【ニュース】大阪府茨木市で3歳女児を衰弱死させた義父(22)と母親(19)を殺人容疑で逮捕の続報です。1審大阪地裁で母親に無罪判決が言い渡されました。

大阪府茨木市で昨年6月、両親が難病の3歳長女を衰弱死させたとされる事件の裁判員裁判で、大阪地裁(小倉哲浩〈あきひろ〉裁判長)は30日、保護責任者遺棄致死の罪に問われた母親(20)=当時19歳=に無罪(求刑懲役6年)の判決を言い渡した。

 母親は夫(23)=同罪で起訴=と昨年4月以降、筋力が弱く飲食が困難な難病「先天性ミオパチー」を患う紗弥音(さやね)ちゃんに十分な栄養を与えず医者に見せるなどの保護責任を怠り、自宅で衰弱死させたとして起訴された。当初、大阪府警は殺人容疑で夫婦を逮捕したが、大阪地検は殺意の立証が困難として罪名を切り替えた。

 争点は、長女が低栄養状態にあるとの認識が母親にあったか▽その死は衰弱が原因か――に絞られた。

 検察側は、長女が空腹を満たそうとかじったタマネギの外皮が遺体の腸内から見つかったとし、栄養が足りていなかったのは明らかと主張。体重は死亡までの8カ月で3キロ減の8キロになり、専門医の見解も踏まえて「病気だけが原因とは考えられない」とした。さらに親族も体重が軽くなったことに気づいていたとし、母親は対処が必要だと認識していたと述べた。

 一方、弁護側は、夫婦は主治医や親族から適切な助言も得られない中で懸命に育児をしたと反論。母親はほぼ毎日3食を与えたが、病気の影響で残したり何も食べなかったりする日があったと述べた。さらに、ずっと一緒に過ごす中で体重の減少に気づけなくても不自然ではないとし、生まれつき呼吸が浅く何らかの呼吸障害で死亡した可能性があると主張していた。

http://www.asahi.com/articles/ASHCZ4V34HCZPTIL01F.html

「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則に則った判決でしょう。

NHKニュースによると、裁判所は「十分な栄養を与えていないと認識していたとまでは言えない」としたそうです。

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(2018/8/12追記)
コメント欄から削除依頼を受けました。記事が途中で終わっていたので、最高裁の判決を追記します。また、個人名を匿名化しました。

 大阪府茨木市で難病の長女=当時(3)=を衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死罪に問われ、一審の無罪が二審で破棄差し戻しとなった母親(23)の上告審で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は19日、「一審判決に不合理な点があるとは言えない」として二審を破棄し、母親を無罪とする判決を言い渡した。
 
 当時19歳だった母親は2014年、生まれつき筋力が弱い「先天性ミオパチー」の長女に十分な栄養を与えず、自宅で衰弱死させたとして起訴された。

 第2小法廷は、長女の痩せ方が異常という以外、栄養不足を母親が認識していた根拠を二審は明確にしていないとし、「一審が経験則などに照らして不合理だと十分に示していない」と指摘した。

 一審大阪地裁の裁判員裁判判決は、栄養不足を認識していたとは言えないとして無罪を言い渡したが、二審大阪高裁は保護の必要性を認識していたと指摘。一審判決を破棄して審理を差し戻したため、母親が上告した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180319-00000102-jij-soci