高級ブランドショップが立ち並び、都心の1等地として知られているが、この場所に、港区が児童相談所などが入る施設の建設を予定し、14日、周辺の住民に説明会が開かれた。

しかし、住民からは賛成意見のほか、この場所に造る必要がないといった反対の声もあがっている。

港区は、2017年11月に、南青山の国の施設の跡地を購入し、児童相談所やDV被害者を一時保護する、母子生活支援施設などが入る、子ども家庭総合支援センターを、総事業費およそ100億円をかけて建設を予定している。

しかし、14日に港区が行った周辺の住民への説明会では、施設の必要性を理解する声が聞かれた一方で、商業施設が立ち並び、観光客も多く来る場所に造るのはおかしいといった声が多く聞かれた。

住民は、「なんで青山の1等地でそんな施設を造らなきゃならないんですか」と話した。

反対派は「問題なのは、内容のことについて、港区の近隣や住民に説明がなかったこと」と話し、賛成派は「わたしは賛成です。青山に昔から住まわれている方たちが、子どもに対して温かい気持ちを持っていないことに関して、悲しい気持ちになった」などと話した。

港区は、3年後の施設の開設に向け、住民の理解を得られるよう説明を行っていく方針。

港区の担当者は、「幅広く福祉の機能を受け止めてもらい、みんなで支えあえる青山の地区、港区でありたいと思う」と話した。

https://www.fnn.jp/posts/00403196CX

児童相談所等が設置される計画があるのは、東京都港区青山5丁目4番の一角です。

地下鉄表参道駅から徒歩5分程度、大通りから少し奥に入った場所です。ここは農林水産省青山分室等がありました。国有財産の有効活用の観点から廃止され、東京都港区が取得しました。

周囲は高級マンション・路面店等が立ち並んでいます。ちなみに道路を挟んで北東側に位置しているプラウド南青山は、坪単価500~800万円程度が相場とされています(詳細はこちら)。

港区子ども家庭総合支援センター(仮称)

計画されているのは「港区子ども家庭総合支援センター(仮称)」です。

区内の家庭が生き生きと子育てを楽しむことができ、多様な文化や人との出会い・交流や学習の場として子育てを応援するとともに、子どもと家庭の状況に応じた支援機能と児童相談所の専門機能を一体化させ、総合的に支援していくため、子ども家庭支援センター、児童相談所、母子生活支援施設の複合施設である(仮称)港区子ども家庭総合支援センターを平成33年4月に開設します。(以下略)

https://www.city.minato.tokyo.jp/jidousoudanjunbitan/kodomokateisougoushiensenta-.html

平面図によると、1階・3階に子育て支援の拠点となる子ども家庭支援センター、2階・3階に児童相談所(一時保護所を含む)、4階に養育が困難となった母子家庭が入所する母子生活支援施設を設置するとされています。

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地場の不動産会社が反対署名活動を実施

これに対し、地元の不動産会社「グリーンシード」を中心とした「青山の街を守る会(青山の未来を考える会)」が反対する署名活動を行いました。

反対活動へのご署名のご協力お願い

ところが今年2月、突如発表されたのは、港区がこの国有地を国から取得して「(仮称)港区子ども家庭総合支援センター」にするというものでした。

勿論、港区が子育てや家族の支援について積極的に取り組むことには大賛成です。しかし、貴重でオープンなこの土地の利用方法として、児童虐待防止といったクローズな相談機能を伴った公共活動を行うというのは如何なものでしょうか。

→青山の真中にそぐわない公共施設によって、街が分断されてしまいます。
→海外から来日して青山を散策する観光客に対して何の貢献やアピールもしません。
→2020東京オリンピック・パラリンピックの新国立競技場を控える青山の街に夢がなくなります。
→本当に相談を求められている方々への心理面への配慮が欠如しています。
→青山という素晴らしい街の発展のブレーキになり街の魅力が半減します。

公共事業である子どもや家庭の支援は、莫大な税金を投入した「総合センター」として実施するのではなく、建物を借りてフレキシブルな体制で実施するべきです。

また、ふるさと納税によって、港区の税収は減額の一途をたどり、平成28年度は15億円減、29年度は23.4億円減(見込み)にもなっています。そんな中、巨額な投資をして土地購入+公共施設の建設を行うべきなのでしょうか。

世界に誇れる情報発止エリアである青山の真中に港区の公共施設を建てて、街を台無しにする行為は決して許されることではありません。

つきましては、この度、地元をはじめ多くの青山を愛する方々からの要望を頂き、この公益性のない港区の整備計画を阻止し、民間運営による有益的な一角として本来の街作りを整備するべく「港区による施設地の取得の撤回を求める請願署名」を実施することとなりました。趣旨にご理解いただき、一人でも多くの方々が本署名活動にご協力いただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

グリーンシードHP内「青山の街を守る会」 / www.greenseed.jp

平成29年9月、議会にて最終的に予算決定されてしまいます。

https://i.imgur.com/xH4o7yV.jpg

もともとこの土地は農林水産省青山分室・国家公務員宿舎・共済会館等として利用されており、オープンな土地ではありませんでした。公共施設は青山という街を分断するのでしょうか。

外国人観光客に対する貢献等は、表通り等にある路面店・商業施設で十分でしょう。子育て支援センター一つで夢が無くなり、発展にブレーキが掛かる青山という街、可哀想ですね。こうした施設の建設を反対する団体こそ、心理面への配慮が欠落しています。

民間オフィスでの児童相談所設置は困難

また、署名活動では「建物を賃貸すべき」と主張しています。これは重大な問題があります。

実は2年前に大阪市が民間賃貸マンションの低層部分(市所有)に児童相談所等を設置する計画がありました。

【10/7追記・ニュース】大阪市北区のマンション低層部分(市所有)に児童相談所?

これに対し、住民から強い反対意見が噴出しました。特に「児童相談所は非行少年、触法少年が保護される施設である。準司法機関的な機能がある。」というのは厳しい意見でした。

港区議会では、石川県金沢市が設置した児童相談所を視察した議員の発言がありました。

 実際に施設の中も見せてもらい、一時保護所のドアが蹴られた後がたくさんあって、保護者が子どもを取り返そうとやってきて蹴るのでこうなるのだという話を聞いたり、児童相談所の職員たちが仕事をしている部屋が、刑事部屋のようにぴりぴりした緊張感にあふれているところを見たりして、こうしたものを港区が引き受けてやっていくのだと思うと、背筋が伸びる思いがしました。

虐待の相談は、港区でも478件と3年前の3倍に急増しており、相談内容も重篤化する傾向が続いていると伺っています。私自身、ここ数年で虐待の相談を受けることも非常に多くなりました。数年にわたってフォローしなければならない心配なご家庭も幾つもあります。小学生の子どもが一時保護所に入ってしまって、本人の希望だと言うけれども、絶対に誤解があるので、きちんと子どもと話をさせてほしいと保護者から相談されるケースもありました。港区では、そのように小学生から中学生のお子さんが自分から保護を求めるケースが多いのが特徴だと聞いて、驚きました。

相談を受ける中で一番難しいと思うのは、子どもが性的虐待に遭ったというケースです。虐待に遭った子ども、特に性的虐待に遭った子どもに事情を聞くのに、スキルのある専門家の力が必要です。さらに、何度も聞くことが本人を傷つけることになったり、記憶を曖昧にしてしまったりと、非常に難しい作業です。初動がうまくいかないと、さまざまな機関をたらい回しになり、時間ばかりが無駄に過ぎていってしまい、保護者の心情をはじめ、いろいろなことが深刻化していきます。そして、いまだに司法の現場にもそうした専門官がきちんと配置されていないのも実情です。

こうした状況に対して、被害児童に専門家が最初に話を聞く際に、マジックミラー越しに既に警察官や検察官が同席して、聞き取りを行って録音するなど、1回で子どもの負担が済むように、また、その後の捜査や対応がスムーズにいくようにといった手法がさまざまな児童相談所では始まりつつあるようです。石川県金沢市の児童相談所からも強く勧められました。

平成29年度予算特別委員会(第5日目)

子どもを取り換えそうとする保護者が施設を襲撃したり、時に警察官や検察官が立ち会って聞き取り等を行うそうです。警察署に似た機能と構造が求められます。独自設計・建築は当然の選択です。

また、子ども家庭支援センターや母子生活支援施設も設置されます。前者は多くの子育て世帯が出入りするでしょう。また、後者は数世帯が長期に渡って生活することが想定されています。

こうした機能は一般的なオフィステナントは有していません。「建物を借りてフレキシブルな体制で実施するべき」というのは非現実的な意見です。

青山の一等地は垂涎の的

署名の最後に重要な一文があります。「民間運営による有益的な一角として本来の街作りを整備するべく」です。

守る会の背後にあるグリーンシード社は、青山に本社がある不動産業者です。同土地の購入を港区に断念させ、民間主導による土地再開発を希望していたのでしょう。

これを推測する資料もあります。同土地に接している電信柱に、同社の広告看板が大きく掲示されています。写真右側、緑色の看板です。

青山の一等地を大手不動産会社が狙っているとする発言が港区議会でありました。

南青山5丁目の農林水産省共済組合南青山会館跡地は取得の見込みがつき、児童相談所を含む(仮称)港区子ども家庭総合支援センターが建設される予定です。もう一つはホテルフロラシオン跡地です。閑静な住宅地ですから大手不動産会社が虎視眈々と狙っても不思議でない土地です。

今までも再三指摘したように、青山、西麻布だけでも多くの国有地、都有地が大企業に提供され続けてきました。国有地ではありませんけれども、準公有地と言えるホテルフロラシオン青山跡地について、区民要望に基づく施設建設用地として区としても取得に向けて動き出すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

平成29年度予算特別委員会(第3日目)

ホテルフロラシオン青山(公立学校共済組合東京宿泊所)跡地は住友不動産が取得し、開発計画を検討しています(詳細はこちら)。

港区議会の議事録を読む限り、同区は当初から同土地に児童相談所等を設置する考えがあったものと考えられます。目的ありきで購入した土地でした。

署名を装った営業か

現在、グリーンシード社のウェブサイトは全く繋がらない状態となっています。

行政の計画に対して署名活動を通じた反対運動を行うのは自由でしょう。

しかし、今回は民間主導による再開発を目的とした署名活動を、地元の不動産会社が主体となって行っていました。「自社の利益の為に港区の子育て支援を妨害した」と批難されても仕方ありません。

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(10/22追記)
東京新聞が取り上げています。

児相計画 南青山ぎくしゃく 一部住民「おしゃれな街に不似合い」

 東京都港区が南青山に建設を予定する児童相談所(児相)の計画が揺れている。一帯は高級ブランド店が軒を連ねる都内の一等地。後を絶たない児童虐待などに対応する児相の必要性は高まっているが、一部住民が「おしゃれな街に似合わない」などと反発しているのだ。専門家は「児相の役割をしっかり住民に説明するべきだ」と指摘する。

 「世界的に有名なファッションの情報発信地の青山に児相は違和感がある」「非行の少年を預かる施設とは聞いていなかった。不安だ」。今月十四日、南青山にある区立青南(せいなん)小学校で区が開催した説明会では、批判的な意見が相次いだ。

 児童虐待が急増する中、二〇一六年に児童福祉法が改正され、東京二十三区が新たに児相を設置できるようになった。これを受けて港区は昨年二月、「子ども家庭総合支援センター(仮称)」の建設を発表。児相とともに、虐待を受けた児童や非行少年を緊急的に保護する一時保護所などの機能を併せ持つ。

 区は二〇二一年四月の開設を目指し、工事費約三十二億円を見込む。既に農林水産省の宿舎があった国有地約三千二百平方メートルを約七十二億円で購入。現在は広大な空き地になっている。周辺には海外の高級ブランド店やカフェなどが多く、買い物客らでにぎわう。

 昨年十二月の住民向け説明会の参加者は七人だった。ところが今年夏、建設計画を知った住民らが区に説明を要求。区が今月十二日と十四日、あらためて説明会を開くと、二日間で延べ百七十人以上の住民らが参加し、それぞれ二時間近くに及んだ。

 反対住民でつくる「青山の未来を考える会」の佐藤昌俊副会長(63)は「他の区有地を検討したかも不明。南青山が適地と言われても納得できない。説明がなく突然、計画を知った住民がほとんどだ」と話す。

 区の担当者は「施設には広大な土地が必要で、他に適地がなかった」と強調した上で「青山だから児相をつくってはいけないとは考えていない。地域の理解を得られるよう説明を続けたい」と理解を求める。

 愛育クリニック(港区)小児精神保健科の小平雅基部長は児童福祉法改正の際、行政向けに児相設置のためのマニュアルを取りまとめた。今回の騒動について「虐待は誰にでも起こり得る問題で、街中にこそ児相が必要だ。問題がある児童や家庭を地域から分離、孤立させてはいけない。行政は、児相の役割や実態をしっかり住民に説明するべきだ」と訴える。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018102102000135.html