大阪市と関西電力、いずれも財務体質が悪化している良くない組織です。関電が大阪市へ無償貸与している遊休地につき、騒動が持ち上がっています。

 関西電力が数十年にわたり、大阪市に無償で貸していた土地を利用した公園が少なくとも2カ所、閉鎖していたことが分かった。保有する不動産を整理して経営体質の改善を図りたい関電が土地の返還を求めたのに対し、大阪市が買い取りや有償での借り受けができないと判断したからだ。今まで利用してきた公園が急に使えなくなった地域住民からは困惑の声が上がっている。(中略)

 この結果、28年には住吉区遠里(おり)小野の「遠里小野3丁目第1児童遊園」(約840平方メートル)が、29年には住之江区西住之江の「西住之江南児童遊園」(約1千平方メートル)が閉鎖を余儀なくされた。

 東淀川区大隅の「みたから児童遊園」(約750平方メートル)は「関電が後に返還を強く求めてこなくなった」(同区関係者)として現在も市が土地を借り続けている。

 返還要求を受けた4カ所のうち、残る1カ所は存続している。阿倍野区晴明通にある「晴明通児童遊園」(約440平方メートル)だ。地域住民によると、同公園は昭和49年に開園。もともと土地には関電の施設が建っていたが、移設を機に関電が「地域貢献」の一環として市に無償で土地を貸していた。市営公園ではないため、遊具の整備費は地域で負担し、管理や運営も住民組織が担ってきた。

 関電の返還要求を受け、住民は市に土地の買い取りや有償での借り受けを求めたが、財政難を理由に未利用地の売却を進めていた市は対応を拒んだ。公園は一時、閉鎖の危機に追い込まれた。

 そこに“救世主”が現れた。危機を知った地域住民の一人が匿名で1億円を市に寄付。市はこれを原資に今年5月、関電から土地を購入し、公園の存続が決まった。(中略)

関電は23年の東日本大震災後、全原発が停止した影響で業績が悪化し、27年3月期まで4期連続で最終赤字を計上した。筆頭株主である市からは、橋下徹前市長時代に「経営体質改善を目的とした不要資産の売却」を株主提案されたことがある。

市関係者は「株主提案をしてしまった以上、関電から土地を返せといわれれば応じざるを得なかった」と打ち明ける。(中略)

 これに対し、公園の周辺住民らは複雑だ。晴明通児童遊園の近くに住む40代の男性会社員は「公園の閉鎖を心配したが、残ってよかった。もともとただで土地を貸してくれていた関電に文句をいうのは筋違いだ。本来、公園を整備する役割は市が担うべきで、関電から土地を買い取ることを考えるべきだった」と話した。

https://www.sankei.com/west/news/180820/wst1808200004-n1.html

実は本記事の内容は2年半前にVOICE(MBS)が報じていました。

身近な公園が消える?関電が無償貸与してきた公園用地…大阪市は?
https://www.mbs.jp/voice/special/archive/20160404/

当時は西住之江南公園を除いた、遠里小野3丁目第1児童遊園・みたから児童遊園・晴明通児童遊園が取り上げられたそうです。

関電が無償貸与してきた公園用地の場所はどこ?大阪市 – お墨付き!
http://osumituki.com/event/66581.html

大阪市内で痛感するのは、子どもが自由に遊べる公園が非常に少ない点です。

児童遊園は数こそあるものの、整備が不十分な遊具が目立ちます。また、狭い不整形地等、他の用途に使いづらく、売却もしづらい土地を児童公園として利用している土地が無数にあります。

また、物理的にボール遊びができる公園は限定されています。一定の広さがあるとしても、園内掲示にボール遊びを禁ずる旨が書かれている公園が少なくありません。小さい乳幼児がお散歩していると、何となく遊びづらいです。

こうした点から、大阪市に公園の整備に後ろ向きな姿勢が感じられます。幼児教育の実質無償化はありがたいですが、子どもの遊び場の整備も極めて重要です。

産経新聞も記事では、公園近くに住む男性が「公園の閉鎖を心配したが、残ってよかった。もともとただで土地を貸してくれていた関電に文句をいうのは筋違いだ。本来、公園を整備する役割は市が担うべきで、関電から土地を買い取ることを考えるべきだった」と話しています。

私も全く同感です。

土地の買い取り、老朽化した遊具の入れ替え、ボール遊びができる公園の整備等、子どもが遊べる公園の整備は待ったなしです。政策の優先順位が余りに低過ぎます。

商業施設や野球場がある公園

同じ公園であっても、大阪城公園は積極的に民間資本を導入し、大阪城公園駅前施設「JO-TERRACE」ミライザ大阪城といった商業施設が開業されています。

多くの観光客が集まる公園を利用して収益を得ています。であれば、この収益は子どもが遊べる公園の充実に充てて欲しいです。公園で得た収益は、公園への投資に利用するのが妥当でしょう。

また、気になっているのが「公園内の野球場」です。街中にある大規模公園には、多くの野球場が併設されています。しかし、子どもたちが野球場の片隅にある公園で少ない遊具に連なって遊んでいるのは不憫です。

大阪市は少年野球等が盛んな地域です。しかし、野球を楽しむ子どもはごく一部、圧倒的多数の子どもたちは野球場を利用する機会が殆どありません。限られた土地を効率的に利用する観点から、野球場の存否も検討されるべきではないでしょうか。

公園を最もよく利用し、かつ受益を得るのは小さな子どもたちです。子どもの健全な成長という観点から、公園の整備を積極的に進めていくべきです。公園が充実した他の自治体との違いに、唖然とする事が多いです。