堀江小学校の運動場拡張・西区の待機児童解消の為、大阪市立堀江幼稚園が公私連携幼保連携型認定こども園として平成31年4月1日から移転・民営化します。民間移管後の運営法人の募集が始まりました。

大阪市では、平成31年4月に公私連携幼保連携型認定こども園として移転とともに民間移管する堀江幼稚園の移管法人を募集します。

・移管する幼稚園
大阪市立堀江幼稚園(大阪市西区北堀江3-2-31)
・民間移管後の開設場所
大阪市西区北堀江四丁目1番3(もと こども文化センター跡地)
・移管時期
平成31年4月1日
・移管後の運営
公私連携幼保連携型認定こども園
・法人の選定
募集要項公表    平成28年5月31日
設置・運営法人の決定・選定結果の公表    平成28年9月

http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kodomo/0000361616.html より作成(以下同じ)

堀江小学校と併設されている現在地から、中央図書館の北へ移転する計画です。直線距離で200メートルほどでしょうか。

horie_iten

移管後は園児293人を想定

移転後の施設内容等は募集要項に掲載されています。これによると、移管後の想定認可定員(下限)は293人とされています。現堀江幼稚園の定員は160人(実員107人)です。つまり、現在の倍程度の規模が想定されています。

定員0歳児1歳児2歳児3歳児4歳児5歳児合計
1号(教育)408080200
(在籍数)(20)(40)(47)(107)
2・3号(保育)381220252593
合計381260105105293

多すぎる幼稚園部門4-5歳児の想定定員

しかし、この想定認可定員は西区の現実とあまりに乖離しています。

まずは1号認定(幼稚園部門)の定員が過剰という点です。現在の堀江幼稚園の定員は20名(3歳児)・70名(4歳児)・70名(5歳児)であるところ、平成28年5月1日時点での在籍数は2/3程度の107人に留まっています。3歳児は定員上限の園児が在籍していますが、4-5歳児は6割強しか在籍していません。

在園時間の短さ・保護者の負担の多さ・他の幼稚園の選択肢等から、大半の市立幼稚園は大きく定員を割り込んでいます。堀江幼稚園のみではありません。特に定員数が大きい4-5歳児では顕著です。

しかし、移管後の1号認定定員は40名-80名-80名を想定しています。現堀江幼稚園と同じく、定員を大きく割り込む可能性が高いでしょう。1号認定の4-5歳児定員は在籍園児数に見合う規模までを減らすべきです。

一方、定員上限に達している1号認定の3歳児定員は4-5歳児定員と同程度に増やすのが望ましいです。毎年20人程度の3歳児申込者が入園できていなないのではないでしょうか。また、西区では地域型保育事業等の卒園児の進路が見つかりにくい状況です。西区東部で乏しい、幼稚園+預かり保育という選択肢も提示すべきでしょう。

各年齢の定員を50名、合わせて150人というのが理想かもしれません。少なくとも4-5歳児定員の一部を3歳児に振るべきです。

なお、堀江幼稚園の保護者を対象としたアンケートでも同様の回答が多数あります。20人から40人に増えたとは言え、地域事情を踏まえると未だ少ないでしょう。

・元々ある建物ではなく、新たに園舎を作るのですから3歳児の定員をもっと増やすようにして下さい。
・西区には幼稚園の3歳児の定員が人口に対して少なすぎます。
・よくある私立の幼稚園のように兄弟枠で下の子を入れられるような制度があるといいなとまわりの保護者の方たちが言っていました。
・毎年たくさんおこどもが堀江幼稚園に入りたいのに定員オーバーで、泣く泣く区外の遠い幼稚園へ行っています。3歳児の定員をもっともっと増やしてほしいです。40人では全然足りないと思います。
・園児の人数増(3才児)
・幼稚園の3歳児の定員の増加

保育園部門は93人

反対に2・3号認定(保育園部門)の定員は少なすぎます。総定員93人は西区における一般的な新設保育所と同程度の規模です。しかし、西区は保育所が余りに足りていないのが現実です。

平成28年度一斉入所募集において、西区では677人の申込がありました。しかし、入所が決まったのは421人に過ぎませんでした。特に1-3歳児で入所出来たのは半数程度です。4-5歳児の教育・保育リソースは概ね均衡している一方、0-3歳児は著しく不足しているのが西区です。

単一施設と考えれば、93人という規模は妥当かもしれません。しかし、大阪市内で最悪である西区の待機児童問題を踏まえると、新施設では保育でより大きな定員を設定すべきでしょう。特に3号認定は倍増させても良いぐらいです。

0歳児は6人、1歳児は16人、2歳児は24人、3-5歳児は各25人が一つの理想ですです。幼稚園部門の理想と併せて271人です。

応募法人がない、という悪夢

民間移管で欠かせないのは移管先法人です。募集要項によると、移管先は学校法人・社会福祉法人のみとされています。新設保育所等の募集と異なり、株式会社は排除されています。また、移転にあたっては園運営・事業内容に関する「移管にかかる諸条件」を遵守するのが条件とされています。

移管後はこども園として運営されます。その為、幼稚園教諭・保育教諭等、多様な職員の配置が必要とされます。幼稚園・保育園とも異なる施設なので、こども園を自ら展開している経験が乏しい法人は応募しにくいのではないでしょうか。

こうした点を踏まえると、応募して選定される可能性がある法人は決して多くありません。現に平成29年4月を開所時期とする認定こども園の募集には、殆ど応募がありませんでした(詳細はこちら)。堀江幼稚園でも同じ結果となる可能性が否定しきれません。

応募法人がなかったら悪夢です。仮にそうした事態が生じても、市立幼稚園として継続する選択肢はありません。募集を繰り返し、市内のこども園等に応募するように水面下でお願いするのではないでしょうか。

市立幼稚園の民間移管、特に移転・こども園化は本当に難しい

募集要望やアンケート等を見る限り、堀江幼稚園の民間移管・移転・こども園化は容易には進まない印象を受けました。園児や保護者・地域・運営事業者・市役所や区役所といった関係者が余りに多く、調整に難航すると感じました。

市立幼稚園は極めて充実した教育が行われている一方、これら全てを認定こども園に継続するのは難しいでしょう。新時代へ向けて、引き継ぐ部分と終了させる部分を割り切って判断する必要もありそうです。

一番の当事者は、これから西区や堀江地域で育つ子どもや保護者です。移管後の堀江幼稚園への入園を考えている方は、自らの思いや考えを積極的に区役所へお伝え下さい。黙っていたら現状追認・サイレントマジョリティと判断されます。

経験上、区役所等へ意見を伝えるには、口頭ではなくメールや意見書が効果的です。特に何らかの形で責任者(区長や課長)の回答を求めると、部署内部でも真剣に検討されるはずです。どんどん意見しましょう。