熊本自身の被害が徐々に明らかになっています。被害の種類が阪神大震災にそっくりという印象を受けました。プライベートで鹿児島・熊本への旅行を検討していましたが、当初予定を変更せざるを得ないと感じています(中長期的には行きたいです)。

普段から保育園を利用されている方にとって、気がかりなのは保育園や幼稚園で受け入れが行われるかでしょう。建物が被害を受けてしまった園は難しいのは明らかですが、それ以外の園ではどうなるのでしょうか。東日本大震災後の事例から、今後起こりうる事態を検討してみます。

—(追記 5/27)—

熊本市の保育料の減額措置が明確になりました。

熊本市は26日、熊本地震に伴って保育園や認定こども園などの4、5月分の保育料を減免し、罹(り)災証明書で自宅が「全壊」と診断された世帯については1年間、全額を免除すると発表した。

市保育幼稚園課によると、市内の保育園や認定こども園など236園は地震前の4月1〜14日は通常の開園だったが、15〜30日は原則休園だったため全園児一律に0・5カ月分を減免し、5月分は日割り額を徴収する。保育料の4、5月分の支払いは6月末まで延長する。また、罹災証明書で「半壊」と診断された世帯は1年間2分の1を減免し、「大規模半壊」の減免割合は近く決定する。

4、5月の保育料減免額は約1億8200万円に上り、子ども子育て支援法に基づいて国が一部を負担。罹災証明書の「全壊」と「半壊」の診断に伴う保育料減免は災害救助法に基づき国庫の一部を充てる。

http://mainichi.jp/articles/20160527/ddl/k43/040/341000c

文章だとやや分かりにくいので、表にしてみました。

全壊大規模半壊半壊それ以外
4月分0.5ヶ月分を減免
5月分全額免除調整中日割り額の1/2を減免日割り額
平成29年4月15日まで1/2を減免通常通り

熊本市以外の自治体も概ね同じ取扱いとなるのではないでしょうか。

—(追記 5/18 16:30)—

地震による休園による保育料の取扱いが気になっている方が少なくない様子です。熊本市では4月分を減額する方向で検討を進めています。5月分も同様の取扱いになるのではないでしょうか。他自治体も同じ方向性でしょう。

4月分利用者負担額(保育料)について

このたびの地震により4月30日まで保育施設を原則休園としたことを踏まえ、4月分の利用者負担額(保育料)については減額する方向で検討を進めています。

そのため、平成28年5月2日に予定していました4月分の利用者負担額(保育料)の口座引き落としを一旦中止しました。なお、4月分の利用者負担額の今後の取扱いについては、詳細が決定次第お知らせいたします。

※利用者負担額(保育料)を保育施設へ直接納入される方については、4月利用者負担額(保育料)が決定次第、各保育施設へ再度通知いたしますので、各保育施設で調整していただく事となります。

https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=12637&e_id=14

公・私立保育所の保育料について

この度の熊本地震につきましては、心よりお見舞い申し上げます。

今回の地震における両保育所の登園自粛につきましては、保護者や園児の皆様には多大なご迷惑をおかけいたしました。

本村としましては4月下旬より両保育所を再開し、現在は通常保育をおこなっております。
今回の地震における保育料の取り扱いについては、減免等の措置を取るよう検討しております。

保育料の金額につきましては、当面の間は今までどおりとさせていただきますが
減免等の具体的な内容が決定次第、広報等でお知らせをしたいと考えております。
http://www.vill.nishihara.kumamoto.jp/emergency/_2138.html

—(追記 5/6 13:00)—

益城町立の3保育所が再開しました。しかし、未だ熊本市・益城町・阿蘇市・御船町の一部の保育所が休園しています。

熊本・益城で3保育所再開 仮設住宅の建設始まる

2016年5月6日12時36分
熊本県などでの一連の地震で被害の大きかった熊本県益城(ましき)町で6日、町立3保育所が再開した。ただ県や熊本市の2日現在のまとめでは、公私立の認可保育所や認定こども園、小規模保育所のうち計22施設が休園。6日以降に順次再開予定だが、再開のめどが立たない施設もある。
(中略)
熊本市では2日現在、計238施設のうち、10施設が休園。市は4月26日から一部の市立保育園で、利用者以外の子どもを無料で預かるサービスを始めた。休園中の施設は16日までに再開できる見通し。

県などによると、熊本市以外では2日現在、益城町8施設、阿蘇市3施設、御船町1施設の休園を確認した。

http://www.asahi.com/articles/ASJ5633XLJ56TIPE00F.html

—(追記 4/26 12:00)—

南阿蘇村のちょうよう保育園、久木野保育所、白水保育所でで保育が再開しました。ただし保育時間は9時から15時まで、スクールバスは運休となっています(詳細は南阿蘇村ウェブサイト)。

熊本地震で大きな被害の出た熊本県南阿蘇村では、保育施設の園児受け入れが再開されました。

25日とは打って変わって晴れ空のなか、南阿蘇村では朝から園児たちの元気な声が響きました。
保護者:「預けてる方が安心できるので。(片付けの)作業中のけがとか心配だから、子どもを見ながらだと」
休園になっていた南阿蘇村にある3つの保育施設では、26日から園児の受け入れを再開しました。仕事を持つ親がいたり家の片付けが進まないことなどから、園児の預かりを再開したということです。また、南阿蘇村役場近くにある久木野保育所では、元気良く遊ぶ子どもたちの姿も見られました。
保育士:「今までの日常を少しずつ取り戻すことができて、同時に子どもたちの笑顔も少しずつ取り戻すことができたら良いかなと」

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000073489.html

—(追記 4/26 10:40)—

熊本市民を対象として、西原公園児童館(熊本市中央区九品寺4-24-4)にて、臨時託児サービスを行っています。

保育ではなく、職員が見守りつつ子供達を児童館で遊ばせる内容となっています。初対面となる40人程度の3歳以上児、トラブルが発生しないか心配です。

保育所等の閉園に伴う臨時託児サービスを行います

保育所等(地域小規模を含む)について、25日(月)以降も閉園状態が継続する施設があることから、次のとおり臨時的に幼児の託児を実施します。

対象者:
熊本市に住民票がある方で、幼児の保護者が次のいずれにも該当する者
(1)  現に保育所等に幼児を預け入れていた者
(2)  震災対応等で就労せざるを得ない職にある者
(3)  親戚等保育所等以外の方法で子どもを預けることができない者

託児サービスの期間:
4月25日(月)~4月30日(土)ただし、29日(祝)は除く。※連休後の5月9日(月)以降については、状況に応じて対応を検討します。

託児時間:午前7時半~午後6時

託児場所:西原公園児童館(中央区九品寺4-24-4)

託児可能な幼児・定員:3歳以上の未就学児(現在、保育所等に入園している児童に限る)
定員:40人程度
利用料金:無料
申し込み先:電話で子ども支援課(TEL 096-328-2158)へ

その他
(1)  昼食及びおやつ、昼寝に必要な寝具等は各自持参すること
(2)  あらかじめ、子ども支援課に電話で申込みを行い、託児の承認をえること
(3)  障がい児、食物アレルギー等のある幼児は対応できないので受入れ不可
(4)  臨時託児サービスの妨げとなる場合、途中で利用を断る場合あり
(5)  保育施設等ではないため、怪我等の可能性があることをご了解いただける方

http://www.city.kumamoto.jp/hpkiji/pub/detail.aspx?c_id=5&type=top&id=12588

 

—(追記 4/23 10:20)—

熊本市立の幼稚園や小中学校・高校等の休校期間は5月10日頃(GW明け)まで延びました。

熊本市立の学校 来月10日ごろまで休み延長へ

4月21日 4時26分

一連の地震を受けて、熊本市教育委員会は市立のすべての幼稚園、小・中学校、高校などを22日まで休みにしていましたが、校舎などの安全性が確保できないとして、休みの期間を来月10日ごろまで延長することを決めました。

熊本市教育委員会によりますと、来月10日ごろまで休みが延長されるのは、熊本市の市立の幼稚園8園、小学校95校、中学校42校、高校2校、専門学校1校です。
休みの期間を延長する理由について教育委員会は、学校の校舎などの安全性についての調査がまだ終わっていないことや建物が避難所として使われていることなどを挙げています。
教育委員会は、予想よりも早く条件が整えば順次、学校などの施設ごとに再開することもあるとしていて、再開する日の3日前までに学校から保護者に連絡することにしています。

NHK NEWS WEB

学校避難所、使用継続を 文科省が要請(くまにち)が背景にあります。避難所として利用されている、熊本市外の小中学校等も同種の扱いが行われるでしょう。詳細は長期休校“苦渋の決断” 熊本市、被災者を優先(くまにち)にも記載されています。

一方、熊本市内の保育所等の休園期間は4月30日(土)まで延びました。あくまで推測ですが、幼稚園等と同じくGW明けまで再度延びる可能性が高いと見ています。

保育施設の休園について

保育所、幼保連携型認定こども園、地域型保育事業所については、4月23日(土)まで休園としておりましたが、当面の間は休園を継続することとし、4月30(土)まで休園を延長いたします。

ただし、4月30日(土)より前にライフラインの復旧状況等により園児の受け入れ体制が整った園においては、30日(土)以前に順次開園いたします。

市民の皆さま方におかれましては、余震が続く中での避難生活において、大変なご苦労とご心労があるかと存じますが、どうぞご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。

熊本市役所保育幼稚園課

—(追記 4/20 14:50)—

熊本市からの指示により、熊本市内の保育所等の休園期間は23日(土)まで延期されたそうです。詳細は登園先の施設へご確認下さい。

保育施設の休園について

14日から断続的に発生している地震により、各地域及び施設においては、多くの被害報告を受けています。
また、気象庁によると、引き続き激しい揺れを伴う地震が起きるおそれがあるとして警戒を呼びかけており、昨日は震度5強の大きな余震が
発生したところです。加えて、明日(4月21日)は降水が予報され、地域によっては地盤の緩みから土砂災害の発生が懸念されます。

以上の状況から総合的に判断すると、保育の安全の確保ができないことから、保育所、認定こども園、地域型保育事業所については4月23日(土)まで休園を延長します。

市民の皆さま方におかれましては、余震が続く中での避難生活において、大変なご苦労とご心労があるかと存じますが、

どうぞご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。

熊本市役所保育幼稚園課

—(追記 4/20 14:40)—

北九州市では被災した児童を保育料全額減免として市内の保育所・幼稚園等へ受け入れを行っています。小さなお子様と一緒に広域避難を考えている方は、ご検討下さい。

平成28年熊本地震被災児童の保育所・幼稚園等への受け入れについて

北九州市では、平成28年熊本地震で被災した児童を、市内の保育所・幼稚園等に受け入れます。
保育料については、全額減免とします。
手続き等の詳細は、下記までお問い合わせください。

1 対象
平成28年熊本地震で被災し、転居してきた児童および避難先として市内に住む親類宅等に滞在する児童

(以下省略)
http://www.city.kitakyushu.lg.jp/ko-katei/12100096.html

—(追記 4/20 10:30)—

21日以降は各園毎の状況に応じ、何らかの制限を付した上で開園する施設が多い様子です。ただ、被害が大きい施設は引き続いて休園するそうです。

たとえばきらら保育園(熊本市北区)は、0歳児・家庭保育が可能な園児を除いて21日から保育を行うそうです。但し、給食・延長保育は実施できないとのことです。

各園毎に状況は大きく異なるでしょう。多かれ少なかれ、施設も職員も被災しています。熊本市役所保育幼稚園課のウェブサイトに詳しい記述はありません。各園のウェブサイトの更新を待つか、各園の園長等に問い合わせる必要がありそうです。

—(追記 4/18 21:30)—

※熊本市の市立幼稚園は22日まで、その他の保育園等は少なくとも20日までの休園が決まっています。

熊本市内の休校22日まで延長 保育園なども休園に
4月18日 18時50分

熊本市教育委員会は、市立のすべての幼稚園、小中学校、高校について、20日まで休みとしていましたが、依然として余震が続き安全性が確保できないとして、休みの期間を22日まで延長することを決めました。また、市立の保育所や認定こども園なども20日まですべて休園とすることを決めました。

休園が決まったのは、市立の保育所が19、私立の市内の保育所が119、幼保連携型認定こども園が43、地域型保育事業所が52の、市内にある233の施設です。
熊本市は今月21日以降、施設の安全性やライフラインなどの復旧状況を確認できた施設から、順次再開する方向で検討しているということです。

NHK NEWS WEB

また、認定こども園やまなみがウェブサイトにて具体的な状況を記しています。21日の開園を計画していますが断水が続いており、見通しは立っていないそうです。

皆さま方はご無事でしょうか?不便な被災生活を送られていることと思います。復興へ向け、物資なども拡充する兆しがあります。お互い頑張りましょう!
18日(月)につきましては、市よりも要請があり、休園となります。
その後の対応で、決定していることは以下の通りです。ご確認下さい。
再開時期 未定 (断水及び職員の被災状況により判断)
備考 再開となった場合でも、19~23日の期間は給食がつくれません。

職員自身が被災している者がほとんどであるため、通常の勤務ができません。できる限り早期に再開したいと思いますが、例え再開した場合でも時間を限定したものとなる可能性があります。
皆さま方にはご不便をお掛け致しますが、何卒ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いします。

——

弁当持参の要請

被災地や周辺地域では食糧不足が深刻だと報道されています。一般的に保育園では給食が提供されていますが、現在は食材が入手困難・ライフラインが使えない状況でしょう。ライフラインが復旧した後も、食材が安定的に入手できるまでは弁当を持参する要請が発せられるのではないでしょうか。

登園自粛の要請

園舎等に見た目の被害が無くても、検査をすると損壊が見つかる可能性があるでしょう。働く保育士や先生等が避難中で出勤できない園も少なくないです。

日中も保護者と一緒に過ごせる状況であれば、登園を自粛して欲しいという要請があるかもしれません。

保育料の減免措置

ほぼ全ての自治体で、災害発生時に保育料を減免する措置が設けられています。たとえば熊本市の場合は、下記の規則が設けられています。益城町・南阿蘇村・阿蘇市等でも同様の規則があるでしょう。

(利用負担額の減免)
第5条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、利用者負担額を減額し、又は免除することができる。
(2)支給認定保護者が失業、疾病又は災害等により前年度より著しく所得が減少し、利用者負担額の負担が困難であると認められるとき。
(4)特定教育・保育等の提供が停止された場合であって、市長が特に必要と認めるとき。

熊本市特定教育・保育等の利用者負担額を定める規則より

近隣地域の別保育園・幼稚園での保育も

園舎の安全性・職員の確保・食材の調達・ライフラインの再開等、保育園や幼稚園が正常に運営するまでに一定程度の時間は掛かるでしょう。園自体も被災しています。短期的にはどうにもなりません。

昨年9月に水害の被害を受けた常総市では、被害を受けていない近隣の保育園・幼稚園が協力し行いました。希望する園児が幼稚園バスで移動し、共同で保育を行ったそうです。

避難所生活は園児に大きなストレスが掛かります。子供の騒ぎ声は大きく、他の避難者のストレスやトラブルにも繋がりかねません。方々に頭を下げて回り、子供を怒り続ける保護者の疲労は図りしれません。

そうしたとき、普段と異なる園舎等であっても、一時的に子供の保育を行ってくれると本当に助かります。保護者は安心して自宅の片付けや仕事が行え、避難者のストレスも軽減されます。他の園舎が確保しにくければ、避難所の一角を子供用スペースに充てるだけでも違うでしょう。

なお、常総市では全ての保育園・幼稚園等が復旧するまでに半年掛かりました。熊本でも相当の時間が掛かるでしょう。

水害で休みになっていた常総市の公立保育所3園のうち2園が28日、18日ぶりに再開した。(中略) 再開したのは水海道第二保育所(中妻町)と同第六保育所(小山戸町)。市こども課によると、園舎に被害はなかったものの、断水や停電で、やむなく休園していた。ライフラインが復旧したことに加え、避難指示・勧告が解除されたため、ようやく再開にこぎつけた。(2015年9月29日東京新聞)

昨年9月の関東・東北水害で床上浸水した常総市の市立御城(みじょう)、玉の両幼稚園が22日、被災して使用できなくなっていた園舎で保育を再開、約5カ月半ぶりに園児たちの笑顔と笑い声が戻った。これで、市内の幼稚園6カ所すべてが復旧。被災して別の場所で保育を行っている認定こども園と保育所各1カ所も、3月初旬までに復旧する見込みだ。(2016年2月23日東京新聞)

別自治体でも保育を提供できれば

現在、約11万人が避難所生活を過ごしているそうです。今後、居住自治体以外への広域避難が本格化するでしょう。子供と一緒に避難するにあたり、避難先で保育園等が利用できるかが気になります。

都市部は待機児童問題が深刻で保育園等に入れない園児が多い一方、逆に少子化が深刻で保育所定員が余っている自治体や地域も少なくありません。たとえば大阪市では、南部や周縁部で目立ちます。

であれば、こうした自治体や地域で、避難先と保育をワンセットで提供するのは一つの方法でしょう。様々な課題等はあるでしょうが、検討する価値はあるでしょう。