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(10/7追記)
「反対派が過半数を上回る状況が確定すれば、市はマンションでの開設を正式に断念する方針」だそうです。
大阪市の児相開設、住民反対で暗礁…もめ事心配
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(9/28追記)
大阪市会へ陳情書が提出され、多くの議員が取り上げました。住民の半数以上が反対署名を行ったそうです。
【大阪市会】保育士優先枠・児童相談所について
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大阪市は児童相談所を強化中

ここ数年、大阪市内では児童虐待が相次いでいます。有名なのは、2010年に発生した二児置き去り死事件でしょう。

こうした事件等を受け、大阪市は児童相談所(こども相談センター)の強化に乗り出しています。中央区森之宮にある児童相談所に加え、平成28年10月には阿倍野区・住吉区・東住吉区・平野区を担当とする「大阪市南部こども相談センター」を平野区喜連西に開設します。

児童相談所とはどういった機能を有する施設なのでしょうか。

業務の内容
児童すなわち0歳から17歳の者(児童福祉法4条)を対象に以下のような業務内容を行っている(児童福祉法11条1項2号)。

児童に関する様々な問題について、家庭や学校などからの相談に応じること。
児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行う。
児童及びその保護者につき、前号の調査又は判定に基づいて必要な指導を行なうこと。
児童の一時保護を行う。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%90%E7%AB%A5%E7%9B%B8%E8%AB%87%E6%89%80

この様に、児童の保護の観点から専門知識を有する職員等が対応にあたる行政機関です。

ジーニス大阪(北区)への設置に住民が反発

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市北部地域の機能強化を目的として、現在は3カ所目の児童相談所を検討しています。設置予定場所は北区菅原町のジーニス大阪です。2LDK(66平方メートル)の家賃が25万円もする、高級物件です。

もともとは菅南中学校があった地域です。再開発が行われ、マンションの低層部分(約4000平方メートル)を大阪市が所有しています。

当初は「いきいきエイジングセンター」という高齢者向けの施設が設置されていました。しかし、平成26年3月末に廃止されました。現在は空室のままだそうです。

児童相談所の設置を住民に打診したところ、強い反発に遭っています。

マンションに児童相談所が! 住民説明会で怒号
更新:09/09 20:07

大阪市が高層マンションの中に児童相談所をつくろうとして住民が反対している問題です。住民の一部が計画撤回を求める署名活動を始めるなど対立はより激しくなっていて、8日夜、開かれた説明会では怒号が飛びました。

【反対の理由(1) 児童相談所が『ひとつ屋根の下』にできる】
【反対の理由(2) 高齢者のための施設だったのに…】
【反対の理由(3) 大阪市の進め方に不信感】

http://www.mbs.jp/news/kansai/20160909/00000058.shtmlより一部引用

高齢者向け施設が廃止された・児童相談所に対する嫌悪感・一連の流れに対する不信感があるそうです。
一つずつ見ていきましょう。

いきいきエイジングセンターは民間のカルチャースクール等と機能が重複する・区毎の福祉センターで十分・成果が見えにくい等の理由によって廃止されました(詳細はこちら)。

ジーニス大阪に居住されている方の中には、いきいきエイジングセンターを居住理由とした方もいる様子です。しかし、大阪市の財政難に加え、上記の理由から廃止されてもやむを得なかったのでしょう。

廃止後は売却する方針でした。しかし、プール・調理室・体育館等が設置されている為、思うように売却できませんでした。そこで、市有施設の有効利用の観点から、児童相談所の設置という話が持ち上がりました。

これに対して住民は「児童相談所は危険な施設」だと主張しています。確かに児童相談所は虐待・非行・養護等の観点から一時的に保護する機能があります。原則として屋外には外出できず、施設内で生活するそうです。

保護者等が怒鳴り込んでくる、保護された未成年者はが大騒ぎする、というのは一方的なイメージでしょう。皆無とは言えませんが、例外的な事象ではないでしょうか。

※追記:児童相談所には触法少年(14歳未満で重大な犯罪を犯した子供)も送致されるそうです。準司法機関的な機能・イメージもありそうです。安全性に対するマンション住民の方の懸念意見も合わせてご紹介します。

児童相談所は必要な施設です。また、マンションの低層部分は大阪市が区分所有しており、マンション規約に抵触しなければ支障は何ら無いでしょう。隣近所に児童相談所が設置されるのと類似のケースです。

ただ、大阪市の進め方に問題があったのは事実でしょう。市内に住んでいて、様々な施設の設置・廃止等に関する情報が伝えられるのが本当に遅いと感じます。町内会長等には早めに伝えられている様子ですが、一般的な住民に伝えられるのは物事が全て決まってからなのが専らです。

例えば西船場幼稚園の廃園は町内会等に伝えられているそうです。しかし保護者説明会はこれから、入園を検討している0-2歳児の保護者に対する説明会を行う予定はないと聞きました(西船場幼稚園を守る会より)。

大阪市の進め方に住民が反発する理由は理解できます。「騙し討ちだ」と感じても不思議ではありません。

管轄する北部地域の端っこ・・・中央にある東淀川・淀川は歓迎

また、ジーニス大阪に児童相談所を設置するのには無視できない問題があります。「地理的偏在」です。

実はジーニス大阪とこども相談センターは、道なりで3kmほどしか離れていません。森之宮と南森町、歩いても移動できる距離です。また、ジーニス大阪は北区の南端にあります。大川以北を管轄する施設を設置する場所としては、中央部から大きく外れてしまっています。

つまり、担当地域の地理的状況ではなく、「そこに未利用地があるから」という理由で決めたのだと推測されます。市有地の活用は重要とは言え、場所があまりに良くありません。

これに対し、児童相談所の設置を歓迎する地域もあります。淀川区加島にあった旧市民交流センターよどがわと、東淀川区東中島にあった旧南方保育所です。

1か所目は「市民交流センターよどがわ」。体育館やホールなどを有する施設でしたが、利用率が50%未満であったことなどから、今年3月末に閉館。今は空いています。しかし、築約40年で古いことなどから、候補地から外れたといいます。

そしてもう一つ。3年前に閉鎖された東淀川区の南方保育所。園庭もきちんと残っています。しかし、延べ床面積が約1000平方メートルと、広さが足りないなどの理由から児童相談所に適さないと判断したといいます。ところが現地を取材すると。

「私ら町会あげて、大歓迎しますわ」(南方地区自治会 阪本ヒデミ代表)

この地区の自治会代表、阪本さん。保育所が休止されてから資材置き場となっていて、地域としては、子どものために活用してほしいというのです。(以下省略)

http://www.mbs.jp/news/kansai/20160914/00000074.shtml

どちらの施設の利用率の低下・老朽化が進み、閉鎖されたばかりです。建物をそのまま児童相談所へ転用するのは難しそうです。両地区とも過疎化が進行しており、特に子供の数が急速に減少しています。

特に旧南方保育所は淀川3区のほぼ中央にあり、北区・福島区等へもアクセスしやすい場所です。すぐ北には東淀川特別支援学校もあります。北部地区を管轄する児童相談所を設置する場所としては最適と言えるのではないでしょうか。

保育所にも共通しますが、様々な施設を地域に設置するに際して、地域住民の理解は欠かせないでしょう。特に公権力を有する行政が設置する施設は尚更です。法律上の問題が無くとも、早い段階から丁寧に設置して理解を得るプロセスは必要不可欠です。

また、早めに情報が公開される事により、より良い提案や誘致が行われるケースもあるでしょう。ある地域にとっては迷惑施設かもしれませんが、別の地域では歓迎される場合もあります。

9/16追記:マンション住民がTwitterで主張しています

大阪市やマスコミの一方的な主張に対し、ジーニス大阪の住民の方がTwitterで事態の説明・主張等を行っています。

「住民説明会における大阪市の主張の問題点」は分かりやすくまとまっています(作成者は専門職でしょう)。

対立は深刻です。

ジーニス大阪に保育所を!

なお、ジーニス大阪はとっておきの候補があります。「保育所の誘致」です。

北区菅原町付近は保育所(特に0-5歳児を預かり施設)が少なく、入所するには高い点数が必要です。ここ数年で幾つかの施設が設置されましたが、それでも足りません。

菅原町の南には大川が流れており、すぐに中央区となってしまいます。地価の高さ・区境・川という条件が重なり、保育所を更に設置しにくいと推測されます。中央区大手町一丁目に設置する計画がありましたが、事業者が辞退してしまいました(詳細はこちら)。

また、この地域ではジーニス大阪を初めとする高層マンションが増えています。梅田・淀屋橋・谷町界隈に近く、共働きしやすい場所です。その為、保育を必要とする子供も増加しています。認可外保育施設も満員状態です。

旧いきいきエイジングセンターには多数の部屋・屋内プール・体育館等が備え付けられていました。いずれも保育所でそのまま利用できます。

仮に児童相談所の設置を断念するのであれば、ここへ保育所を誘致(賃貸借?)すべきではないでしょうか。保育所探しに困っている子育て世帯はとても助かります。大阪市の子育て環境が向上し、市有財産の有効活用も図れます。