育児中の就業には様々な制約が伴います。
こうした制約は決して万人に理解されていません。
そこで、子育て中の女性の就職をサポートする「マザーズハローワーク」が注目されています。

就職率87%…「マザーズハローワーク」で子育て中の女性の働き方と企業のあり方は変わるか
2014.9.21 12:00 [ビジネスの裏側]

 第1子の出産で育児のため仕事を辞める女性が6割といわれるなか、子育て中の女性の就職をサポートする「マザーズハローワーク」が注目されている。大阪府内のハローワーク全体の就職率が3~4割で推移しているのに比べ、マザーズ事業はマンツーマン支援で6カ月以内の就職率が9割近い実績を上げている。政府は女性の就業率アップを目指しており、子育てが一段落した女性が再び活躍できる環境を整える取り組みは急務だ。企業や自治体と協力して、子育てしながら社会復帰する女性を後押しする試みも進んでいる。

 「これなら子供を連れてきても、ゆっくり相談できそう。施設で遊んで帰れるのもいい」

 高島屋堺店(堺市堺区)の一角にある堺マザーズハローワークを訪れた母親(34)は、こう感想をもらした。

 ワンフロアに堺市と高島屋、輸入玩具販売のボーネルンド(東京)の子育て支援拠点が集まり、4月「キッズサポートセンターさかい」として誕生した。周囲には遊具や絵本コーナー、休憩スペースがあり、マザーズハローワーク内の検索用パソコン脇にもキッズコーナーがあり、母親が仕事探しをしている間、子供を保育士が見守ってくれる。

 全国で初めて労働局と市、民間企業が協力し親子が遊びに訪れる施設で、子育てや仕事について相談できる場を提供する試みが始まっている。

 8月27日、堺マザーズハローワークに求職中、在職中の母親と夏休みの小学生の計14人が集まった。母親が働くことについて親子で考えるセミナー「仕事と遊びの親子交流会」だ。

 ハローワークの職員が労働力不足の問題や、女性が働くことが家計の収入面だけでなく、社会的に意義のあることだと説明。一方で仕事をしている女性も、家事や育児の負担が重い現状を指摘し「自分たちにできることを考えてみよう」と子供たちに呼びかけた。

 参加した堺市南区の小学6年、本多斗夜(とうや)くん(11)は「今も洗濯干す手伝いをしているけど、もっとお母さんを手伝おうかな」と話した。

 女性の年齢層別の就業率は、出産、育児で仕事を辞める女性が多い30代が落ち込む「M字カーブ」を描いている。就業率の底上げには、育児中の女性を企業がいかに受け入れ、戦力とできるかが大きな課題だ。

 マザーズハローワークは、「女性の活躍」を成長戦略に掲げる安倍晋三首相が拡充を指示。平成18年度の全国13カ所から、今年度20カ所に増えた。

 関西では京都市や神戸市、大阪市、堺市の4カ所にある。求人内容は一般のハローワークと同じだが、子育てしながら働ける求人の紹介に力を入れる。規模は小さいが、マザーズコーナーを設置するハローワークも全国に160カ所となり、子連れで職探しできる環境が整ってきた。

 ただ、育児中の母親の就職には、いまだ制約が多いのも事実だ。小学1年と4年の兄弟を育てている元派遣社員のシングルマザー(36)は、子供の学童保育のお迎えの午後6時に間に合う時間帯で勤務できるフルタイムの求人を2カ月間にわたり探すが、「時間制限に柔軟に対応してもらえるフルタイムの求人は少ない」ともらす。

 小学3年と幼稚園年少の兄弟を育児中の元図書館司書の女性(36)は週1回の残業を条件とされ、図書館の仕事に就くのをあきらめた。「育児を考えると今はパートしかできない。本当は資格を生かして長く働ける場がほしい」と思い悩む。

 こうした現状に対し、堺マザーズハローワークの小島麻由美室長は「同じ母親でも、子供の成長の度合いや仕事へのニーズはそれぞれ。一人ひとりに応じた形で就職支援したい」と強調する。

 シングルマザーらすぐに働く必要のあるケースや、育児でブランクが長いが働く意欲が高い人を対象にマザーズハローワークが力を入れるのが、マンツーマンの就活支援だ。

 大阪府内のハローワークの就職率が3~4割で推移しているのに比べ、府内のマザーズハローワークとマザーズコーナー計6カ所で導入する担当者制の支援事業の利用者は年々増加。平成25年度は3162人が利用し、6カ月以内の就職率は87%と高い実績をあげている。

 産業カウンセラーやキャリアコンサルタントなどの資格をもつナビゲーターが3カ月~6カ月で就職に結びつくよう活動を支援するため「支援できる人数に限りはあるが、効率的に求職者と企業をマッチングできる」(大阪労働局職業安定部の担当者)のが強みだ。

 「育児中の女性を昼の時間帯で雇用したことで、正社員が夜のシフトに集中でき残業を減らせた」とする飲食店や、「パート勤務の営業職の女性は子供が中学生になったのを機に正社員として採用したところ、フルタイムで活躍してくれている」という企業などの声が労働局に寄せられおり、女性の就職支援は企業活動にも良い影響をもたらしているという。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/140921/wec14092112000001-n1.htm

育児による労働の制約は、その立場にならないと分からない事だらけです。
残業は難しい、夜の飲み会は大半が欠席、保育所からの呼出し、他にも多数あります。
M字カーブになるのも当然の話です。

大阪マザーズハローワークのホームページはこちらです。
http://osaka-mother.jsite.mhlw.go.jp/
求人閲覧や窓口を利用している際には、安全サポートスタッフがお子様を見守ってくれるそうです。
また、上記HPでは仕事と子育ての両立に理解のある企業を「ハローマザー企業」として掲載しています。

仕事と育児・家事の両立には様々な困難がつきまといます。
以前は様々な企業から声を掛けられたのですが、「保育所へ迎えに行ける時間には原則として退社したい」という旨を伝えたら話は止まってしまいました。
残業ありきのフルタイム就労、もしくは派遣・パート・アルバイトという非正規雇用という二極化を肌身で感じました。
お世話になっている保育所でも短時間労働(派遣を含む)の方が多く、フルタイム就労は公務員・医療関係や祖父母と同居している方が殆どという様子です(あくまで個人の感想です)。

就職した後に、実は育児に理解がない企業だったと判明した場合は大変です。
子供の体調不良やお迎えの時間等を理由に退社するのを咎められ、徐々に居場所が無くなっていく場合もあるでしょう。
こうした制度を利用すれば、育児との両立に理解がある企業を比較的容易に探し出す事ができそうです。

全ての企業や従業員が育児に理解があるのが理想的ですが、現在の習慣等を鑑みると実現は困難でしょう。
特に「(男性従業員も含めて)残業は当然だ」という考えは早々に変わらないでしょう(こうした企業で実は36協定を結んでいないケースが多くて驚きでした)。
であれば、こうした機関や窓口等を利用して理解がある企業を見つけ出し、そこで貢献して適正な給与を得るのが一番ではないでしょうか。

景気が上向きになって求人倍率が上昇したと言われていますが、地域差・職種差が大きいのが実情です。
特に大阪における育児中の女性の就業は決して容易ではないでしょう。
マザーズハローワーク等を利用して、幅広く効率的に検討するのが良さそうです。