(H30の結果はこちらです)

【H30学力テスト】大阪市が2年連続で全国最下位、上位は北陸・東京・京都市・広島県、下位は愛知・滋賀・相模原

(小学校毎のH29の結果はこちらです)

大阪市立小学校データベース

衝撃的な結果です。

今春行われた全国学力テストの結果が公表されました。全都道府県中、大阪府は小学生が46位・中学生が44位、そして大阪市は政令指定都市内で小中共に最下位という結果でした。

全国学テ大阪府順位下げる 大阪市は政令最下位

文部科学省が毎年行う全国学力テストの結果が発表され、大阪府は全国平均を下回り、平均正答率は(47都道府県中)小学生が46位、中学生が44位とともに順位を下げた。また、今回から政令指定都市の結果も発表され、大阪市は小中学生とも20都市の中で最下位だった。松井知事は今回の結果について「大阪市の場合は家庭の事情が大きく関係していて、長年の教育格差を解消するには至っていない」とコメントした。

http://www.kyt-tv.com/nnn/news88919890.html

ことし4月に全国の小学6年生と中学3年生が受けた「全国学力テスト」の結果が公表され、大阪府では、小中ともにすべての教科で、全国平均を下回りました。小学校の国語はA・Bともに、今回、全国最下位でした。

これについて、大阪府教育庁小中学校課の坂本俊哉課長は、「改善を目指して、対策を行っているが、今回も依然として課題がみられ、厳しく受け止めている」と述べました。
今回の「全国学力テスト」の結果について大阪府の松井知事は、「基本的にはまだまだだ。特に大阪市は、あまりにも大きな学力の格差がある。大阪市では、塾代を助成しているが、こうした制度を通して、家庭の経済格差が教育の格差につながらないよう時間をかけて取り組んでいくしかない」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20170828/3198081.html

問題・結果は教育政策研究所に

学力テストの結果や問題等が掲載されているのは、国立教育政策研究所>教育課程研究センター「全国学力・学習状況調査」です。

教育課程研究センター「全国学力・学習状況調査」
平成29年度全国学力・学習状況調査の調査問題・正答例・解説資料
平成29年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料
調査結果資料:大阪市
調査結果資料:大阪府

全都道府県・政令市中、小学生の学力は大阪市が最下位

保育園児・幼稚園児を育てている家庭にとって特に気になるのは、大阪市の小学生の結果でしょう。これを中心に見ていきます。

全国学力・学習状況調査の調査結果は都道府県と政令市が別ページに掲載されているので、これを合成してみました。


(上位10件は赤、下位10件は緑で表示)

大阪市の小学生の結果は政令都市中で最下位(相模原市と同値)のみならず、全都道府県すら下回っています。つまり「全都道府県・政令市中、小学生の学力は大阪市が最下位」と言えるでしょう。

非常にショッキングな結果です。「大阪市の小学生はバカ」と言われても反論できません。

では、どうしてこの様な結果となったのでしょうか。教科別の細かい数字を見ていきます。

調査結果には平均点だけでなく、教科別の正答率割合も掲載されています。児童の正答率を5分割し、それぞれの割合を算出したものです。

まずは国語Aです。正答率が20-40%だった児童の割合は、大阪市は5.3%でした(全国平均3.5%)。相模原市の6.1%に次いで、政令市で2番目に多い数字です。

では、正答率が80%を超える上位層はどうでしょうか。全国平均55.1%に対し、大阪市は44.6%でした。全都道府県・政令市の中で飛び抜けて悪い数字です。2-3番目に悪い相模原市の49.9%・神奈川県の47.3%と比べても、非常に大きな差を付けられています。

全国平均とグラフで比べると一目瞭然です。大阪市が棒線部分、大阪府が▲印、全国平均が◆印です。

全国平均・大阪府平均と比べ、上位層が極めて薄くなっています。全問正答者は全国平均の半分強しかいません。

算数Aも似た傾向です。正答率が20-40%だった児童の割合は、大阪市は5.3%でした(全国平均4.0%)。相模原市の6.0%に次いで、政令市で2番目に多い数字です。

上位層も同じです。正答率が80%を超えた児童は、全国平均63.8%に対して大阪市は56.2%でした。相模原市(51.4%)についで2番目に少ない割合です。

国語と比べて問題が簡単だったのでしょうか。グラフのピークは全問正解者です。しかし、全国平均と比べると大阪市は3問-11問正解者が多く、12問以上の正解者は少なくなっています。

国語B・算数Bも同じ様な内容でした。特に国語Bは酷い内容です。0-20%・20%-40%の割合が全国で最も高く、80%以上は全国最小でした。

これらから、大阪市の小学生の学力は「下位層が分厚く、上位層が極端に薄い」「算数は全国最低水準、国語は全国最低で飛び抜けている」という結果が窺えました。

追記:大阪市の結果概要が公表されています

大阪市役所ウェブサイトに「平成29年度全国学力・学習状況調査 大阪市の結果概要について」が公表されています。しかし、横長のPDF形式で掲載されていて、スマートフォン等では非常に見にくくなっています。PCでも厳しいです。

そこでスマホ等でも見やすくなる様に、ページを分割した資料を作成・掲載します。

Download (PDF, Unknown)

大阪市の結果のみに対する講評が行われており、全国比等に対する危機感は全く伝わってきません。大丈夫でしょうか。

追記:大学等への進学にも影響が

こうした状況は、後の進路にも影響していると推測されます。

一定の学力を有する高校生が多く受験する大学入試センター試験において、大阪府の現役志願率は全国ワースト2位です。恐らくは大阪市内も同じ様な数字でしょう。

大学入試センター試験 現役志願率(平成28年)
1位 東京都 56.2%
2位 広島県 54.9%
3位 愛知県 52.1%
4位 富山県 50.6%
5位 山梨県 49.4%
6位 石川県 48.7%
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17位 福井県 44.3%
18位 神奈川県 44.2%
18位 兵庫県 44.2%
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46位 大阪府 32.7
47位 沖縄県 28.7

http://www.dnc.ac.jp/sp/data/shiken_jouhou/h28/index.html

一方、4年制大学への進学率は少し異なります。平成29年度学校基本調査によると、大阪府の大学等進学率は59.8%(全国6位)となっています(1位は京都府の66.2%)。

「大学進学率等は高い」「センター試験現役志願率は低い」という、歪な状況となっています。

大学進学率が高いのは、大阪府内や近隣自治体に大学等が多くあって進学しやすいのが一因でしょう。東北・九州・沖縄が低く、関東や関西が高いのが物語っています。

センター試験現役志願率の低さは、学力試験を経て大学進学を目指す学力上位層の薄さと密接な関係がありそうです。

また、外郭団体である大阪市都市型産業振興センターが、大阪市内の大学の少なさを憂うレポートを作成しています。

・市内の中学卒業生の内、大学へ進学する人の半数近く5,048人は、少なくとも市外の大学を選択せざるをえない
・昭和29年度の市内の大学への入学者数はなんと8,296人であり、現在よりも45%も多い
・大学に関しては、大阪市には学びの場が少な過ぎるということである。

大学進学率50%時代に取り残されそうな大阪市の危機的状況

大阪市という都市その物が、教育を軽視しているのかもしれません。これで良いのでしょうか。

必要なのは学習指導・家庭環境や経済状況の改善

では大阪市や家庭では、どの様な対策を行えば良いのでしょうか。私は教育の専門家でないので、具体的な方法は分かりません。

ただ、この様な結果は積み重ねられた学習内容を反映したものです。日々の学習が十分でないのは間違いありません。

また、大阪府の松井知事は「家庭の事情が大きく関係している」「経済格差が教育の格差につながらないよう取り組んでいく」とコメントしています。つまり、家庭環境や経済状況が学力に大きな影響を与えていると示唆しています。

家庭環境については気になる話があります。数ヶ月ほど前に小学生(低学年)・保育園児を育てている方(Aさん)と小学校での学習・宿題について話をする機会がありました。

「学校の宿題が少なすぎる」と感じたAさんが担任の先生に相談したところ、「現状ですら宿題を提出できない子供が少なくない。分量を増やしても、やってこない子が増えるだけです。申し訳ないが、市販のドリル等で補って下さい。」という返事があったそうです。

小学生の宿題指導すらできない家庭が少なくないのかと、愕然としてしまいました。学力下位層が分厚い理由の一つでしょう。

こうした現状であれば、学校の先生の指導は下位層が中心となってしまうでしょう。中上位層は放置されかねません。学習内容が難しくなるにつれて中位層の学力はずるずる下がり、上位層は伸び悩むのかもしれません。

大阪市は塾代助成事業・学校長に大きな権限を与える「スーパーリーダーシップ特例校」等を通じ、学力を向上させようとしています。

塾代助成事業
・市内に居住している中学生
・一定額以下の世帯所得(中学生の約半数が対象)
・月額1万円が上限
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kodomo/0000382136.html

予算や人事面などで校長に大きな権限を与え、学力向上を目指す校長裁量拡大特例校(スーパーリーダーシップ特例校)の制度を平成30年度から導入することを正式に決めた。
特例校となるのは小中学校ともに5校程度。市内では学力に課題を抱える学校が固定化している傾向があり、こうした学校の中から地域性なども考慮して指定する。
http://www.sankei.com/west/news/170803/wst1708030039-n1.html

こうした制度は一定の効果を生ずるでしょう。しかし、大阪市の学力低迷の大きな理由は「家庭環境・経済格差」です。月額1万円の塾代では、格差は埋まらないでしょう。

また、上記記事には「市内では学力に課題を抱える学校が固定化している傾向」と記載されています。固定化するのは、当該学区内に家庭環境・経済問題を有する家庭が居住する傾向があるからでしょう。こうした家庭でも住みやすい、低家賃の住居が数多く整備されている地域です。

大阪市全域(とりわけこうした地域)の学校で必要なのは、学習指導に加えて家庭環境・経済問題の改善でしょう。下校後も学習・指導できる場所を整備し、福祉の観点から家庭問題の解消を図る方法です。

たとえば、授業が終わった後でも学校内で毎日勉強・指導できる制度があれば良いかもしれません。分かるまで帰さないという、昭和の時代の指導の復活でしょうか。

学内にて学外リソースを利用する方法もあります。小学校ならいきいき活動の延長で、中学校なら塾講師を学校に招いて指導を受ける方法もあります(いずれも実施済と聞きます)。

福祉の観点であれば、家庭指導を出来る人材を学校に配置する方法が考えられます。福祉畑の行政職員を学校に派遣し、教員と共に対処に当たる手段もあるでしょう。

いずれの方法であっても、学校に更なるリソースを配分する必要があります。これこそが大阪市の吉村市長が強調する「子供への投資」ではないでしょうか。

数学Bは全問正解できました

実はこの記事を書くに先立って、私自身が中学生の数学Bを解いてみました(問題正答例

中学校を卒業したのは大昔です。どれだけ解けるか心配だったのですが、何とか全問正解できました。図形問題に手こずりました。

意見は大阪市教育委員会学力向上グループへ

学力テストの結果に対し、教育委員会に意見を伝えたい方もいるでしょう。担当課は下記の通りです。

大阪市 教育委員会事務局指導部教育活動支援担当学力向上グループ
住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所3階)
電話:06-6208-9039
ファックス:06-6202-7055
メール送信フォーム

思うところ、改善案、苦情等があれば、積極的に伝えていきましょう。

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(10/13追記)
大阪市立小学校データベースを作成しました。
各小学校毎の学力テスト結果(平成28年度)も掲載しています。
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