(グーグルストリートビューより)

堪忍袋の緒が切れたのでしょうか。

清水幼稚園・遠里小野(おりおの)幼稚園(いずれも住吉区)・加賀幼稚園(住之江区)を運営する学校法人住吉清水学園に対し、大阪府教育庁が措置命令を発しました。

幼稚園運営法人に改善措置命令

大阪市内で幼稚園を運営する学校法人の理事長らが、府の補助金が含まれている法人の運営費を私的に流用したほか、教員の数も基準を満たしていないとして、大阪府は、27日、法人に対し、来月末までに改善措置を取るよう命じました。

措置命令を受けたのは、大阪・住吉区と住之江区で3つの幼稚園を運営している学校法人・住吉清水学園です。

大阪府が去年、この法人を調査したところ、女性の理事長と、副理事長を務める娘が、府の補助金が含まれている法人の運営費で自宅用の冷蔵庫や洗濯機を購入するなど、およそ300万円を私的に流用していたということです。

また、この法人では、4年前から「役員の指導が厳しい」などとして教員が次々に退職していて、ことしの5月からは、国と大阪府の配置基準に5人足りない状態が続いているということです。

このため、大阪府は、27日、法人に対し、来月末までに▽予算や事業計画の策定や、▽教員の適正な配置などの改善措置を取るよう命じました。
法人は、大阪府に対し、「非常に反省している。改善していきたい」と話しているということですが、府は、改善されない場合は、役員の解任勧告などの措置も検討することにしています。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20180727/0004498.html

幼稚園教員不足で住吉清水学園に措置命令 大阪府教育庁

 幼稚園教員の不足を改善する兆しがみられないなどとして、大阪府教育庁は27日、私立学校法に基づき、大阪市内で3園を運営する学校法人・住吉清水学園=森田一子(いちこ)理事長=に8月31日までに改善策を講じるように求める措置命令を出した。

 府によると、3園では退職者が出るなどした5月以降、計17クラスで教員計5人が不足しているが、改善計画のとりまとめなどがされていない。

 また、森田理事長らは府の補助金6780万円が交付された昨年度の法人会計で、冷蔵庫や洗濯機、車、ゴルフ用品など計約300万円分の物品を購入。府が「公私混同した不適正な支出」と指導したにも関わらず、監査体制などを整備していないという。

 住吉清水学園は、住吉区で清水幼稚園と遠里小野(おりおの)幼稚園、住之江区で加賀幼稚園を運営。5月時点で園児445人が在籍している。

https://www.sankei.com/west/news/180727/wst1807270062-n1.html

清水幼稚園は昭和5年に創立された、古い歴史がある幼稚園です。太平洋戦争で全焼した過去もあるそうです。

ストリートビューで分かる通り、住吉幼稚園には立派な建物と広い園庭があります。羨ましくなるぐらいの設備です。

措置命令の詳しい内容は大阪府教育庁のウェブサイトに掲載されています。

 大阪府は、学校法人住吉清水学園に対し、私立学校法第60条第1項の規定に基づき、平成30年7月27日付けで措置命令を発令しました。

1.措置命令の対象者

対象者名:学校法人住吉清水学園
代表者 :理事長 森田 一子
所在地 :大阪市住吉区清水丘1-24-10

2.措置命令の原因となる事実の概要

(1)幼稚園設置基準に規定する教員配置が充足できていない事案
学校法人住吉清水学園においては、多数の教員の退職等により幼稚園設置基準に規定する教諭数を配置できない状況が平成29年度から断続的に発生し、とりわけ平成30年度においては、法人が運営する3つの幼稚園全てで教員不足が常態化している。同学校法人においては平成28年度以降教員の退職が相次いでおり、常態的な教員未充足の原因となっている。この事態に対し、保護者からの苦情や、教員からの職場環境改善意見が度々出ている。

当該事案について、大阪府は学校法人に対して、理事会に現状を報告し議論の上で具体的な改善策を実施するよう再三指導してきたが、学校法人は、平成29年度以降、理事会において議論はもとより具体的な改善方策のとりまとめや改善に向けた取組を実施しておらず、理事会が学校法人の意思決定機関として十分な機能を果たしているとは認めがたい。

(2)理事長等による法人資金の費消事案及び予算や事業計画の未策定事案

当該学校法人は、理事長及び一部の理事が法人の資金を費消しており、それに対して大阪府が学校法人会計の運用にかかる監査体制を構築するよう指導したところであるが、監査体制は未だ構築されていない。そもそも、平成29年度以降、理事会が私立学校法や寄附行為の規定どおり開催されておらず、平成30年度の予算や事業計画が策定されないまま運営が行われている状況である。

以上のことから、学校法人住吉清水学園の法人運営は著しく適正を欠くと認められる。

3.措置命令の概要

(1)幼稚園設置基準に規定する教員配置が充足できていない事案について、学校法人住吉清水学園は、当該事案の原因等について保護者や教員の意見も聞き分析したうえで、理事会で抜本的な対策を策定すること。あわせて、来年度の園児募集については、教員体制に見合う園児数となるよう、理事会において適正な募集人数を検討すること。上記について、平成30年8月31日までに実行するとともに、同日までに大阪府教育庁私学課に文書により報告すること

(2)理事長等による法人資金の費消事案及び予算や事業計画の未策定事案について、学校法人住吉清水学園は、理事長の業務執行に対して、理事会として必要な監督を行うため、具体的方策を策定すること。上記について、平成30年8月31日までに実行するとともに、同日までに大阪府教育庁私学課に文書により報告すること。

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http://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=31805

平成29年度から教諭数が幼稚園配置基準を下回る状態が発生し、平成30年度は全3幼稚園で教員不足が常態化しているそうです。一因として「役員の指導が厳しい」と指摘されています。パワハラに似た内容であったと推測されます。

参考として添付されているPDFファイルには、「教員退職の状況」という項目があります。

・平成26年度17名退職(年度当初32名に対して53.1%)
・平成27年度7名退職(年度当初26名に対して26.9%)
・平成28年度8名退職(年度当初22名に対して36.4%)
・平成29年度6名退職(年度当初19名に対して31.6%)
・平成30年度3名退職(7月18日まで。他に自宅待機命令による長期欠勤1名)

http://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/attach/hodo-31805_5.pdf

驚く事に平成26年度は教員の半数以上が退職していました。その後も毎年3割前後の教員が退職しています。入園した時にいた先生方が、園児が卒園する3年後にはほぼ入れ替わっている計算となります。

厳しい指導の裏で、役員は幼稚園の運営資金から自宅の冷蔵庫・洗濯機・車・ゴルフ用品など約300万円を購入していたそうです。

(理事長)・自宅用の冷蔵庫、洗濯機などの電化製品購入費、牛乳・新聞代支払い等、日常的に公私を混同した不適正な支出

(副理事長)・法人所有の自動車の私的利用、ゴルフ用品、牛乳代、高速代の支払い等、日常的に公私を混同した不適正な支出

私的なレシートを法人経理に紛れ込ませるのはよくある手口です。また、自動車は名義だけを法人として、専ら私的に利用していた可能性もあるでしょう。

恐らく私的流用は氷山の一角です、過去に遡れば、膨大な金額が私的に流用されていた恐れがあります。

経理職員やその他の教員等も、こうした実態を薄々感づいていたでしょう。しかし、パワハラ等によって声を上げられず、早期に退職した職員が多かったと推測されます。

平成29年5月以降(奇しくも森友学園問題が争点になったのと同時期)、住吉清水学園に対して大阪府は何度も改善指導を行ってきました。学園はその度に改善報告書を提出していましたが、具体的な内容や実践が伴わないものでした。

最終的には学園への聴聞・弁明の機会を付与し、大阪府私立学校審議会への諮問を経て、改善措置命令に踏み切りました。

一連の流れを見ていると、理事長・副理事長は幼稚園を経営する資格や能力が無いと言わざるを得ません。教員や保護者等からの意見を無視し、大阪府の指導を軽視し、好き勝手な振る舞いを繰り返していました。

幼稚園が再生するには、創立者に連なる理事長一族を追放し、別の第三者が経営の舵取りを行うしか無いでしょう。

相次いで新設されている保育所と比べ、多くの幼稚園では園児が減少傾向にあります。少子化に加え、専業主婦が減少し続けているのが大きな理由です。

こうした状況において、大阪府から措置命令を受けた幼稚園へ敢えて入園する児童は多くありません。今後の対応如何によっては、園児が急減する公算が大きいです。経営難も見えてきます。