劣悪な保育・保育士との不当労働契約等が明らかになったのが、「わんずまざー保育園」(こども園・姫路市・小幡育子園長)です。

スプーン1杯のおかず・私的契約・保育士水増し・・・わんずまざー保育園(こども園・姫路市・小幡育子園長)
【わんずまざー保育園】隠蔽工作・保育士との不当労働契約も明らかに
【わんずまざー保育園】紛糾する説明会・定員外園児からも給食費徴収・闇ベビーシッター

わんずまざー保育園へ登園している定数内児童46人全員が、今後は同園へ登園させない予定だそうです。保護者として当然の判断でしょう。

姫路の定員超過こども園、通園希望ゼロ 保護者が意向

定員を大幅に超える園児の受け入れが発覚した兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」で、2017年度の通園を申し込んだ子ども46人の保護者全員が通園させない意向を姫路市に示していることがわかった。姫路市が22日の市議会厚生委員会で明らかにした。

県は今月中にも同園の認定を取り消す方針だが、小幡育子園長は取材に「今後も認可外保育施設として子どもを受け入れたい」と話している。ところが、姫路市によると、同園には定員いっぱいの46人が通園を希望していたが、44人は市内の幼稚園や保育園などに転園・入園、2人は自宅保育にする考えを市に伝えたという。

http://www.asahi.com/articles/ASK3Q5HPSK3QPIHB01P.html

姫路市が主体となり、定数内児童へ他保育所・幼稚園等を斡旋しているそうです。上記記事にあるとおり、ほぼ全ての児童は既に転所先が決まったそうです。

反面、私的契約22人にはこうした斡旋等は行われないそうです。行政が関与する契約ではないとは言え、定数内児童との扱いの違いが釈然としません。

私的契約をせざるを得なかった理由の一つには、保育所不足があるのは否めません。背景事情を調査すべきでしょう。

小幡園長は自らの甘さを反省する反面、悪気はないという弁解に終始しています。未だに「今後も認可外保育施設として子どもを受け入れたい」と話しているそうです。呆れます。

姫路のこども園 園長「認可外時代の甘さ抜けず」

不適切な保育実態が明らかになった兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」の小幡育子園長は問題発覚前、神戸新聞社の取材に応じていた。特別監査で指摘された不正を認めた上で、こども園に移行後の体制整備について「知識がなく、何が必要かも把握できていなかった」と釈明。兵庫県や市による認定過程での適格性判断やチェックの甘さが問われそうだ。

同園は、2003年に認可外保育施設として設立され、12年間運営。待機児童の解消や保育と幼児教育の質向上を目指す「子ども・子育て支援新制度」が始まった15年度、認定こども園に移行した。年間5千万円の公費を受給していた。

約1時間にわたり取材に応じた小幡園長は、認定を目指した理由を「(公費補助で)保育料が安くなり、保護者も助かると思った」と説明した。

定員を22人超過する園児を不正に受け入れていた点は、「ここは認可外の基準なら70人まで可能な広さがある。保護者に『助けて』と言われ、受け入れてしまった」と弁明。「認可外時代の甘い考えが抜けず、事の重大さに気付いていなかった」とした。

無資格でベビーシッターを行い、保育士にさせていたのも「認可外時代からやっていた。保護者へのサービスのつもり」と語った。

県内の認定こども園は322カ所(16年4月時点)。公立や学校法人、社会福祉法人の運営が97%を占め、個人経営の認可外から移行した例は珍しい。

小幡園長は、認可の基準を満たす体制整備について「大きなところは知識のある人がいるが、ここは私だけ。知識がなかった」と、適格性に疑問を抱かざるを得ない弁明に終始した。

一方、21日夜に同園であった保護者説明会では、保育士が園長に逆らえなかった実情を涙ながらに説明。子どもを預ける女性(29)は「園長の話は信用できない。本当のことを語ってほしい」と求めた。

https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201703/0010025193.shtml

一般的な感覚を有する保育所経営者であれば、たとえ保護者から「助けて」と言われても私的に受け入れず、自治体を通じた申込みを紹介するでしょう。認定に伴う手続等で、園長は姫路市から再三説明されたはずです。

反対に考えるとスッキリします。施設見学に訪れた保護者に対し、「姫路市に申し込むと定員いっぱいで入れないが、施設と直接契約するなら入れます。」と勧誘した可能性です。

保育所等への入所を考えている保護者の多くはこうした制度に詳しくなく、施設経営者からこの様な方法があると説明されれば、あたかも合法な物として受け入れてしまっても不思議ではありません。

特に子ども子育て支援新制度が導入された後は制度が複雑、施設が多種多様となりました。園長から「直接契約という制度もある」と話されたら、鵜呑みにしても仕方ないです。

どの様な経緯で保護者が私的契約を知り、契約に到ったかが一つの焦点となるでしょう。

わんずまざー保育園が認定こども園となったのはたった2年前でした。姫路市による認可・監査プロセスも重大な問題があります。

市長等は議会で陳謝・再発防止に努める発言をしています。

姫路のこども園問題 監査体制強化で再発防止へ

兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」で不適切な保育実態が明らかになった問題で、同市は22日の市議会厚生委員会で、同園の認定や監査に際しての対応が不十分だったと認めた。石見利勝市長は「子どもを守れず非常に残念」と発言。監査体制を強化し、再発防止に努める方針を示した。

議会側は、同園長の経歴などの説明を受けた上で「運営者としての経験が浅く、不安がある」と指摘。認定の申請段階で行政のチェック機能が働いていなかったと指弾した。

さらに、市内の福祉施設で不正問題が相次いでいる状況に触れ、職員14人で構成する市監査指導課について「職員を増員し、組織体制の見直しが必要だ」と強調した。

市は「監査体制を強化し、職員の不正を見抜く力を向上させる」と応じた。

市は2月の監査で判明した保育実態について、園児に少ない量の給食が提供されていたことに加え、適温が20度とされている保育室の温度が14度しかなかったと報告した。

議会側は「子どもに対する明らかな虐待。刑事告訴すべきだ」と主張。これに対し市は「(刑事告訴が)可能かどうか協議したい」と述べた。

同園には年間の運営費として公費約5千万円が給付されているほか、延長保育など6事業に補助金約250万円が支給されており、市側は「各事業を精査して、不正が確認できればこれらの返還も求める」とした。

https://www.kobe-np.co.jp/news/himeji/201703/0010025435.shtml

姫路市は「職員の不正を見抜く力を向上させる」としています。しかし、本件は職員が気づく前に、施設利用者・職員等から何度も相談があったと報道されています。

初期段階で相談に真摯に応じ、適切な監査を行っていれば、ここまで問題が深刻化するのは避けられたでしょう。

更に重要なのは、そもそもどうしてこの様な施設が認定されたかと言う点です。驚いたのは、本施設は法人経営ではなく、園長個人として経営していたという事実です。

10人以上の職員・50人弱の園児を保育する施設です。個人事業として運営するには厳しい規模です。法人化して私有財産から切り離し、税理士等による決算書作成を通じた緩やかな監査も行う様に指導すべきでした。

実は同園の資産内容にも不思議な点があります。日を改めて記事化しようと思います。