「待機児童ゼロへ 壁崩せ」と銘打った特集が日本経済新聞で掲載されています。深刻化する保育士・保育所不足に対し、それぞれの当事者がどの様に行動しているかが特集されています。

数多くの実例を取り込んだ読み応えのある記事です。それぞれの記事から趣旨を抜粋し、読みやすくまとめてみました。詳細はリンク先の記事本文をご覧下さい(会員登録が必要です)。

(1)保育士争奪、舞う現金
保育士不足が解決できれば、都内の保育園で児童100人をすぐに預かれる(ポピンズ)
保育所を全国に展開している企業で保育士の奪い合いが盛ん
入社時に10万円を支給する(JPホールディングス・ネスコーポレーション)
市内の保育園等で働く保育士に対し、大阪府箕面市は毎月2万円を最長3年間支給(大阪府箕面市)
無資格の大学生を採用し、入社後に保育士試験に合格させる(JPホールディングス)

(2)目の前は競馬場
児童公園への保育所新設工事、住民説明会で反対や怒号が続出(杉並区)
倉庫街が高層マンションに毎年500家族が移り住むが、保育所新設が追いつかない(品川区)
平日の開催日に来場客が行き交う大井競馬場から道路を挟んだ駐車場に保育所を設置(品川区)
八重洲口の高層ビル内に保育所・小学校を設置(中央区)
通常の手法による用地確保は限界(杉並区)

(3)俺が探さないと・・・
父親達の保育所探しも活発に
保育所探しはアナログ的な世界
見学予約電話を1時間半もかけ続け、40保育園を見学
とある認可外保育は保育料が月10万円、だが職場復帰を遅らせられない
親の負担は重い

(4)会社で育てる
企業内の保育所への助成が大幅に拡充された
コールセンター運営会社やイオン等が開設準備を始めている
六本木の高層ビル内に社員向け保育園を開設する(ワークス・アプリケーションズ)
企業にとって人材戦略となる

(5)育休延長は妙案か
育休を2-3歳まで伸ばせば保育士に余裕が出来る(江東区)
2017年度から育休を最長2年まで伸ばす、入園予約制度を検討(政府)
離職は防ぎたい、しかし長すぎる休みは仕事に影響する

こうして見ると、首都圏では保育士・保育所不足があまりに酷く感じられます。大阪市でも西区・中央区等は入りにくい状況です。しかし、東京都心部や子育て世帯に人気がある地域では更に過酷な状況になっていると読み取れます。

原因は明らかです。企業や人間が都心に集中する一方、子供が日中を過ごす場所を整備してこなかったからです。今後も保育所へ入りにくい状況は続くでしょう。

その点、大阪市はまだ恵まれているかもしれません。その地域で入りにくい場合であっても、隣の区(大阪市内)の保育所に入れる可能性が十分にあるからです。異なる区への入所が極めて難しい23区との大きな違いです。