大阪市は保育所の民営化を進めています。今年度も3保育所の民営化等を予定しています。

大阪市では、市政改革の基本的な考え方に基づき、平成25年4月に「公立保育所新再編整備計画」を策定し、公立保育所の民営化を進めており、このたび、今年度に民間移管・民間委託の公募を行う3か所の保育所を公表することとしましたので、お知らせします。

今後、募集を開始し、当該保育所を利用している児童の保護者の方への説明会を実施するなど、保護者の方の理解を得ながら進めるとともに、民営化に伴う児童への影響が最小限となるよう取り組んでまいります。

なお、移管先・委託先法人の選定は、平成29年12月頃を予定しており、法人の選定後、保育の引継ぎ共同保育等を行った上で、民間移管・民間委託します。

(以下省略)

http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kodomo/0000402702.html

具体的には下記の3保育所が予定されています。

保育所名所在地移管方法
橘保育所西成区橘3-1-19現状移管
浅香東保育所住吉区浅香1-1-24建替移管
天下茶屋保育所西成区天下茶屋東2-1-12民間委託

実は3保育所はいずれも平成30年度での移管が予定されていました。しかし、橘・天下茶屋保育所の移管に応募した法人はありませんでした。また、浅香東保育所の移管へ応募した法人は第2次審査をクリアできませんでした。

平成30年度に民間移管する公立保育所の移管先法人を募集します
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000369395.html

今回の募集において、橘・浅香東保育所は昨年と同じく民間移管を、天下茶屋保育所は民間移管ではなく民間委託へと計画を変更しています。

天下茶屋は決まりそう、橘・浅香東は苦戦?

方針を転換した天下茶屋保育所には一定の応募が集まるでしょう。西成区が少子化が著しい地域です。しかし、天下茶屋は地下鉄駅・区役所があって利便性が高く、阿倍野区からも登園できる場所にあります。

少なくとも数年スパンでは多くの園児・保護者からの申込みが集まり、定員を大きく割る心配は少ないと感じます。

反面、今回の公募でも苦戦する可能性が高いのは橘保育所・浅香東保育所です。駅も遠く、大きな川が近くを流れており、利便性は決して高くありません。

2保育所の周囲には地域改善の為に建てられた大規模な市営住宅があります。以前は子育て世帯が多く、強いニーズがありました。

こうした地域では児童数のピークに合わせて積極的に保育所を整備していました。しかし、現在は少子化が著しく進んでいます。

幾つかの保育所は統廃合し、保育所数・定員は減少しました。それでも児童数に比べると多く、特定の年齢を除けば大半の申込者が入所できる状況となっています。

市営住宅のネックは駅から遠く、民間企業による再開発が期待できない点です。今後も少子化は進むでしょう。採算性を無視できない民間事業者が保育所を引き継ぐのは、容易ではありません。

実はこうした地域にある公立保育所を移管して引き受けた法人の中には、昔から地域の改善や福祉に貢献していた団体が少なくありません。

こうした団体の一部は、社会の変化を受けて社会福祉法人へ移行しました。福祉事業・地域の子育て支援の一環として、公立保育所を引き継いで運営しています。時代の流れを感じます。