大阪市会では保育・教育に関して活発な質疑が行われています。

平成30年3月13日に開催された教育こども委員会では「保育所の入所ポイント制」、具体的には「ひとり親加点」と「きょうだい加点」の関係が取り上げられました。

平成30年3月13日 教育こども委員会

奥野康俊委員(維新)
○保育所の入所ポイント制について

・きょうだいがバラバラ、年収や希望順位との関係は?
→以前はA-Dの4区分、H25からポイント制導入、ひとり親は高い点数を設定

・現行のポイント制では「ひとり親」が「きょうだい同一施設」より優先されている
→(市長)「ひとり親」と「きょうだい」が競合した場合、仮に入れ替えると別の問題も生じる
→(市長)7点加点の合理性も検討を要する、今後の考え方を検討したい

・H29一斉入所できょうだい別施設となったのは216人、同一施設2,365人
・「ひとり親」と「きょうだい」が第1希望で競合した場合、「きょうだい」を優先させ、「ひとり親」は第2希望へ調整すべきだと考える

奥野委員が配付した資料には、平成27年~平成29年一斉入所において、きょうだい同一施設を希望して入所できた児童数・割合が掲載されています。

平成27年度一斉入所できょうだい同一施設へ入所できたのは88.2%、平成28年度には88.7%、そして平成29年度は91.6%に達しました。入所率は年々上昇しています。

同委員が指摘したのは、約10%の児童が同一施設へ入所できなかった理由です。これについて「ひとり親との競合」を指摘しています。

きょうだい同一施設であれば7点が加点されますが、ひとり親では9点が加点されます。それ以外の条件が同一であれば、ひとり親家庭が優先されます。

しかしながら、きょうだいが同一施設へ入所できないのは「ひとり親との競合」より更に大きな原因があると感じています。「年齢毎の募集数の偏り」です。

大阪市内の保育所の大半は、0-1歳児の募集数が多くて2歳児が少ない構造となっています。0歳児と2歳児が同一施設を希望した場合、2歳児が入所しにくい構造となっています。

より深刻なのは1歳児です。1歳児の募集定員は施設によって非常に大きな分散があります。0歳児と同数以上の募集を行う保育所がある一方、1-3名という若干名しか募集を行わない保育所もあります。

上の子が在園している保育所に下の子が1歳児入所を希望しても、募集枠が若干名の保育所ではきょうだい加点があっても入所できません。207点でも入所できない保育所です。幾つか存在しているのを確認しています。

これを解消する方法は「ひとり親の優先度を下げる」事ではないでしょう。「1歳児募集枠の拡大」です。

ただ、これにも副作用があります。単純に1歳児定員を増やしてしまうと、翌年度以降の2-5歳児の定員・募集数に影響してしまいます。容易なのは「0歳児募集枠の縮小」、つまり0歳児入所が難しくなる恐れがあります。

とはいえ、大勢の0歳児を募集しながらも1歳児は若干名しか募集しない保育所も存在しています。決して少なくありません。待機児童問題が深刻な地域ほど、多いという印象すら持っています。

きょうだいが同一施設へ入所できる様に計らうのであれば、まずは「1歳児入所の倍率緩和」を掲げるべきでしょう。同一施設で0歳児と1歳児募集枠の均衡を図ると同時に、保育所等の新設をより進めるべきではないでしょうか。