立入調査に基づいて行った改善勧告に従わなかったとして、改善勧告の内容・改善の状況が公表されました。
改善勧告を受けたのは、都島区の認可外保育施設「おひさま保育園」です。

有資格者(保育士等)の不在・保育従事者を複数配置せずに1人で保育している点について大阪市が設置者に改善指導・勧告を行ったら設置者から改善状況の報告がありましたが、再び立入調査を実施しても資格者の勤務・複数の保育従事者による勤務が確認できなかったそうです。
設置者が実態と異なる報告を行い、大阪市が激怒した様子が窺えます。

改善勧告に従わない認可外保育施設「おひさま保育園」について

 大阪市は、標記施設に対し、児童福祉法第59条第1項に基づく立入調査を実施し、その結果等を踏まえ、設置者に対し同条第3項に基づく改善勧告を行いましたが、指定した期日までに改善が図られなかったため、同条第4項に基づき、改善勧告の内容及び改善の状況について公表します。

改善勧告を受けた者
 施設の名称:認可外保育施設「おひさま保育園」
 施設の所在地:大阪市都島区都島南通1丁目10番11号
 設置者:株式会社関西全家研(代表取締役:吉村洋)
 開設日:平成25年3月1日

改善勧告の公表に至る経過
 認可外保育施設は、児童福祉法及び認可外保育施設指導監督基準等により基準が規定されております。同基準では、保育に従事する者の概ね3分の1以上は保育士又は看護師(准看護師を含む。)(以下、「有資格者」という。)の資格を有する者の勤務が必要であるにもかかわらず、当該施設では、有資格者の勤務について、勤務実績の記録に疑義が多く、今年度に複数回実施した立入調査においては、一度も有資格者の勤務を確認することができませんでした。その際に、書面及び口頭により改善指導を行いましたが、一向に改善されていません。
 また、同基準によると、常時保育に従事する者を複数配置する必要があるにもかかわらず当該施設では、保育従事者が1人で複数の乳幼児を保育していることが判明しました。
 よって、平成27年8月7日(金曜日)、乳幼児の安全確保のために、同年9月7日(月曜日)までに不備事項を改善するように勧告を行いました。
 同年9月3日(木曜日)、設置者から改善状況の報告があったため、同年9月8日(火曜日)立入調査を実施しましたが、資格者の勤務及び複数の保育従事者による勤務を確認することが出来ませんでした。

改善勧告の内容及び改善の状況

(1) 月極契約乳幼児数に対する保育従事者数について、有資格者が配置されていないので、是正すること。
【改善状況】
・有資格者を新たに雇用するべく、募集を行い、面談を随時実施しているとのことであったが、採用には至らず、有資格者を配置するには至っていない。
(2) 契約乳幼児の在籍時間帯について、保育従事者が1人勤務の時間帯があるので、是正すること。
【改善状況】
・未だ契約乳幼児の在籍時間帯に1人勤務の時間帯が発生している。

今後の対応
 速やかに改善が図られない場合、社会福祉審議会の意見を聴取後、事業の停止又は施設閉鎖命令の措置を執る場合があります。
 現在利用している乳幼児については、関係区と連携し、利用者のニーズに応じて新たな利用先の情報提供を行います。なお、施設に対し、新規乳幼児の受入を自粛するよう要請しています。

おひさま保育園は都島消防署のすぐ南に設置されています。
地下鉄都島駅・JR桜ノ宮駅に近くて便利な場所です。
この地域は梅田等へ通勤しやすく、子育て世帯が数多く住んでいると考えられます。
多数の保育所がありますが、いずれの保育所も一定以上の入所点数が要求されています。

同保育園のウェブサイトによると、定員10名という少人数で目の届くマンツーマン保育を目指しているそうです。
また、学童クラブも開設しており、なんと夜10時までの預かりを行っているそうです。

ウェブサイトには1日12時間・週5日の預かりで2万円からと記載されています。
定員10名をフルに預かったとしても月20万円+延長保育料金等の収入に過ぎません。
有資格者や複数の保育従事者を配置するには、金銭的余裕が全く無かったのではないでしょうか。

同保育園を設置・運営しているのは、株式会社関西全家研です。
本社は西宮市にあります。
書籍・教材の販売や保育所の経営(ひまわり保育園)を行っているそうです。
小さな同族会社だと推測されます。

実は同施設へは今年4月に特別立入調査が行われていました。

認可外保育施設に対する指導監督要綱
[立入調査] 第6条
第2項 重大な事故が発生した場合又は利用者から苦情や相談が寄せられている場合等で、児童の処遇上の観点から施設に問題があると認められる場合には、届出施設であるか否かにかかわらず、随時、特別立入調査を実施できる。

各自治体では定期的に認可外保育施設への立入調査を行っており、大阪市ではその内容をウェブサイトで公開しています。
認可外保育施設最新立入調査結果

おひさま保育園について「特別立入調査により 月極契約乳幼児数に対して有資格者が不足している」と記載されています。
なお、同保育園以外にも特別立入調査が行われた認可外保育施設があり、同施設が改善報告を行った旨の記載はありません。

公表された内容から推測するに、専ら保育を行っているのは保育士資格を有しない従事者1名のみだったのではないでしょうか。
また、虚偽の報告を行った事態を大阪市が重要視している様に感じました。

保育士資格を有さない人間1人のみが複数の乳幼児の保育を行うなんてぞっとします。
1人の乳児に掛かりっきりになってしまい、他の乳児に目が届かない事態は日常茶飯事でしょう。
重大な保育事故が生じる差し迫った危険があります。

同要綱では「改善勧告にもかかわらず改善が行われていない場合には、当該施設の利用者に対し、改善勧告の内容及び改善が行われていない状況について個別通知等により周知する。また、報道機関等を通して公表すること。」とされています(第8条第5項)。
今夕や明朝の関西ローカルニュースにて放映する局もあるのではないでしょうか。