吉村大阪市長が掲げる「5歳児の教育費無償化」の中身が具体化してきました。以前に当Webで推測した内容とほぼ同一となっています。

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(1/22追記)
更に具体的な内容が明らかになりました。
【教育無償化】5歳児保育所保育料は現行の半分弱を想定&手段に疑問
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大阪市長
幼稚園5歳児は完全無料方針 所得制限設けず

大阪市の吉村洋文市長は、4月から始める5歳児の教育無償化について、幼稚園の保育料は所得制限を設けず完全無料とする方針を固めた。保育所は「教育費」に相当する部分のみ無料とする方向で調整している。

吉村市長は先月末の施政方針演説で、幼児教育の無償化を打ち出した。「幼児教育をしっかりすることが、子どもの所得増にもつながる」と述べ、子育て世帯の負担軽減ではなく、教育重視の観点で具体的な制度設計を検討していた。

市関係者によると、学校教育法に基づく幼稚園は親の所得にかかわらずに無料とすることにした。市立の場合、月額最高2万200円の保育料を全額免除する。保育料の設定が異なる私立についても、現行の幼稚園就園奨励費補助金制度に上乗せするなどし、実質無料化する方針だ。同制度の最高額年30万8000円が上限となる見通し。

一方、保育所の保育料は「教育費」と「養護費」に分け、教育費分を無料とする。所得制限は設けないが、対象は認可保育所に限り、認可外は含めない。

http://mainichi.jp/articles/20160121/k00/00m/010/152000c

現時点で判明している事をまとめてみました。

所得制限は設けない

現在の保育料は保護者の所得に応じて設定されています(応能負担)。所得が低い方は低い保育料、高い方は高い保育料となっています。所得に関わらず保育料が一定額とされている幼稚園(新制度未移行)の場合は、幼稚園就園奨励費補助金によって調整されています。

5歳児の教育費無償化に当たっては、こうした所得制限を設けない方向が固まったそうです。高い保育料を支払っている高所得世帯の経済的負担が軽減される一方、低い保育料ないしは免除されている世帯への効果は限定的となりそうです。

市立幼稚園は保育料を免除

保育料が応能負担によって定められている市立幼稚園は、5歳児の保育料が免除されます。また、同じ基準で保育料が設定されているこども園・私立幼稚園(新制度移行園)も同じ取り扱いとなるでしょう。一方、保護者会費・用具費・諸費等は触れられていません。従来通りとなりそうです。

私立幼稚園(新制度未移行)は就園奨励費に上乗せ

保育料が一定額とされている私立幼稚園(新制度未移行)については、就園奨励費に上乗せする方向で検討が進められているそうです。現在、生活保護世帯に対しては年額308,000円が上限として補助されています。生活保護世帯のみでなく、全ての世帯の上限額が308,000円となる見通しです。

保育所は「教育費」のみが対象、「養護費」は対象外

保育所は教育部分に相当する「教育費」のみが対象となり、保育に相当する「養護費」は対象外となる見通しです。どうやって区分するか、具体的な金額が不透明であり、市会で議論になりそうです。

認可外保育施設は対象外

対象となるのは5歳児が在籍している幼稚園・保育所のみであり、認可外保育施設は対象とされていません。多くの認可外保育施設は0-2歳児が中心であり、 5歳児は決して多くありません。しかし、市内中心部で保育所へ入所するのが困難な地域、転居したばかりで保育所等の空きを待っている児童等、保育所・幼稚 園に入所したくても入所できない5歳児が存在するのは事実です。

年齢別の在籍状況(2011年)

http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000038257.html

保育所・幼稚園に在籍している5歳児は全体の約95%となっています。反面、約2%はそれ以外の施設に、また約3%は在宅で過ごしています。この5%へのアプローチも一つの課題となりそうです。