厚生労働省が発表した平成27年人口動態統計月報年計(概数)によると、同年の出生数・出生率が前年より微増した事が明らかになりました。都道府県別に前年と比較してみます。

厚生労働省は23日、2015年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数に相当)が1・46となり、前年より0・04ポイント上がったと発表した。上昇は2年ぶり。05年に過去最低の1・26を記録後、緩やかな上昇傾向にあり、21年前の水準(1994年に1・50)まで回復した。出生数も前年より2117人増の100万5656人となった。厚労省は、近年の景気回復などを背景に、25〜29歳の女性の出生率が5年ぶりに上昇したことや、晩婚化の進行が緩やかになりつつあることなどを要因に挙げている。

出生率は14年に9年ぶりに低下し、出生数も4年連続で過去最少を更新していたが、15年は上昇に転じた。年代別でみると、11年から減少が続いていた25〜29歳の出生率が上昇、30歳以上の各年代では引き続き上昇した。増加幅は30〜34歳で最も大きかった。

平均初婚年齢は、夫(31・1歳)、妻(29・4歳)とも前年と同じだった。妻でみると00年以降、5年で1歳程度のスピードで初婚年齢が上がり、晩婚化が進んできたが、この数年では上昇率が鈍り、出生率を押し上げる要因となった。

ただ、第1子出産時の母親の平均年齢は前年より0・1歳上がり、30・7歳で過去最高を更新。晩産化傾向には歯止めがかかっていない。15〜49歳の女性の数も前年比で26万人減少した。婚姻件数は63万5096組で前年より8653組減となり、戦後最少だった。

都道府県別の出生率は、前年と同値の岡山を除き、いずれも上昇。高い順に(1)沖縄(1・94)(2)島根(1・80)(3)宮崎(1・72)だった。最低は東京の1・17。(以下省略)

http://mainichi.jp/articles/20160524/org/00m/040/005000c

気になるのは住んでいる都道府県・自治体の状況です。月報から作成したデータを掲載します。

都道府県
(21大都市)
出生数合計特殊出生率
H27H26H27-H26H27
全国1,005,6561,003,5322,1241.46
北海道36,69537,058-3631.29
青森8,6218,853-2321.43
岩手8,8148,803111.50
宮城17,99918,069-701.31
秋田5,8615,998-1371.38
山形7,8317,966-1351.50
福島14,19514,517-3221.60
茨城21,70021,873-1731.46
栃木15,30615,442-1361.48
群馬14,25614,522-2661.47
埼玉56,07755,7653121.34
千葉47,01346,7492641.35
東京113,194110,6272,5671.17
神奈川73,47572,9964791.34
新潟16,33916,480-1411.47
富山7,5667,556101.51
石川9,0728,9611111.51
福井6,2306,166641.63
山梨5,9876,063-761.46
長野15,63815,848-2101.58
岐阜15,46415,1383261.49
静岡28,35228,684-3321.54
愛知65,61465,2183961.49
三重13,95013,7252251.51
滋賀12,62212,729-1071.57
京都19,64419,583611.26
大阪70,59669,9686281.34
兵庫44,01544,352-3371.43
奈良9,8329,6252071.35
和歌山7,0307,140-1101.58
鳥取4,6244,527971.69
島根5,5515,3591921.80
岡山15,59915,837-2381.49
広島23,67823,775-971.57
山口10,36010,1971631.61
徳島5,5865,502841.55
香川7,7197,745-261.64
愛媛10,14610,399-2531.51
高知5,0525,015371.50
福岡45,23545,202331.48
佐賀7,0647,159-951.67
長崎11,02011,323-3031.67
熊本15,57715,558191.68
大分9,1129,279-1671.60
宮崎9,2269,509-2831.72
鹿児島14,12514,234-1091.65
沖縄16,94116,3735681.94
外国5365-12
不詳
出生数
(再掲) H27H26H27-H26
東京都区部80,61978,4212,198
札幌市14,58914,56821
仙台市9,1029,243-141
さいたま市10,73510,397338
千葉市7,2747,2731
横浜市30,02230,149-127
川崎市14,70314,126577
相模原市5,4755,525-50
新潟市6,1826,1811
静岡市5,1405,371-231
浜松市6,7566,647109
名古屋市19,60519,316289
京都市11,05210,97874
大阪市22,35121,940411
堺市6,9696,859110
神戸市11,90911,938-29
岡山市6,4496,39752
広島市10,75410,822-68
北九州市7,8647,904-40
福岡市14,79714,559238
熊本市7,0627,03923

出生率は全国でほぼ満遍なく上昇

1人の女性が一生の間に産む子どもの数に相当する合計特殊出生率は1.46でした。

岡山県(同値)を除く全ての都道府県で上昇しました。低いのは東京(1.17)・京都(1.26)・北海道(1.29)、高いのは沖縄(1.94)・島根(1.80)です。例年と同じ傾向です。

出生数は首都圏で大きく増加

平成27年中に産まれた子どもの数は全国で100万5,656人でした。平成26年より2,124人増えました。100万人を切るかもしれないという観測もありましたが、首の皮一枚で割り込みませんでした。

一方、産まれた子どもの数は出生率と異なり、増加した地域と減少した地域で二分されます。

出生数が明白に増加傾向にあるのは首都圏です。1都3県で3,622人増加しました。特に23区は2,198人、さいたま市は338人、川崎市は577人と目立っています。

23区の増加数=日本全国での増加数

これによると、全国と23区での出生数増加数はほぼ等しい結果となりました。逆に考えると、日本から23区を除くと、出生数はほぼ横ばい、東京都を引くと減少しました。東京一極集中がますます加速しています。

首都圏は来年度以降も保育所入所が困難に

23区のみの出生数が8万人を超えました。平成29年度以降の保育所入所も厳しい状況が続くと見込まれます。保育所等を新設しても、出生数や申込率の増加に追いつきません。

東海・大阪・奈良・沖縄でも出生数は増加傾向

首都圏以外では東海地方(愛知・岐阜・三重)・大阪・奈良・沖縄でも出生数が増加しています。東海地方は景気回復が要因でしょうか。大阪・奈良は首都圏と同じく、子育て世帯が数多く転入している為だと考えられます。

なお、大阪市の出生数は昨年より411人増えて22,351人となりました。来年の保育所入所申込数は、中央区・西区・天王寺区等を中心に増加すると予想されます。

特に保育所新設が極めて難航している西区は極めて厳しい状況が予想されます。阿波座・西長堀・西大橋等のタワーマンションにお住まいの方は、ある程度の覚悟が必要です。

北海道・東北・九州は減少傾向に

反対に北海道・東北・九州での出生数は減少傾向が続きます。特に東北6県は岩手県を除いていずれも出生数が減少しています。出生率が上昇しても、それ以上に20代~30代の女性が減少しているのでしょう。