今年最大のニュースかもしれません。欧州連合(EU)からの離脱を問うイギリスでの国民投票において、離脱支持が残留支持を上回りました。

英国民投票 「EU離脱多数が確実」英BBC

6月24日 14時02分

イギリスで23日に行われたEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票でイギリスの公共放送BBCは、離脱の票が多数を占めることが確実になったと伝えました。これによってイギリスは今後離脱に向けた手続きを進めるものとみられます。(以下省略)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160624/k10010569961000.html

この投票結果、日本国内の保育施設(保育園・幼稚園等)に何らかの影響を及ぼすでしょうか。様々な方面から検討したところ、直接的な影響が生じるとは考えにくいです。しかし、間接的な影響を被る可能性は否定しきれません。経済問題です。

金融商品取引を行っていませんか?

お子様が日々通っている施設を運営している法人が、金融商品(有価証券・外貨・債券・デリバティブ等)を購入していないでしょうか。運用が上手くいっている間は利益をもたらしますが、相場が急激に変動すると多額の損失を生じる恐れがあります。

数年前には多くの社会福祉法人・学校法人等が多額の損失を計上して問題視されました。

南山大学(デリバティブで230億円以上の損失)
駒澤大学(デリバティブで154億円の損失)
大阪産業大学(デリバティブで多額の含み損)
大阪?の社会福祉法人(仕組債のノックインで多額の損失)

ウェブ上で公開されている十数カ所の保育園や幼稚園等(運営法人)の財務諸表を見る限り、有価証券等を所有している法人は見つかりませんでした。オフバランスとされるデリバティブ取引に関する注記も見つからないので、保有していないと推測されます(多分)。

地域に密着した小規模の保育所等においては、むしろ経済混乱による保護者の経済状況の激変が心配かもしれません。リーマンショックと同じ様に、事業所閉鎖による転勤・給与カット等による保育料未納等が少し心配されます。

株式会社立保育所は意外に安心かも?

一方、運営法人が「株式会社」となっている保育施設等において、金融商品を保有している法人が少なくありません。例えば株式会社による保育所運営の最大手、株式会社JPホールディングス有価証券報告書(平成27年3月期末)を見てみます。

有価証券報告書には、同社はデリバティブ取引を行っていない旨が明記されています。

金融商品に対する取組方針
当社グループは、資金運用については預金等の安全性の高い金融資産で行い、また、資金調達については主
に銀行借入によっております。また、デリバティブ取引は全く行っておりません。

有価証券報告書58ページ

また、金融商品の内容・リスク管理体制等も記載されています。その他有価証券の保有額が1年で5倍以上に増加していますが、キャッシュフロー・貸借対照表等とのバランスから問題がない範囲だと考えます。

その他にも上場している保育所運営会社は数社あります。会計監査人等による「第三者の目」によるチェックが行われるので、むしろ安心できるかもしれません。

気になるのは同族・複数施設経営の保育所等

一方、少し気になるのは「同族経営において複数の保育所・幼稚園等を運営している法人」です。保育料収入等による安定したキャッシュフローがあり、利回りや値上がりが見込める金融商品を購入しやすい環境にあります。

また、監事や税理士等によるチェック機能は十分とは言い難いです。毎月の様に保育所等の運営経費を私的流用しているケースも明らかになっています。プールされている資金を利用してこっそり(もしくは堂々と)デリバティブ商品を購入していたら・・・・。

施設や法人本部に銀行や証券会社等の社員が急に出入りし始めたら要注意です。何かあるかもしれません。

それ以外では、不動産価格が沈静化すると保育所新設がしやすくなるかもしれません。特に都市部では土地取得コストが大きな問題となっています。そもそも土地が見つかりにくくなっています。

円高は輸入商品価格の下落に繋がりますが、保育所等で利用されている物品は殆ど国産でしょう。外国への支払いもほぼないでしょう。為替は無視できそうです。