豊中市の保育料が突然5倍に!?(MBSぷいぷい・VOICEより) の元ネタかもしれません。
平成27年度からの保育料計算方式の変更に伴って保育料が大幅に値上がりした世帯がある一方、仙台市では保育料が上がった世帯は年少扶養控除があるものとして再計算・既納分を還付するそうです。

子育て新制度 各地で悲鳴 「えっ!? 保育料が4倍超」 仙台では共産党追及で軽減

子どもが3人以上いる家庭で大幅に保育料が上がった―。こんな事態が各地で起こっています。

「6600円から3万300円と4・6倍になった。とても払えない」(大阪府豊中市)などの声が上がっています。

子ども・子育て支援新制度の実施にあたり安倍政権が、これまで実施していた年少扶養控除の「再計算」をしないと決めたことが原因です。

一方で値上げを撤回させるとりくみもすすんでいます。

4月から多子世帯の保育料値上げをした仙台市では、保護者の訴えをうけた日本共産党市議団の追及により、4月にさかのぼって保育料を引き下げます。

中3、中2、小6、保育園の年長(6歳)、年少(4歳)の5人の子どもがいる加藤由美さん(仮名、40)は、子ども2人分で8290円だった保育料が3万7350円と4・5倍になりました。年間にすると34万8720円の負担増です。

驚いた加藤さんは日本共産党の花木則彰市議に相談。同市議は市議会で「『再計算』などの手だてをうち、多子世帯の保育料の軽減を」と何度も求めてきました。同市は「19歳未満の子どもが3人以上」で「実際に保育料が上がった」世帯について、年少扶養控除があるものとして計算し直して「変更通知」を出し、既納分を還付することが2日、明らかになりました。6日、市議会に報告されます。

9月に保育料の改定を実施した自治体が多く、各地で保育料値上げに対する集団での異議申し立ての動きも広がっています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-03/2015100301_02_1.html

相談された花木市議(仙台市)は自身のウェブサイトで詳細な情報を公開しています。

保育料の算定でも不合理な値上げを招いています。保育料の算定基礎が所得税額から地方税額に法律で変わりました。もともと所得税は、年少扶養控除などが控除されていたので多くの子どもを育てている世帯は保育料も安くなっていました。その後、所得税から年少扶養控除がなくなりましたが、保育料が跳ね上がらないように、年少扶養控除があった場合の所得税額を再計算し保育料を算定する経過措置が行われていました。
住民税にはこうした控除がないため、多子世帯ほど保育料が上がる傾向になるので、千葉、横浜、静岡、福岡など他政令市では、これまでの経過措置のように再計算することにしています。ところが、仙台では、私たちの指摘を無視して、何の手立ても取らず実施しました。

私のところに、5人の子どもを育てている方からご相談がありました。下の2人が保育所に通っていますが、二人で月8290円だった保育料が36450円に4.5倍にも跳ね上がり、所得段階区分も一気に5段階も上がったのです。5/21の委員会では、この間求めていた多子世帯への影響について調査の一部が報告されました。19歳未満、3人以上の子がいる世帯は、9044世帯あり、うち600世帯が値上がりし、2段階以上のアップは292世帯あったといいます。年少扶養控除をみなして再計算し、保育料を減額するよう強く求めました。市も言葉を濁しながらも、調査と手立ての検討をするとの答弁をおこないました。大幅な値上げで、困っている子育て世帯に、早急に減額の手立てをお知らせするべきです。

http://hanaki.air-nifty.com/burari/2015/05/post-e6dd.html

高校授業料無償化の財源確保等の為、平成22年度税制改正によって扶養控除が見直されました。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/047a.htm

平成26年度までの保育料は世帯の所得税額から算出されていました。

しかし、これでは扶養控除の改正によって所得税額が上がり、連動する形で保育料額も上がってしまいます。そこで、保育料の算出にあたっては、税制改正後も扶養控除改正前の旧税額(上記表の所得税・斜線部分及び網掛け部分)を用いて計算する取り扱いが行われていました。

平成27年度からの保育料は世帯の住民税額から算出される仕組みとされました。しかし、扶養控除改正後の現行税制による住民税額から保育料が算出される様になりました。これにより、0-15歳の子供のみを扶養している世帯では扶養人数が住民税額に影響せず、ストレートに保育料に反映されてしまう様になりました。

自治体等が負担する保育費用の総額自体は平成26年度までと平成27年度では変わっていないそうです。しかし、世帯ごとの保育料の算出にあたっては「0-15歳の児童が2人いる世帯で保育料が変わらない様に設計した」との事です(ソース失念)。子供の扶養人数が多くて保育料が相対的に低かった世帯を中心に、急激な値上がりとなってしまったのが真相です。

仙台市の事例で取り上げられている方は、昨年までの保育料は子供2人(当時は4歳児と2歳児)で8,290円だったそうです。4歳児の保育料は全額、2歳児は本来の半額(6歳以下では2人目の子供)となっています。平均的な保育料と比較すると極めて安い金額でしょう。

一方、今年の保育料が2人で37,350円となりました。子供5人分の扶養控除が吹っ飛んでしまった為です。しかし、この保育料は、同程度の収入がある他の世帯が負担している保育料と同額であり、高いとも安いとも言えない保育料でしょう。

大阪市会での議論においても保育料表改正による負担の急増を懸念する意見が複数あり、保育料値上げ幅の大幅圧縮・幼稚園保育料への経過措置の導入が行われました。しかし、本問題の様な、みなし扶養控除制度の廃止による保育料の急増に関する意見が出た覚えはありません(議事録検索でもヒットせず)。

この問題は「多子減免に加え、子供の扶養人数によって保育料を更に減額すべきか」「急激な負担増に対して経過措置を設けるべきだったか」という点に集約されます。保育料の算定に原理原則がなく、裏返せば仙台市の様に市議への陳情や再計算が行われるケースが各自治体で相次ぐのではないでしょうか。