出産・子育て中の方の中には、「今年中~来年4月に保育施設に入所しようか考えている」という方もいるでしょう。

真っ先に躓くのは「施設の種類が多すぎる!訳が分からない」という部分でしょう。子育てしている親世代が子供の頃は、ほぼ幼稚園・保育所という選択肢しかありませんでした。どちらかしか無かった地域も多いでしょう。

時代は変わりました。子ども・子育て支援新制度の導入によって「1号・2号・3号認定」という言葉が生まれました。同時に、認定新たにこども園・地域型保育事業(小規模保育や保育ママ等)という施設類型が生まれました。

また、以前から存在している認可外保育施設に加え、認可外でありながらも公的な助成・補助が受けられる認証保育所(東京都のみ)・企業主導型保育も増えています。

各保育施設はどう違うのでしょうか。目的・入所・費用負担・運営面などから簡単に比較してみます。

1号認定(幼稚園・こども園)は教育目的、開所時間・日は短め

まずは教育を主たる目的とする1号認定からです。

 1号認定
施設類型幼稚園認定こども園
旧制度(新制度移行園)
主たる目的教育
年齢原則として3~5歳児
一斉申込時期10月が多い
選考・契約主体各施設
保育料決定者各施設自治体
保育料決定方式一律住民税から算出
入園金ありなし
施設への補助私学助成施設型給付
世帯への補助就園奨励費なし
運営日原則として月~金曜
通常運営時間概ね朝9時頃~昼2時過ぎ
長期休業夏休み・冬休みあり(学校に準ずる)
預かり保育原則として実施
保護者参加行事多い
弁当日多い
教員幼稚園教諭(養護教諭等を除く)幼稚園教諭・保育士・保育教諭
園庭あり
災害共済給付加入

1号認定は昔からある「幼稚園」のイメージその物です。こども園の1号認定部分も含みます。

入園できるのは原則として3歳児からとなっています(一部施設は満3歳・4歳児から)。3歳児から入園させる家庭が多く、4歳児からという幼稚園は定員確保に苦戦する傾向があると聞きます。

表にあるとおり、保育所と比べると運営時間・日は短めです。これを預かり保育で補っていますが、園によって利用者に大きな違いがあると聞きます。

話を聞く限り、幼稚園を利用している世帯がフルタイムで共働きしているケースは少ないそうです。短時間のパートタイム、もしくは専業主婦が大半だと聞きます。

注意が必要なのは「保育料の決定方式」です。実は幼稚園と言っても2種類に分かれます。従来型の私学助成の対象となる園と、新制度による施設型給付の対象となった園です。

前者の幼稚園では指定された一定額が保育料となります。一方、後者の幼稚園では世帯の住民税額から自動的に保育料が算出されます。

2-3号認定(こども園・保育所・地域型保育)は保育目的、フルタイム共働きにも対応

次は保育を目的とする2-3号認定です。

 2-3号認定
施設類型認定こども園保育所地域型保育
主たる目的保育
年齢0~5歳児0~5歳児(例外あり)0~2歳児
一斉申込時期10-11月が多い
選考・契約主体自治体
保育料決定者自治体
保育料決定方式住民税から算出
入園金なし
施設への補助あり
世帯への補助なし
運営日原則として月~土曜
通常運営時間概ね朝7時~夜7-8時頃
長期休業年末年始・お盆休み等
預かり保育なし(通常運営に含む)
保護者参加行事少ない
弁当日少ない
教員幼稚園教諭・保育士・保育教諭保育士(例外あり)1/2~全員が保育士
園庭あり原則ありほぼ無し(公園等で代替)
災害共済給付あり

2号認定は従来からある保育所に加え、こども園(2号認定)や地域型保育事業(小規模保育・保育ママ等)も含みます。

原則として全ての施設が0歳児(一部は1歳児等)から入所できます。こども園や保育所は小学校入学前まで在籍できます。お世話になっている保育所では、3月末まで5歳児の保育を行っています。

しかし、地域型保育事業は原則として2歳児までとなっています。3歳児からは他の施設へ転所する必要があり、これがいわゆる「3歳の壁」と呼ばれる物です。

幼稚園等の1号認定と比べると、2-3号認定の施設は保護者が参加する行事や弁当日は少ないと聞きます。保護者は働いており、過度の負担となる行事は嫌がられます。

また、幼稚園と比べると保護者間の交流は薄いと聞きます。近所の幼稚園ではランチ会を頻繁に行っていると聞きますが、保育所では全く聞きません(誰も来れない)。

認可外保育施設は多種多様、一部施設は公的補助あり

最後は認可外保育施設です。

施設類型認可外保育施設
企業主導型保育認証保育所(東京都のみ)その他の認可外
主たる目的主に保育だが、施設でバラバラ
年齢各施設が決定
一斉申込時期各施設による
選考・契約主体各施設
保育料決定者各施設
保育料決定方式一律
入園金あり
施設への補助ありなし
世帯への補助なしあり一部自治体のみ
運営日各施設が決定
通常運営時間各施設でバラバラ
長期休業殆ど無い
預かり保育なし(通常運営に含む)
保護者参加行事少ない
弁当日少ない
教員1/2以上が保育士6割以上が保育士1/3以上が保育士
園庭ほぼ無し(公園等で代替)
災害共済給付ありなし?なし

「認可外」という言葉のイメージとは異なり、行政による指導監督(原則として年1回程度)が行われています。

幼稚園・保育所等と大きく異なるのは「保育料」と「教員」です。

認可外保育施設の保育料は、原則として施設が定める一定額となっています。その為、保育所等と比べると、特に低所得世帯の負担が重くなっています。

ただ、認証保育所(東京都のみ)や企業主導型保育では、施設へ公的な助成が行われています。運営に要する費用負担が楽になり、結果的に利用者の保育料もやや安くなっています(それでも保育所より高め)。

また、認証保育所の利用者は、所得に応じた助成が行われています。助成対象・助成額は自治体で異なっていますが、保護者負担は相当軽減されています。

更に一部の自治体では、それ以外の認可外保育施設の利用者にも助成が行われています。大阪市でも平成29年度から制度が始まります(詳細はこちら)。

もう一つの違いは「教員」です。幼稚園や保育所等では、原則として全教員が幼稚園免許・保育士資格等を有しています。

しかし、認可外保育施設での基準は緩く、中には保育士資格者が1/3以上で良い施設もあります。こうした施設の中には従業員管理が甘く、法定の資格者数・職員数等を満たしていない場合もあります。資格者・職員不足は事故に直結します。

認可外保育施設は本当に多種多少です。幼稚園や保育所等と変わらない教育・保育を行っている施設から、ただの託児施設まで様々です。中には劣悪な施設もあります。

入所前の見学は必要不可欠です。疑問点があれば欠かさず質問し、「おかしいな」と感じた施設は控えた方が良いでしょう。突然閉鎖した施設もありました(大阪市北区のちょうちょ保育園)。